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魔導機人アルミュナーレ  作者: 凜乃 初
緩衝地帯建砦編
112/144

15

「あの色は」


 俺は空に上がる二色の煙を見ながら、機体の歩みを止める。

 あれは帝国側の撤退指示だ。と言うことは、この場での戦闘で帝国側は敗北を認めたということだろう。

 だがまだ気は抜けない。本部がいくら撤退の指示を出していたとしても、怒りにのまれて暴れる馬鹿ってのはどこにでもいるからな。

 周囲を警戒しつつ、ついでに仲間たちの様子を確認する。

 誰もが、二色の煙を見ながら安心している様子だ。どの機体も足を止めて、周囲の様子を確認している。

 まあ、中央は俺が強引に攻め込んだおかげもあって、ほとんど川まで押し込めていたし、敵機もほぼ残っていない。川岸に残って踏ん張っていた連中も、こちらを警戒しながらも徐々に川を渡って撤退している。

 中央は問題なさそうだな。

 後は北と南か。

 カメラをズームさせ、まずは途中から騒がしくなっていた北を確認する。

 川岸近くでも、比較的味方機が多く、押し込めていたようだ。数も最初よりかなり増えている気がするから、もしかしたら増援が来たのかもしれない。

 なら南はどうだろうか?

 反対側を向き、カメラを再びズームさせる。


「少ないな」


 川岸にも、それよりも王国側にも帝国側にも、全体的に機体の数が少ない。

 北側の半分にも満たないんじゃないだろうか。

 もう撤退がほぼ完了しているのかとも考えるが、信号が上がってからほとんど経っていないし、川を渡る敵機の様子もほとんど見られなかった。

 お互いに激しく消耗したってことか?

 確かに、地面に横たわる機体の数は多い。だが、どれもそれほどダメージを受けたようには見えない。急所を一撃で破壊されているようだ。

 そんな戦い方、こいつらにできたのか?

 確かに、一流の操縦士ならば操縦席だけを破壊して敵機を倒すことは出来るかもしれない。けど、それはアルミュナーレの操縦者に選ばれるような一握りだけだ。アブノミューレたちの操縦士じゃあ、知識も経験も足りないはずだ。

 となれば――考えられる可能性は少ない。

 両側のエースが、お互いを無視して周辺の雑魚をなぎ倒していったのか。

 もしくは、第三者の介入。


「少し調べるか」


 このまま何事もなく終わってくれればいいのに。そう思いながら南へと向かおうとしたとき、後方が騒がしくなる。

 振り返れば、どうやらアブノミューレたちの間を帝国側の機体が突っ切っているようだ。

ずいぶんアグレッシブな撤退だなと思いつつ、そちらに注意を向ける。

 敵機は一機。逃すまいと立ちふさがるアブノミューレを手玉に取り、まるでスキップでもするかのように優雅な足取りでこちらへと近づいてきていた。

 その動きに、俺は感心する。


「綺麗なもんだ」


 無駄のない動きは、機体への負荷を極力減らし、今のような乱戦で少しでも長く戦えるように考えられている。武装は剣が一本しか無いようだが、手を上手く使って攻撃を全て受け流し、逆に相手の体勢を崩して背後からの追撃を防いでいる。

 その機体が通り過ぎた後には、脚部や腕を破壊されたアブノミューレたちが大量に横たわっている。その光景は南側の戦線そのものだ。


「なるほど、傭兵の無差別破壊か。帝国も雇うやつを間違えたんじゃないか?」


 そんなことを呟きつつ、俺は羽根の剣を両手に握る。

 動きがいい。ここでこいつを逃がせば、後々の障害になる可能性が高い。


「行くぞ、ペスピラージュ」


 ペダルを踏み込み、機体を一気に加速させその機体へと接近する。

 正面から来た俺の機体に対して、相手は焦る様子もなく素早く剣を引き抜く。それは、まるで日本刀のような滑らかな曲線の入った片刃の剣。

 敵機は足を止めずに抜いた剣の先を地面へと軽くこすり当てる。

 何かくる。

 俺の予感が警戒を告げ、即座に進路を変更した。直後――

 ドパンッ!

 すぐ近くの足元が爆発を起こし、盛り上がった土が鋭利な槍となって操縦席があった場所の空間を穿つ。

 剣に注目を移しといて、本命の魔法を剣の先から発動させて、ペスピラージュの足元で機動させたのだろう。


「上手いな」


 相手の戦闘技術を素直に褒めつつ、再び進路を敵機へと向ける。

 そして、二機が剣の間合いへと入ると同時に、俺は右腕の剣を振るう。

 相手はそれを剣で受け流しつつ、こちらに左手を伸ばしてくる。さっきまでの動きを見るに、あの左手が鍵になってきているはずだ。

 伸ばされる手へと、左手の剣を振るう。

 敵機はすぐに手を引き、鍔迫り合いを行うつもりは無いのか、数歩下がった。

 そして、俺と戦うことを避けるかのように、進路を変更して大回りで川へと向かう。

 当然俺も追いかけ、その進路を塞いだ。


「おいおい、逃げるなよ」

「雇い主から撤退指示が出てるんだけど」


 相手から帰ってきた声を聴いて、一瞬俺の思考が止まる。


「見逃してくれないかしら?」

「レイラ……なのか?」

「ええ。エルドはずいぶん暴れたみたいね。まさか左手も使ってくるなんて思わなかったわ」


 だから即座に後退したのか。こちらが剣を握っているのにもかかわらず、そのまま腕を伸ばしてきたのは、操縦者が俺だと感づいていたからみたいだ。


「本当にレイラなら、余計に逃がす訳にはいかない」

「いくら相手がエルドでも、逃げるだけならなんとでもなるわ」

「させない!」


 羽根を展開し、レイラの機体に向けて一斉に発射する。

 レイラは即座に後退しつつ、魔法で剣を遊撃してくるが、明らかに間に合っていない。

 回避と受け流しで全てを躱しきるも、俺は先ほどのお返しとばかりに剣の先に魔法の発動設定を入れておいた。

 レイラ機の曲刀で弾かれた剣が、地面へと突き刺さり爆発を起こす。

 衝撃にレイラの機体が揺れ、バランスが崩れる。俺は羽根を引き戻しつつ、ペルフィリーズィを構え、引き金を引いた。

 ダラァンッ!と聞き慣れた銃声とほぼ同時に、レイラ機の肩装甲がはじけ飛ぶ。頭部を狙ったのだが、バランスを崩した際の動きが予想以上に早かった。

 それに、撃たれた衝撃もしっかりと逃がしつつ、すぐに体勢を立て直してくる。そして、ペルフィリーズィを構える俺目がけての突進。

 俺は即座にペルフィリーズィを投げ捨て、地面へと突き立てておいた剣を回収しレイラと切り結ぶ。


「いい加減やめろ! ここの砦が出来れば、戦争は終息する!」

「させないわ! 帝国と王国にはまだ戦ってもらう! もっと疲弊して、もっと苦しんでもらわなきゃ!」

「自分の味わった苦しみだろう! なんで人に与えられる! それを受ける辛さは、レイラが一番知っているはずだ!」

「ええ、知ってるわ! だからこそ、他の人たちにも教えてあげないとね! そうしなければ、本当の意味で戦争を終わらせることは出来ないわ!」

「違う! 憎しみと悲しみじゃ戦争は終わらない!」


 その感情は、次の引き金を引くための力に代わってしまう。

 いくら疲れていても、どれだけボロボロになったとしても、引き金を引くだけの力を、剣を振りあげるだけの気力を絞り出してしまう。


「レイラの先にあるのは、どちらかが滅びるまで続く戦いだぞ!」

「そんなこと、なんでエルドが断言できるのよ! まだ私と同じしか生きていない、エルドが!」

「それが歴史だろうが!レイラたちに追いつくために、必死に勉強してきた教科だ。嫌って程、頭に叩き込んであるんだよ!」


 この世界だって、アルミュナーレが出来るまでは幾度となく人同士の戦争を繰り返してきたのだ。

 その流れが今の生きているということは、レイラの行動の先には、レイラの望む未来は存在しないってことだろ。



「なら歴史から学べばいいのよ! 学ぶまで苦しみ続ければいいのよ!」

「そんな悠長なことやってたら、学ぶ前に滅ぶわ! 人間の愚かさなめんなよ!」


 お前らより技術の進んだ世界でな! 俺は嫌って程、人間の馬鹿さ加減を、見て聞いてきたんだよ!


 両手の剣で、レイラの剣を抑え込み、羽根を展開して至近距離から頭部を狙う。

 射出された羽根は、頭部の半分を抉り、カメラを破壊した。


「クッ」

「こんなことはもうやめて、どっか逃げろ。帝国挟んだ先なら、王国だって簡単には手が出せないはずだ」


 もうフェイタル王国にレイラの居場所はない。裏切りの姫として、レイラの名前は周知され、手配書も回っている。

 自分から降伏しても、待っているのは死刑一択だ。出来ることなら、レイラにそんな未来を歩ませたくはない。

 これは俺の勝手な感情だ。同期として一緒に勉強してきたから、情があるのは当然だ。多くの敵兵を殺してきた俺だって、知り合いを簡単に殺せるほど、心は壊れちゃいない。

 だが、俺の声はレイラに届かない。


「こんなところで終われるわけがないじゃない! 私は死ぬ覚悟を決めて傭兵になったの! 中途半端は絶対にしない! 私は私の命の一滴まで、全てを賭けて戦争を続けさせるわよ」

「だったら!」


 もう戦えないように、その剣を破壊する!

 羽根を引き戻し、両腕に力を込めてレイラの機体を弾き飛ばす。

 バランスを崩したところに、レイラ機の脚部目がけて剣を投げつけ地面へと縫い付けた。


「しまっ」


 焦る声が聞こえてくるが、もう遅い。

 俺はレイラ機の背後へと回りながら、その剣を振るう。

 レイラの機体は武装をほとんど持っていない。装甲も当然最低限であり、背中には、操縦席への入り口があるだけだ。

 その入り口から、腰に掛けて一筋の切り込みを入れる。

 操縦席までは届かない。けれども、その切っ先はギリギリで物理演算器(センスボード)を破壊する位置。

 昔の俺の機体だったら無理だっただろう精密な斬撃。それを可能にしたのは、カリーネさんとオレールさんがくみ上げてくれた、物理演算器(センスボード)三枚を連動させた空間把握能力と、数ミリ単位の操作性だ。

 脳を失い力なくひざを突くレイラの機体。俺は破壊した入り口からレイラを引っ張り出すべくそこに手をかける。

 そして、即座にその場から距離を取り、剣を構えた。


「見つけたよぉ! 君隻腕でしょ!」


 そこに飛び込んできた一機のアルミュナーレ。

 それは、もはや見慣れてしまった強敵。フォルツェの物だった。


「戦闘狂!」

「隻腕のは隻腕じゃなくなっちゃったんだ! なら、刃翼(とうよく)のとでも呼ぼうか!」

「そう呼べるのは、今日までにしてやるよ!」

「ハハ! 今日はやる気だねぇ!」

「今日こそは、逃がさねぇぞ!」

「さあ、楽しく殺し合おうよ!」


 俺とフォルツェ。お互いの機体が激しくぶつかり合う。

 フォルツェは既に全身から白煙を出しており、機体のスペックを引き上げているのが分かる。そのせいか、フルマニュアルで操作しているのにフォルツェの機体のスピードを追い切れていない。

 だからと言って、手が無いわけではない。

 羽根を展開し、それぞれ十五度刻みで射出する。

 移動が速くたって、移動先に刃があれば、止まらざるを得ないだろ?

 だがフォルツェは、即座に機体をステップさせると、真っ直ぐに俺の懐へと飛び込んできた。コンマ一も機体の動きを止めるつもりは無いらしい。

 俺は飛び込みに合わせて、膝蹴りを放つ。

 追加装甲の装備された膝は、容易に敵機の操縦席を穿てる。

 フォルツェも膝の装甲に気が付いたのか、飛び込みながらも地面を叩き機体の傾きを変えて膝を躱す。

 そのまま後方へとすり抜け、即座に反転した敵機が腕を突き出す。

 フォルツェの機体は、剣と同等の鋭さを持ったあの爪が特徴だ。限界を超えた速度で、あの腕を振るい、敵を穿つ。

 反転していては間に合わない。

 俺は羽根の展開を戻し、その羽を使って爪を受け止めた。


「へぇ! そんな使い方もあるんだ!」

「感動してる余裕はねぇぞ」


 振り向きざまに剣を振りつつ、そのまま投げつける。

 飛んでくる剣に反応したフォルツェは、機体を跳ね上げるようにジャンプさせる。だが、その剣はフォルツェのいた場所を通り過ぎることはなかった。

 俺があらかじめ剣の柄尻に接続しておいたケーブルを引き戻したからだ。

 そして、右腕に構えるのはペルフィリーズィ。ジャンプ中なら、曲芸じみた動きも少しは収まるだろ。

 カーソルに合わせて引き金を引く。

 ダラァンッと打ち出された弾丸は、フォルツェ機の脇腹を抉り、空中で機体を横回転させる。

 激しい土煙を巻き上げながら、背中から落下するフォルツェの機体へ、さらに追撃の弾丸をお見舞いする。

 煙で姿は見えないが、背中から落ちているのだ。すぐに体勢を立て直すのに、行動範囲は限られる。

 だが、この程度じゃやられてくれる相手じゃない。

 俺は羽根を展開して、相手の動きから予想される煙からの奇襲ポイントに、羽根の射角を合わせた。

 一瞬の後、煙が渦巻きそこから黒い獣が飛び出してくる。

 予定していた通りの場所だ。

 羽根を射出し、けん制。そして、他の部分を狙っていた羽根から二本を手に握る。

 射出した羽根はあっさりと躱されるが、奇襲の勢いはそいだ。

 敵の爪を剣で受け止め、力勝負となる。


「ククッ、やっぱり強いね! 刀翼の! 僕が見込んだだけのことはあるよ!」

「うるせぇ! いい加減しつけぇんだよこのストーカーが! クソガキはそろそろおねんねしてろ!」


 ミシリと剣が軋む音がする。それと同時に、フォルツェの機体の指にも罅が入るのが見えた。

 こちらが先に壊れれば、俺がやられる。けれど、むこうの指が先に壊れれば、そのまま押し切れる。

 どちらにするか――いや、こいつに命のリスクを賭けるのはもったいなさすぎる。

 素早く剣を引いて、相手の手から離させる。

 フォルツェは更に懐へと飛び込んできた。


「狙い目見っけ!」

「甘い!」


 膝を上げ、再び蹴りのように見せかける。

 一度見た攻撃は、フォルツェもそう簡単に当たるわけがない。即座に手の伸ばし、膝の追加装甲を掴んだ。

 だが、俺の狙いはそこじゃない。

 そのまま足を延ばし、つま先が腹部へと押し当てられる。


「ファイア!」


 ズガンッと強烈な音がして、爪として装備されていたパイルバンカーが火を噴く。

 打ち出された鉄杭が、フォルツェ機の腹部を穿ち、風穴を開いた。


「うわっ」


 突然の衝撃に、フォルツェの機体が大きく後退し、そのまま膝を突く。

 穴からは、魔力液(マギアリキッド)の光があふれ出し、勢いよく空へと溶けていく。


「これで終わりだ」

「こんな武器まで隠してあるなんてね。やっぱり刀翼のは凄いや!」


 自分が追い込まれているのにもかかわらず、聞こえてくるのは楽しそうな笑い声。

 完全に狂ってやがるな。


「さあ、どうやって僕を殺すんだい?」

「殺すだけなら」


 俺は剣の切っ先をフォルツェ機の胸部へと当てる。


「これだけで十分だ」


 大きく腕を引き、勢いをつけて突き出す。

 その切っ先は、フォルツェ機を貫く直前で、横からの衝撃に砕け散る。


「なっ!?」


 驚きながらも、即座に衝撃が来た方向を確認すれば、そこにはもう一機黒いアルミュナーレが立っていた。その手には、ハーモニカピストレらしきものが握られている。


「フォルツェ、立てるかい?」

「何とかね。けど、走るのは厳しいかも」

「それでいい、そのまま下がりな。後はあたしが、享楽のリゼットが対処してあげるよ!」


 リゼット。εブロックで八将騎士と共闘していた傭兵か。

 だが、思うようにさせるつもりは――


「させると思うか?」

「これ見ても、同じことが言えるかい?」


 リゼットが機体の左腕を前へと突き出す。その手のひらには人が座っていた。

 全員が王国の操縦者の服を着ており、アブノミューレの操縦者だと分かる。


「あんたの行動一つで、この七人がひき肉になるよ」

「てめぇ!」


 即座にぶち殺してやりたくなるほどの怒りが湧くが、うかつなことは出来ない。

 俺は操縦レバーを握りしめ、モニター越しのリゼットの機体を睨み付ける。


「卑怯な手だなぁ。僕は好きじゃないかも」

「あんたがそんな無様な姿さらさなきゃ、あたしだってこんな事しなくてすんだんだよ。こいつの手が血まみれになったら、洗うのはあたしの部下なんだからね」

「部下思いの良い団長さんだね」


 フォルツェはゆっくりと機体を立ち上がらせる。


「レイラの方はどうだい?」

「こっちは無理よ。物理演算器(センスボード)が破壊されてる。ジェネレーターだけ回収したいわね」


 いつの間にか、リゼットの機体の肩に乗っていたレイラが、落ち着いた様子でそんなことを話す。

 やはり、あのタイミングで捕まえておくか、入り口を潰して出られないようにしておくべきだった。

 今更悔やんでも仕方がないが、貴重なチャンスだっただけに悔やみきれない。


「フォルツェ、分かったね」

「はいはい」


 フォルツェの機体がゆっくりと歩き、レイラ機のジェネレーターを回収し、撤退していく。


「レイラ! もう一度言う。傭兵を止めて、東へ行け! もう一度、人生をやり直すんだ! 人間、本気になれば何度だってやり直せる!」

「私はまだこの人生を捨ててないの。やり直すつもりは無いわ。じゃあまた、どこかの戦場で会いましょう」

「人質は川岸で解放してやるよ。あんたらが変な動きさえしなければね」

「……分かった」


 傭兵たちを含め、全ての帝国の部隊が川向うまで撤退していく。

 周りにいる王国の兵士や操縦士たちは、一様に勝利をたたえ合い、喜び合う。

 そんな中、俺だけは素直に勝利を喜ぶことが出来なかった。

 結局何も解決していない。

 戦争は終わっていないし、レイラは暴走を止めるつもりが無い。フォルツェとの決着も付け損ねた。

 不完全燃焼の中で俺が見たものは、ここが前世ではないことを物語る、満点の星空だけだった。


次回予告

辛くも緩衝地帯での戦闘に勝利し、砦の建造を進める王国。

その一方で、王都では停戦に向けた話し合いの準備が進められていた。

そしてエルドたちは、つかの間の休みを謳歌する。


次回で少し長くなりましたこの章は終了となります。

その次からは、交渉編。

フェイタル王国とオーバード帝国が停戦に向けて動き出す中で、それの妨害をもくろむ者たちもまた、同じように動き出します。

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