かぐやルート20
「ふひー」
俺は自分の席に着いて一息吐く。
朝からかぐやのテンションに付き合うのは辛かった。
メチャクチャ元気だな。
朝が弱い俺には羨ましいぐらいである。
ていうか、毎度のことながらどうして俺にだけはツンデレなんだよ。
本当に苦手だわ。
それとは反対にさくらちゃんは落ち込んでいるから後でフォローしておかないと。
でも、恋人に嫉妬されるのもリア充ぽくて良いかもな~。
マジリア充だわ、俺。
今度誰かに自慢でもしようかな~。
「あ、おはよう」
「んーおはよう」
声だけで友野だと分かったので机に突っ伏したまま挨拶を返す。
「昨日は大変だったらしいね?」
「昨日? 何かあったの?」
えっ? と驚く声。
「何かって相島さんのことでしょ? 昨日、校門で倒れたって」
……話が早いな~。
そういえば周りに下校中の子が居たような気がするし、おかしくもないか。
「ちょっと気分が悪くなっただけだよ」
もう使い慣れてしまった言葉を返す。
さて、かったるいがそろそろ起きるか。
ミルクティーとラノベを準備しないと。
「相島さんを助けた子って、神崎さんと一年生の"二階堂"?」
ん?
そこまで詳細が伝わってるのか。
まあ、でも隠す必要もないし。
「そうだけど……?」
何故か友野の瞳が厳しく細められる。
「簡単に約束を破って。唾つけて縄張りの主張か?」
自分の世界に入って何かをブツブツ呟き始める。
何か急に雰囲気がピリピリする。
こいつこんな奴じゃないよな?
「……何か気になるの?」
「えッ!? あ、いや~こっちの話だよ。相島さんは気にしないで。少し気になっただけだから」
おどけたような返事。
そう言われたら逆に物凄く気になるんだが……。
踏み込んだら戻れなくなるかもしれない。
「………………」
だけどもし、友野が別の意味でもヒロインを攻略するお助けキャラだったら?
天に対抗出来る術を持っていたとしたら?
味方になってくれるとしたら?
「大丈夫、相島さん?」
「なあ」
仮定を放置出来ない。
訊くならチャンスは今しかない。
「瞳とか絆ってワードで思い当たることがあったら放課後残ってくれ。私から話したいことがある。それに二階堂 天って子についても」
どっちか片方だけでも良い。
今はひたすら味方が欲しい。
頼む!
「何言ってるの急に? 瞳とか絆とかって。ポエムか何か? 作詞でもするの?」
「あ、いや。そうじゃなくて」
笑われてしまった。
当てが……外れた。
やっぱりそう上手くいかないのか?
「……良いよ。放課後だね?」
「え?」
友野のいつもと変わらないはずの笑みに俺はごくりと唾を呑んだ。
御都合主義万歳。




