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3

 翌日の夕方。砦から撤退してきた部隊がロッカ基地に合流した。

 即座に幹部たちが集まり、撤退してきた部隊からの情報を集めていく。

 俺も、その会議に参加して、戻ってきた騎士の話を聞いてみることにした。実際に戦ったやつの話を聞くのが一番いいからな。

 撤退部隊から、情報収集のために呼ばれたのは、砦の司令官と三十六アルミュナーレ隊隊長のボンヌという人物だった。


「では報告を聞かせてもらう。早馬から多少情報はもらっているが、圧倒的に敵の情報が足りない。前線基地で何が起こったのか、教えてくれ」


 オーメル司令の言葉で会議が始まる。最初に発言したのは、砦の司令官だ。何とも気の弱そうな人で、今まで見てきたいかにも軍人然とした司令官たちとは打って変わって、中間管理職の疲れ果てたサラリーマンのような人である。

 少し離れた俺の場所からでも、額から噴き出している汗がよくわかる。たぶん、こういう場所になれていないのだろう。


「あー、えー、まず何から話していいやら。自分は騎士様から作戦の提案を受け、それを実行しただけですので、敵自体を直接見ているわけではありませんでした。ただ、もの凄い数の敵が来たから、砦を放棄破壊して進路を塞ぎ、時間を稼いでいる間に撤退しただけです」


 おう……完全にお飾りだわ、この司令官。実際に見てないからほとんど分からないって、それ司令官が言っちゃいけないセリフだろ……

 周りも俺の意見と同じなのか、会議室の中に白けた空気が漂う。

 司令官も空気を読むことは得意なのか、その変化に焦ったようで余計に汗を噴き出していた。もう大洪水である。


「分かった……では次はボンヌ隊長だ。実際に敵と交戦したそうだな?」


 オーメル司令も、司令官から情報を聞き出すことを諦め、実際に侵攻部隊と砲撃戦をしたアルミュナーレ隊の隊長を見た。

 ボンヌ隊長は、三十後半のどこかボドワンさんに雰囲気の似た人だ。貴族っぽい雰囲気を纏いつつも、軍人としてもしっかり鍛えられている。まあ、アルミュナーレ乗りで鍛えられていない人なんていないんだけど。


「ハッ! 発見から撤退までの流れを説明させていただきます。敵発見の一報が届いたのは、十三時前後。自分は即座にアルミュナーレを起動させ、城壁からカメラで敵の様子を観察しました。敵のアルミュナーレが異常に多く、その場で百以上だと確信したため司令官に砦を放棄し時間稼ぎに徹するよう兵士たちに指示を出しました」


 ボンヌ隊長の話を要約するとこんな感じになる。

 最初に敵の大群を見つけた時点で、砦での防衛は不可能と判断したボンヌ隊長が砦の破棄を司令官に進言。同時に、防衛の兵士たちに、大砲で斜面を撃ってがけ崩れでアルミュナーレを破壊ないし足止めさせる作戦をとった。

 大砲ではアルミュナーレを直接破壊するだけの力は無くても、がけ崩れで落下してくる岩石ならば多少なりともダメージを与えられると判断したのだろう。

 実際にそれで数機を破壊したらしい。大活躍じゃないか。

 そして、進言を受け入れた司令官が砦の破壊準備を終了させると同時に砦を放棄。全員を脱出させた時点で、仕掛けた爆薬を使い砦を瓦礫の山に変えたのだとか。これのおかげで、敵の侵攻を一日から二日は遅らせられる。

 正直、現状ではベストな判断だったと思う。

 オーメル司令を初め、他の幹部もボンヌ隊長の話を聞きながら仕切りにうなずいている。


「それと、最終的に確認した敵機の数になりますが、二百五十から三百の間だと思われます」


 最悪で三百機のアルミュナーレ。そう聞いて、会議室の空気が一気に重い物へと変化する。そんな中で、オーメル司令は何とか平静を保ちつつ口を開いた。


「よく分かった。ボンヌ隊長の判断は最善だったと考えられる。わずかな時間で最高の働きをしてくれたな」

「いえ、これが騎士としての役目ですので」


 うーん、作戦の立案とかは違う気もするけど、あの司令官だし仕方ないのか?


「ほかに何か気になることはあったか? 敵機についてもう少しわかることがあればいいのだが」


 それは俺も聞きたい。というか、それを聞くためにこの会議に参加したのだ。


「はい、二点ほど気になる箇所がありました」

「なんだね?」

「敵のアルミュナーレはハリボテです」

「ハリボテ?」


 ボンヌ隊長の言葉に、俺は思わず聞き返してしまい、慌てて謝罪する。


「彼は?」

「第一近衛アルミュナーレ大隊第二王女警備隊のエルド隊長だ。本来ならイネス様と共に後方に退避する予定だったのだが、イネス様が防衛のためにと残してくださったのだ」

「そうだったのですか」


 ボンヌ隊長が会釈してきたので、俺も簡単に会釈で返す。


「エルド隊長は、私たちと同じだけの権限を持っていますので、謝る必要はありませんよ。実際に直接剣を交えるのは隊長たちなのですから、気になるのは当然でしょう」

「ありがとうございます。それで、ハリボテとは?」


 オーメル司令の許可が出たので、改めて聞き直す。


「敵のアルミュナーレですが、異常に脆いのです。がけ崩れはもちろんですが、砦からの直接の大砲でも大破していました」

「それは確かにおかしいですね」


 至近距離で撃たれたのならばまだしも、侵攻してくる敵に撃ったということは射程もギリギリだったはずだ。そんな玉ならば、アルミュナーレの装甲は抜けないし、上手い操縦士ならば弾を受け止めることすらできるはずである。

 だからこそ、今まで実弾兵器が全く発展してこなかったんだし。


「それともう一点ですが、敵機は魔法を使えない可能性があります」

「使えない? 使わないのではなく?」

「ええ。自分も防衛時に魔法を放ってけん制していたのですが、ファイアランスの直撃した数機が大破しました。見たところ、装甲も抜けていたので、かなり薄い物のようです」

「なるほど」


 魔法を使えないのと使わないのでは大きな違いがある。

 山越えの侵攻を行っている敵からすれば、濃縮魔力液(ハイマギアリキッド)の残量はもっとも注意しなければいけないことだ。

 だから、燃料を節約するために魔法を使わないのならば理解できるが、さすがにファイアランスが飛んで来ればマジックシールドぐらいは展開するはずである。

 それもなく装甲を貫かれているとなれば、魔法を使えない可能性が出てくる。それも数機となればほぼ確実だろう。

 その上、薄い装甲。まさしくアルミュナーレのハリボテだ。


「もしあのハリボテをアルミュナーレだというのならば、自分はすでに双頭獅子勲章をいただけるだけの活躍をしたことになりますので」

「そこまでですか。ならば少し可能性が見えてきますね」

「ええ、ただすべてがそうであると確信して言えるわけではありません。確実に何機かは、本物のアルミュナーレが入っているはずです」


 まあ、それはそうだろう。すべてハリボテでは数的有利を作っても実際に制圧することができなくなってしまう。後方に数機のアルミュナーレを潜ませて、混乱に乗じて本拠地をアルミュナーレで叩くのが常套手段になりそうだ。

 だが、本物は多くても五機は超えないだろう。ならばやりようはある。


「すこし防衛ラインの構築を見直したほうがいいかもしれませんね」

「そうですね。それならば、大砲の数をもっと増やしたほうがいいでしょう」

「主戦場も細い道を使ったほうがいいのでは」

「いや、斜面に誘導して雪崩を」

「まだそこまで溜まっていない。小規模では意味が――」


 新たな情報によって紛糾した会議は、深夜まで続くこととなった。



 翌朝。俺は眠い目をこすりながら格納庫へと顔を出す。

 そこには、昨日までなかった三機目のアルミュナーレがあった。十中八九ボンヌ隊長の機体だろう。

 格納庫の整備士たちが急ピッチで作業を進めており、昼には出撃完了になりそうだ。


「エルド隊長?」


 声を掛けられ振り返る。そこには、ボンヌ隊長とアズラ隊長がいた。


「お疲れ様」

「お疲れ様です」「お疲れ様です」


 互いに敬礼して、挨拶を交わす。


「エルド隊長の機体は凄いですね。あの左腕、どうなってるんですか?」

「あの中に一応左腕は入ってますよ。まあ、固定してあるので関節は動きませんが」

「右腕一本で戦うのですか?」


 ボンヌ隊長は信じられないといった表情で俺を見る。俺は苦笑しながら、俺の特殊な操縦方法を説明した。

 王都やフォートラン、ジャカータだと結構有名になってきている俺の操縦方法だが、ここぐらいまで来るとまだまだ知らない人も多いらしい。たぶん、別のブロックでもほとんど知られていないのだろう。

 ジャカータだけは、俺が実際に何度か戦闘しているし、同じような操縦をするバティスやレオンもいたからな。


「そんな操縦方法が」

「まあ、かなり癖が強いので、使えるようになるのは結構練習が必要ですよ」

「そりゃそうですよ。操作レバーから手を離すなんて、自分じゃ考えられません」


 アズラさんは、ぶんぶんと首を横に振る。

一般的なアルミュナーレ乗りだとそういう考えたかになるのか。同期は操縦自体になれていなかったから、そういうものだと思っていたし、第一大隊の人たちは全員精鋭だからか、割と簡単にハーフマニュアルを習得していたからな。


「自分もこの戦いにひと段落付けた後で、練習してみますよ」

「そうですね。だからさっさとこの戦いを終わらせてしまいましょうか」

「ええ、頑張りましょう」


 互いの健闘を祈り、俺たちは三人で拳をこつんとぶつけ合わせた。



 俺がこのロッカ基地に来てから五日。とうとう敵が砦を抜けてロッカ基地まで来ていた。

 城壁に設置された大砲の射程外にハリボテ部隊を展開し、基地を威圧してくる。


「我々はオーバード帝国アブノミューレ大隊である! 戦力の差は見ればわかるはずだ! 基地の指揮官は直ちに降伏し武装を解除せよ! 降伏しないのであれば、命の保証はない!」


 壁の外から聞こえてくる敵将の降伏勧告を聞きながら、俺は自分の機体を起動させる。

 俺の両隣では、同じようにアズラ機とボンヌ機が起動していた。


「私はロッカ基地司令オーメルである! 降伏勧告は受け入れられない! 我々フェイタル王国の兵士は、オーバードに屈することはない! 門を開け! アルミュナーレ全機出撃! 目の前の敵軍を殲滅せよ!」


 オーメル司令の指示と共に、目の前の門が開かれていく。そして、モニターに映る大量のアルミュナーレ。いや、奴らはアブノミューレと呼んでいたか。おそらくそれが、あの量産型機体の名前なのだろう。


「さて、行きましょうか。一人百機の計算と言いたいところですが」

「さすがに無理ですよ。燃料が持ちません」

「そうですね。効率よく叩いても、三十が限界かと」


 アズラさんからは即座に否定され、ボンヌさんからも無理だと言われてしまった。

 ボンヌさんは実際に魔法で撃退しているし、そのことを含めて計算しての三十機なのだろう。ならば――


「ではボンヌ隊長は三十機を。アズラ隊長は十五機を目標にしてください」


 さすがにボンヌ隊長よりも経験の短いアズラ隊長に同じだけの戦果を期待するのは酷というものだ。

 とりあえずボンヌ隊長の半分。十五機撃破を目標にしてもらおう。


「残りはどうするつもりですか?」

「もちろん、俺の獲物です」


 さて、始めさせてもらいましょうか! 俺が望んだ、俺だけの機体! その初陣を華々しく飾るための、案山子になってもらうぞ、アブノミューレ!


 門が開き切ると同時に、俺は機体を全速力で走らせる。


「早い……」

「追いつけん」


 一瞬の内に二機を置き去りにして、降伏勧告の拒否と同時に侵攻を始めた敵の軍勢に向けて突撃した。

 手始めに、先頭にいた機体にむけてファイアランスを放つ。それはあっさりと敵機の操縦席を貫き、機体を爆破させる。

 ほかの機体が慌てて左腕の大砲を構え、こちらに向けて発射してきた。しかし、照準もしっかりと機能していない、旧時代の大砲が俺の機体に当たるはずもなく、弾は見当はずれの方向に飛んでいく。


「アルミュナーレの射撃武器はこういうのを使うんだよ!」


 ファイアランスを放ち続けながら、俺はアーティフィゴージュからハーモニカピストレを取り出し、敵機に向けて放つ。

 対アルミュナーレでは関節を狙う程度しかできなかったハーモニカピストレだが、ハリボテの装甲はしっかりと貫いてくれた。

 ダンッ、ダンッと発砲音がするたびに、一機の機体が操縦席を撃ち抜かれ、燃料を漏らしながら倒れていく。

 武器はたんまりあるといっても、敵機の数が数だ。一撃必殺を心掛けて、確実に操縦席を撃ち抜いていく。


「弱い、脆い! 遅い! そんな機体で、俺を止められると思うなよ!」


 距離が近くなってきたところで、大砲の照準が合わさり始めた。

 そのうちの一発が機体への直撃コースをとる。俺は即座に弾の残っているハーモニカピストレを投げ捨て、ファイアランスで爆破させることで弾の軌道を逸らした。

 同時に、操縦席でスイッチを入れ替え、左腕を操作して前へと構える。


「逃げねぇと潰されっぞ!」


 一気に敵との距離を詰め、目の前に迫った敵に向けて極太のアーティフィゴージュをぶつけた。

 グシャッという音と共に、機体の頭部と操縦席の一部が押しつぶされ、中から僅かに悲鳴のようなものが聞こえた。

 だが、そんなものを今さら気にすることなどない。

 そのまま力強く踏み込ませ、後方に並んでいる機体を巻き込んでまとめて殴り飛ばす。

 隊列にできたわずかな切れ込みを作り、さらに押し広げる。

 剣を抜き、真横に機体を切り飛ばし、魔法を放って後方の敵を焼く。

 いつの間にか囲まれていたが、ハリボテに囲まれたところで恐怖など感じない。むしろ、どこを見ても俺の餌が溢れかえっているのだ。

 口元にできた笑みが、笑い声になりそうだ。


「エルド隊長! 突っ込み過ぎだ!」

「エルド隊長、大丈夫ですか! 今助けます!」


 後方からやっと追いついてきた二人が俺の作った切れ目に向けて突撃してくる

 にしてもアズラ隊長――俺がピンチだとでも思っているのか?


「アズラ隊長、こいつらならあなたでも三十狙えます。目標は三十に変更ですよ!」

「今そんなことを!」


 アズラ隊長がまた何か言おうとしていたが、俺はそれを無視して機体を操作させる。

 左腕を地面へと突き立て、武器取り出しのための回転する機能を利用して周囲にいた敵兵に向けて一気に剣と蹴りと魔法をお見舞いさせる。


「何か言いましたか? しゃべっている暇があるなら敵機を屠らないと、俺が全部倒しちゃいますよ!」

「え、あ、うん…………頑張ります」

「そうしてください!」


 言っている間にもさらに数機を撃破し、俺の標的へと向かって前進する。

 その先にいるのは、この部隊の司令。そして、本物のアルミュナーレ! こんな雑魚ばかりに興味はない。そもそも、この戦いを終わらせるためには、頭を叩かなければならない。

 ある程度減らしたら、頭を狙う。そのために、狙えるぐらい敵の深くまで食い込まねぇとな!

 握っていた剣が、限界を迎えバラバラに砕け散った。

 それを好機と見たのか、周辺の雑魚どもが一斉に斬りかかってくる。けど甘い!

 俺はアーティフィゴージュから新な剣を取り出し、同時に一部に土壁を作る魔法を発動させ敵の進路を限定させる。

 この魔法、クレイウォールというのだが、今回のためにわざわざカリーネさんに描き込んでもらった魔法だ。突撃前提の作戦だからな。防御系の魔法ぐらい用意している。

 目の前の三機を切り払い、土壁を崩した敵兵目がけて、ハーモニカピストレを放ち順番に破壊していく。

 すると、少し離れたところから叫び声が聞こえてきた。

 一瞬アズラ隊長かボンヌ隊長かとも思ったが、どうやら敵の指揮官のようだ。

 後方に構えて、余裕だと思っていたらいきなり襲い掛かられているわけだからな。慌てるのもまあわかるが、わざわざ居場所を教えてくれるとは有り難い!

 声のする方向に向けて、魔法を放ちながら一気に突っ込んでいく。

 次第に声が大きくなり、殺せ殺せと叫んでいるのがわかる。


「見つけたぞ!」


 そこには、魔導車に乗って慌てているデブの姿。


「何をしている! 早く私を守れ!」


 健気にも俺の進路を塞ごうとした機体が、アーティフィゴージュにすり潰される。

 そして、大将までの間に障害物がなくなった。

 俺は即座にファイアランスを放つ。

 しかし、ファイアランスは大将に当たる直前に割り込んできた機体によって防がれた。


「ずいぶん暴れてくれたな!」

「あんたは本物みたいだな!」


 その機体は本物のアルミュナーレだった。だからこそファイアランスをかき消されたのだ。


「貴様は危険すぎる! ここで落とさせてもらうぞ!」

「ハッ、やれるもんならやってみな! 今の俺は絶好調だ!」


 敵機と剣をぶつけ合い、つばぜり合いで押し込んでいく。お互い片腕での剣ならば、こちらのほうがパワーは上だ。


「クッ」

「おら!」


 一気に踏み込み、敵機を後退させる。その隙をついて迫ってきていた雑魚を数匹刈り取り、頭部を引きちぎってアルミュナーレに向けて投げつけてやった。


「さて、二人の様子は?」


 敵が態勢を立て直す間に、俺は後方の二人がどうなっているのかを確かめる。

 二機は互いに背中を合わせてかばいながら、周囲の敵を順調に倒しているようだ。互いに背中をかばいながらって、なんか主人公っぽくていいな。今の俺、完全に悪役だし。


「このぉぉぉおおお!」


 敵機は俺が投げ飛ばした頭部を盾で弾き飛ばし、俺目がけて再び突撃してくる。周囲への被害を気にしているのか、魔法を使う気は無いらしい。

 大規模での人型ロボットの扱いを間違えたな。初めての運用だから、歩兵のように密集させて扱ったんだろうけど、人ほど即座に動くこともできず、動きも早くない人型ロボットがそんな風に詰めればどうなるか。切り込まれれば、今のように誤爆を恐れて動きに制限がかかる。アルミュナーレの長所をことごとく潰しているじゃないか!

 ファイアランスを敵機の足元目がけて放ち、突撃を和らげる。その間に、俺は近くまで来ていた一機の片足を破壊し、バランスを崩した機体を受け止めてアルミュナーレの前へと突き出した。

 慌てた敵機はバランスを崩しながらそれを回避する。パーツだけなら、弾き飛ばせても人が乗っていると無理みたいだな。操縦士が鬼畜じゃなくてよかったよ!

 俺は投げ飛ばした敵目がけて、握っていた剣を投げつける。剣は操縦席を貫き、機体を爆破させた。

 そして、アーティフィゴージュに格納されている最後のハーモニカピストレを取り出し、バランスを崩して転がるアルミュナーレに向けて発砲する。

 放たれた弾丸は、剣を握る指と片足の関節を破壊した。


「まだ!」

「終わりだよ!」


 なおも立ち上がろうとする敵機目がけて、俺は左腕を振り下ろす。

 アーティフィゴージュは機体の頭部から操縦席までを一気に破壊し、操縦士を叩き潰した。


「さて、後はどこにいるかな?」


 アルミュナーレは後数機はいるはずだ。また大将を狙えば出てきてくれるかな?

 そんなことを考えつつ、戦っている間に逃げてしまった大将を探して、俺は再び蹂躙を開始するのだった。


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