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魔導機人アルミュナーレ  作者: 凜乃 初
反撃の狼煙 精鋭部隊突入
78/144

4

 王都の襲撃から二日目の夜。王城の会議室に一人の兵士が駆け込んできた。

 会議室には、王族と重鎮そして護衛の俺たちがいる。


「伝令! エナハトに大侵攻あり! こちらも奮戦し一時的に食い止めることに成功するも、被害多数。至急増援を求むとのことです!」


 その言葉に、会議室にいた面々は驚くよりも「やはり来たか」という表情だ。

 王都の襲撃が成功した時点で、敵の侵攻が再開されることは予想できていた。それがどこからの攻撃かまでは完全に把握できなかったが、大方の予想通りである。

 俺が姫様を見れば、姫様も俺を見て一つ頷き、席から立ち上がって声を上げた。


「陛下、では予定通り私は前線に向かいます」

「ああ、しかし今から動いて間に合うのか?」

「エルドには開発部の試作兵器を使い一足先にエナハトへと向かわせます。私は、デニス・エジット、ジャン・ローランの両名と共に後から前線へ向かいますわ」

「あれか……分かった。エナハトは任せるぞ」

「お任せください」


 イネス様がダリウス陛下に向けて一礼すると、部屋を出ていく。

 俺はその後を追って廊下へと出たところでイネス様に声を掛けた。


「本当にあれを使うんですか?」

「ええ、開発部に試作を急がせておいて正解でしたね」

「一日で作ったものを装備するのとか、かなり嫌なんですが」


 いくら実績があるとはいえ、試作品をぶっつけ本番で機体に装備して実戦に投入とか、どう考えても爆発フラグなんですけど……


「仕方ありません」

「はぁ……」


 どうやらイネス様は俺の陳情を受け入れてくれるつもりはなさそうである。

 俺は一つため息を吐き、姫様と共にそのまま基地の格納庫へと向かった。


「機体出すぞ! 新装備はどうなってる!?」


 格納庫に入り、俺は整備士に向けて声を飛ばす。そこに返ってきたのは、予想外の言葉だった。


「何言っておるんじゃ! お主の機体ならまだ直っとらんぞ!」

「なんで!?」


 見れば、俺の機体は左足がまだない状態で、ハンガーの中に吊るされていた。

 アーティフィゴージュも整備のためか取り外されており、今は本来の左腕が露出していた。

 イネス様も予想外の事態に驚き、小さな口をポカンと開けて片足のままの機体を眺めている。

 そこに、オレールさんがガシガシと頭を掻きながらハンガーから降りてきた。


「隊長殿の機体の装備が簡単に補充できるわけないじゃろうが。あのバランスの悪さを少しでも補うために、フレーム単位で特注品にしておるのじゃぞ。余剰パーツも、あの襲撃で潰れた格納庫の下じゃ」


 フォルツェが王城で戦闘している最中に、俺や他の近衛隊が使っていた格納庫は戦闘の余波に巻き込まれて倒壊してしまっていた。だから基地の格納庫で修理を行っていたのだが、まさかこんなところでその影響が出てしまうとは。

 瓦礫の中からサルベージできても、それじゃ歪んでどうせ使えないだろうし、新しいのが来るまで俺の機体は片足のままか。


「ちょっとどうするんですか! これじゃ私の計画が進めませんわ!?」

「いや、俺に言われても。替えの装備が届くのっていつ頃です?」

「最優先に作らせとるから明日には届くはずじゃ」

「それでは間に合いませんわ!」


 いつものおしとやかな仮面が剥がれ、頭を抱えるイネス様。そんな様子を、格納庫の整備士たちが驚いた様子で見ていた。俺の隊の連中なら見慣れてる光景でも、格納庫の連中はあんまり姫様の会う機会がないからな。いつものパレードとかの凛とした姿と比べれば、そりゃ驚くか。

 けど、まあ姫様の気持ちは分かるよ。計画発動だって意気込んで会議室から飛び出したのに、それがいきない挫折しそうだもんな。


「他に動かせる機体はありませんの!?」

「あるっちゃあるが、あいつらだぞ?」


 オレールさんが指さしたのは、格納庫の隅に並べられていた王国産のアブノミューレ達である。本来ならここの格納庫に置くはずのない機体なのだが、襲撃のせいで他の格納庫も破壊されてしまっており、仕方なくここに押し込まれていた機体だ。


「エルド、あれで行けますか!?」

「え、あいつですか? 量産型に試作つけるって自殺行為じゃ」

「理論上は!?」

「行けますけど」


 アブノミューレの耐久精度ならば、理論上はギリギリ試作品の衝撃にも耐えられると出ている。


「ではあれを使ってください! あれで前線の露払いをお願いしますわ!」


 うーん、アブノミューレで大侵攻中の前線に突っ込むのか。普通に考えれば自殺行為だよな。まあ、出来ないことはないだろうけど。

 頭の中で適当なシミュレートを行い、侵攻の妨害をどの程度できるか考える。

 うん、出来ないことはないな。いざとなれば、味方のアルミュナーレでも拝借しよう。


「はぁ……仕方ないですね。オレールさん、試作品はアブノミューレに装備させてください。それと、武装は剣四本とハーモニカピストレ、弾倉は四本でお願いします」

「分かった。朝日が昇るまでには仕上げちゃる。お前ら、整備は一旦中止だ。団長殿の代わりの機体を用意するぞ!」


 オレールさんが声を掛けながら、整備士たちに指示を出していく。

 それを聞いた整備士たちは軒並み驚いて目を丸くしていた。


「じゃあ俺も準備してきますんで」

「ええ、頼みますわ。私も準備ができ次第出発します。命令しておいてこんなことを言うのもおかしなことですが、お気をつけて」

「きっちり露払いして、基地でお待ちしておりますよ」


 俺は執事のように恭しく頭を下げた。



 空が白み始めた早朝。俺は、アブノミューレの操縦席に乗り込み、機体の最終チェックを行っていた。

 俺の乗っているアブノミューレは、現在格納庫の外で試作品の装備が行われている。それは背中に取り付けられた五本のアヴィラボンブだ。

 王都襲撃時の敵機の様子を元に、再現したものだ。違いがあるとすれば、フォルツェ達の物はアヴィラボンブが地面と水平になるように機体の背中に取り付けられていたのに対し、俺の物は機体と水平に、地面に噴射口を向けていることだろう。それが、今はロケットの発射台のようなものに固定されている。

 この方ががっちりとロックでき、空中での機体制御がわずかながら楽になるのだとか。まあ、その分見た目は不恰好だが。


「バランサー異常なし、各部油圧チェックオールグリーン、アヴィラボンブ接続OK、ウィング稼働――良好。射角OK、腕部をアヴィラボンブに固定。脚部ロック完了。分解ボタンはこいつだな」

「エルド隊長、ちょっといいかしら?」

「ん? カリーネさん?」


 俺が最終チェックを終えたところで、操縦席の後ろからカリーネさんが声を掛けてくる。すでにシートベルトで体を固定している俺は、顔だけを振り返らせた。


「アヴィラボンブの操作コードを物理演算器(センスボード)に入れたせいで、もしかしたらバグが残っているかもしれないわ。極力チェックはしたけど、この短時間じゃやっぱり見落としがあるかもしれない。ちょっとでもおかしいと思ったら、すぐにパージするか機体から飛び降りなさい」

「分かりました。けど、大丈夫でしょ。カリーネさんの腕はよく知ってますから」


 これまでも無茶な要求をことごとく完遂して呉れたカリーネさんのことだ。バグがあるかもしれないと言いつつも、その仕事はほぼ完ぺきだろう。

 今も、色々とデータを調べているが、異常は見られない。


物理演算器(センスボード)が大丈夫でも、むこう(アヴィラボンブ)がダメな可能性もあるでしょうが。油断はしないで」

「そうですね」


 試作品である以上、何かしらの異常が出ることは覚悟しておいた方がいいかもしれないな。

 俺はぱちんと頬を叩き気合を入れ直す。


「よし! じゃあ行きますので、下がってください」

「頑張ってね」


 カリーネさんが機体から離れていき、他の作業員たちも作業をすべて終了させ安全な場所へと退避を開始する。

 と、カメラの中に必死に手を振っているアンジュの姿を見つけた。


「アンジュ、どうした?」

「今日の夜ご飯何がいい!?」

「それ今聞く!?」


 一応今から最前線に飛び込みに行く予定なんですけど。アンジュたちも今日の夜には合流予定とはいえ、なんか軽い質問だな。

 周りの避難済みの皆も苦笑している。


「戦勝パーティーしないといけないもんね。好きな物作ってあげる!」

「あー、じゃあ揚げ物で。がっつり肉がいい」

「分かった。期待しててね!」


 アンジュはそういうと他の隊員たちが退避している場所へと戻っていった。

 俺はアンジュの背中を見送り、全員に声を掛ける。


「火入れるぞ! 注意しろ!」


 そして、点火スイッチを入れた。

 ゴウッと強烈な音と共に、機体が激しく揺れる。カメラには、モクモクと吹き上がる煙と真っ赤な炎が映し出されている。点火は問題なかったみたいだな。

 そのままアヴィラボンブの出力を上昇させていく。

 体に強烈なGが掛かったかと思うと、次第に視界が高くなり始め、あっという間に足元の光景が小さくなった。


「飛翔は成功。次は角度」


 機体内に新たに追加されたアヴィラボンブのウィング用のレバーを操作し、機体の角度を調整する。これに失敗すれば、まったく見当違いの方向に飛んでいくからな。細心の注意を払って慎重に――


「ここだな」


 モニターで角度を確認しつつ、目標角度になった時点でウィングを戻す。

 研究者が言うには、この状態で五百キロ程度の速度が出ているはずだ。

 正直五百キロ程度でこの機体が空を飛べるのかと少々疑問に思ったものだが、何とか問題なく飛んでいる。

 このまままっすぐ行けば、二時間程度で到着するはずだ。今は午前五時まだ日は出てないが、空は白み始めている。

 早朝から攻撃を開始されていたら開戦には間に合わないが、途中参戦ぐらいはできるだろう。

 俺は細かくモニターをチェックしながら、最前線へと向けて一直線に飛ぶのだった。



「んで、戦闘中の様子見て、アヴィラボンブパージして飛び降りてきたわけだ」

「無茶してんな!」


 俺はこれまでの経緯をばっさりと簡単に説明する。

 それに対するバティスの反応は、至極まっとうな物だろう。

 けど、無茶はここまでじゃないのが悲しいねぇ。つか、ある意味ここからが本当の無茶をやらなきゃいけないのだ。なにせ、こっちはアブノミューレで相手はアルミュナーレなのだから。


「無茶にはもう慣れた。とりあえず目の前の奴から片づけるぞ」

「あいよ」


 敵は基礎タイプのアルミュナーレか。バティスが苦戦していたところを見るに、かなり熟練の騎士が乗っているのだろう。


「新手がアブノミューレ一機か。ずいぶんと舐められたものだな」

「これでも王国のエースだ。舐めていると痛い目見るぜ?」

「騎士はどのような敵に対しても全力で相手する。油断など無い!」


 言うや否や、敵機が前へと踏み出した。

 それに合わせて、俺とバティスも前に出る。

 やはり出力の違いか、アルミュナーレの方が足が速い。バティス機が俺の前に出て、先に敵機と切り結んだ。

 俺は即座に左へと回り、敵の側面を突く。


「甘い!」


 敵機は体を捻らせこちらの攻撃を躱し、さらにバティスの剣を俺の方へと流してくる。


「あぶねぇ」


 バティスが咄嗟に剣を止めるも、その隙は大きい。

 敵機はバティス機の懐へと機体を潜り込ませようとする。その動きを予測していた俺は二人の間に割り込み、相手の剣を逸らした。


「なかなかやる」

「ハッ、量産機にあしらわれてりゃせわねぇな!」


 慣れないコンソールながらも、ようやく感覚がつかめてきたし、戦況の把握もだいたいできた。

 そろそろ全力で行かせてもらおうか!


「バティス、奥の一機を戻せ。そろそろキツいはずだ」


 まずは、アブノミューレたちを一手に請け負っている奥の一機を戻させる必要がある。かなり優秀な操縦士のようだが、ここまで戦ってきたせいで武装のほとんどを消耗しきってしまっている。このままじゃ武器切れで落とされるなんてつまらない終わり方をしかねない。


「分かった。レオン! 戻ってくれ!」

「もういいのか?」

「え、レオンなの!?」

「む!? その声はエルドか。何が来たのかと思えば、ずいぶん派手な登場だな」

「まあな。つかレオンなら納得だ」


 細かく手元を操作し、受け流した剣をなぞるようにこちらの剣を振るう。

 敵機は手首を破壊されるのを防ぐため、大きく後退した。その間に、左手に持ったハーモニカピストレで脚部の関節を続けて狙う。しかし、微妙に着弾地点をずらされ軽く傷をつけるだけに終わった。

 その間にも、レオンはアブノミューレ達から一気に離れこちらに戻ってくる。すると数の不利を悟ったのか、敵もアブノミューレ側まで後退した。


「とりあえずレオンにこいつを渡す。ハーモニカピストレ本体は問題ないか?」


 装備をほぼ使い切っていたレオンに、俺は自分の装備の中から剣二本と弾倉を二つ渡す。とりあえずこれだけあれば、ここの戦闘は乗り切れるはずだ。


「ああ、助かる」

「さて、んじゃ反撃だ。ちっとばかし派手にやるぞ。要はバティスだ。一人だけいい機体乗ってんだから、きっちり働けよ」

「分かってる! 指示頼むぜ」

「さ、同期で大活躍と行こうか!」


 俺を先頭に、三機が一斉に敵に向かって突撃を掛ける。

 当然真っ先に出てきたのは、敵のアルミュナーレだ。他の機体は、どうも尻込みしている様子が見れる。俺の登場のインパクトや、レオンが一機で押さえてくれていたことが効いているみたいだ。なら、あのアルミュナーレを潰せば一気にここは押し切れる。

 反対側の戦場じゃ、アルミュナーレどうしが正面からぶつかっているみたいだし、向うの増援に早めに動きたいからな。

 ここはさっさと行く。


「バティス、アブノミューレに魔法。レオンは俺の後に続け」

「おうよ」

「分かった」


 バティスの機体の周りに炎の槍が浮かび上がる。

 それはドンッと空気を叩く音と共に飛翔し、アルミュナーレの後方にいたアブノミューレ達へ襲い掛かる。

 まさかアルミュナーレがアルミュナーレを無視するとは思っていなかったのか、後方にいた部隊が一気に浮足立った。


「このままバティスは後ろを狙い続けろ。レオンも後ろだ」

「卑怯者! 騎士ならば、騎士と戦え!」

「だから俺が相手になるっつってんだろ!」


 バティス機へと襲い掛かろうとした敵機に、俺が対峙する。

 俺だって歴とした王国騎士だ。文句はねぇよな!


「邪魔だ!」

「ツレねぇなあ! レオンもそう思わねぇか!」

「まったくだ!」

「クッ……」


 俺が敵機を引き受けているうちに、一度アブノミューレたちに向かうように思わせていたレオンの機体が後方から襲い掛かる。

 とっさに気づいた敵機は、俺の機体を力に任せて弾き飛ばし、レオンの攻撃を回避する。

 やっぱ純然たる力で負けてる。正直テクニックじゃどうしようもない差があるな。まあ、その分こっちは複数機でやらせてもらうが。


「ほら、おちおちしてると、やられるぜ!」

「舐めおって!」


 敵機が俺とレオンの機体に目がけ、同時に魔法を発動してきた。

 いつもならマジックシールドで相殺してしまうところだが、この機体にはついてないからな。なら躱すまでだ。

 至近距離から放たれる氷の槍。俺はそれをスライディングで躱し、相手の股の間へと滑り込む。ついでにハーモニカピストレで股下に数発打ち込んでみる。

 関節を狙った弾丸は、三発の内一発が命中し小さな爆発を起こした。


「なに!?」

「今だ! バティス!」

「待ってました!」


 俺の声に反応したのは、敵機のすぐそばまで走り寄ってきていたバティスだ。


「戻ってきたのか!? 我が軍のアブノミューレは!?」

「それならレオンと遊んでるぜ!」


 魔法を避けるために距離をとっていたレオンが、ハーモニカピストレを乱射し、アブノミューレ達を引き付ける役に交代していた。それを気づかせないための俺の股潜りである。敵機が真下にいれば、そりゃ視線も下がるよな。

 助走を込めたバティス機の渾身の突きが、敵機の脇腹から勢いよく突き立てられる。


「しまった!」

「散々面倒かけやがって。これで終わりだ!」


 バティスが剣を両手で握り込み、勢いよく持ち上げる。

 それと同時に、敵機の脇腹から操縦席にかけて勢いよく切り上げられた剣が敵機を破壊し、操縦席を蹂躙した。


「よっしゃ!」

「バティス、離れろ! ジェネレーターが爆発するぞ!」

「やっべ!?」


 バティスの切り上げは、操縦席の真下にあるジェネレーターを勢いよく破壊していた。

 あいつ、勢いに乗りすぎて突撃個所が微妙に狂ってたな。

 とっさに後方へと飛び退り、敵機と距離をとる。

 直後、ドンッと巨大な爆発が起き、俺たちの機体が爆発の衝撃でなぎ倒される。衝撃はそれだけにとどまらず、周辺にいたアルミュナーレもアブノミューレもことごとくをなぎ倒し、猛威を振るう。


「クッ、これがジェネレーターの爆発か」


 衝撃が収まったところで急いで立ち上がれば、その惨状がモニター越しに飛び込んでくる。

 戦場にいたほぼ全機が倒れ、木々はことごとく吹き飛んでいる。

 剥き出しになった土は衝撃波の後を残すように波上の模様を作り、その中心点にはクレーターを残し何も残っていない。


「やべぇ……やっちまった。エルド、俺どうすりゃいいんだ!?」

「落ち着け。破壊したのは敵機のジェネレーターだ。まだ陛下の持ち物じゃないからセーフだ」


 たぶん。


「ほ、ほんとに大丈夫なんだよな?」

「まあ、口添えぐらいはしてやる」

「それ大丈夫って言わなくね!?」

「そ、それよりまだ戦闘中だぞ! 倒れてる敵を一気に叩くぞ!」


 俺の言葉は、爆発直後の静寂を伴った戦場に良く響いた。

 そして、それを聞いた敵のアブノミューレたちが、我を取り戻したように逃げ出し始める。


「ま、待て! 敵前逃亡は重罪だぞ!?」


 敵のアルミュナーレたちが必死に抑えようとしているが、一度出来た波はそう簡単に収まらない。

 蜘蛛の子を散らすように逃亡していくアブノミューレたちに、アルミュナーレの隊員たちも戦線の維持を諦めたのか、次第に撤退を開始する。

 図らずも、ジェネレーターの爆発が、戦闘を終了させることとなったのだ。


「さ、バティス、始末書の準備しないとな」


 俺は呆然としていたバティス機の肩に手を置き、にこやかに死刑宣告を告げるのだった。


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