ウラニア
正直この星の重力に、まだ完全に慣れきっていないため、体が重たくて力が出ない。遠巻きにしていたシュレムが、主任さんに説教されている。
「ちょっとアナタ、トビエビ警報が出ていたのに何で外をうろついていたの!」
「マリオットが、空から何か船のような物が降りてくるのを見たのよ」
それはまさしく我らのシャトル、ベンチャースター号だろうよ。
主任さんは首をかしげた後、静かに言った。
「今度、規則を破ったら逮捕されるよ」
シュレムは誤魔化すつもりなのか、キャップなしの頭に手を伸ばすと、髪を整えつつ話を逸らした。
「それより、外に見たこともない動物が二匹もいたのよ。大きさから犬や猫じゃなかったわ」
「……? 明日探しに行きましょう」
主任さんは、その場にいた看護師達に武装解除と、入ってきたトビエビの始末を指示した後、シュレムと連れ立ってどこかに行ってしまった。僕は無残にも、その場に置き去りにされた。誰でもいいから助けてくれ……。
ありがたい事に僕を介抱してくれる女性が現れた。そう、あのマリオットちゃん。僕に紙コップ入りの水を差し出してくれたのだ。この際、検尿用紙コップだという事には目をつぶろう。制服の灰色スカートの端を手で押さえて屈むと、微笑んで目を合わせてくれた。
「シュレム姉ちゃん達は、いつも乱暴なのよ。どうか許してあげてね。……さあ、これを飲んで」
水を口に含むと血の味がした。頬が腫れて痛いのは、ぐっと堪える。




