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誰が貧乳うるさい女だって……?

エゼル・シスタが優勝で幕を下ろした魔闘演戯後のお祝い会にて。



「エゼル君、本当におめでとう!!

じゃあ、かんぱーい!!」


エト隊の元気一杯の女の子、カルラからの祝福で始まった、エトの部屋で行われるお祝い会の出席者はエゼル隊とエト隊、プラスしてナイル・カーヴァレッジだ。

かなりの大所帯になるが、エトの部屋は特別室で、寮室の中では結構大きめの部屋になっている。

本人は部屋にいることは滅多になく、何処かへフラフラと出かけている場合が極めて多いのだが。


今夜は女性陣の作った料理が振る舞われ、縦に長い卓上テーブルには豪勢な料理が置かれている。

彼らは飲み物が入ったコップを片手に、大きな声で乾杯をした。



「ありがとう、皆!!」


主役のお礼でほんわかな空気に落ち着くと、彼らは椅子に腰を下ろして、賑やかな会話を楽しみつつ、料理を食そう。


ーー

キルスへ純粋な表情のカルラが問いかける。


「キルス君って……本当に童貞なの?」


「ぶはーっ!!

そ、そ、そんなわけな…」



「そうよ。キルスは生粋のチェリーボーイだから女の子は寄らないほうがいいわね。

匂いだけで興奮するらしいわよ」


サディの言葉に女性陣からは「ええええ」という引いた声と彼をゴミのように見る瞳が聞こえる。

有りもしないコトを突きつけられた青年は怒り狂ったように彼女に飛びかかった。



ーー数分後。


「えー、カルラさんって意外とエト隊の中では上の方の立場なのね!

ニアとエトさんをボコボコにしちゃうなんて!」


「……ねえねえ、エト君、ニア〜!

ボコボコになんてしたコトないよね?」



「えっ…な、ないよ。うん。」


「ニア、良い子ぶるなよ!

いつも俺らは痛い目見てんだぞ!こういう時に言い返さないと後で……」



突然振られた二人。

動揺しているように、ニアの顔色は真っ青に、エトの声はなぜか小声に。



「エト、もう少し大きめで言わないとカルラさんに聞こえないよ?」



「バ、バカッ!聞かれたら終わるんだよ俺らマジで!!」


エゼルの真に迫った言葉へ、本気の焦りを見せるエト。

その様子を見たサディはカルラへ、クスッと笑いを込めて話しかけた。



「……本当に怖いのね。

まあ、良いコトじゃないのよ。

女は何かと男に舐められる可能性が高いから、隊では男が女よりも上の立場につかない方が良いんじゃないかしら?」


「ね!そう思うでしょ!

私もそう思う!」


カルラとサディが意気投合している中。

硬直状態で無心のままに、床に手をつき、四つん這いでサディの椅子になっている青年は今、何を思うのだろうか。



ーーー


「シャスさん、お茶どうぞ!」



「ありがとう、チトさん。

皆、騒いでますね。私達は取り残された感ありますけど、それもまた一興。

私達は静かに楽しみましょ!」


シャスとチトは意気投合したように話を続けた。


ーー、一方その頃。

エトとニア、エゼルは三人で話をしていた。


「ニア、カルラのヤツは?」


「……え?今トイレみたいだよ。

何、明日の周回サボりの話?」


真に迫った様子でエトは頷いた。


「……ああ。

明日は何処に行こうかって話だ。

あの貧乳口うるせえ女に見つからないような、どっか遠くの……」


「エトく〜ん?

誰が貧乳口うるさい女なのかなー?」


エトの背後から猫撫で声が聞こえたかと思えば、エゼルは彼女の後ろへ、ニアも続いて逃げようとしたが、そうはいかない。

彼女にしっかりと肩を掴まれて、行く手を阻まれる。



「ちょっ、!

俺は免罪だよ、カルラ!!」


「さっき、エト君と話してたでしょ?

明日のサボりの件、って」


「うっ…」


「うっ、じゃない!!」


その瞬間から彼らに生還の道はなくなった。

残るは道は、死のみ。



「分かった!!出るから、やめて!!

その拳、マジで痛いから、カルラぁぁあ!」



エゼルは"なんか面白いな"と様子を見て、笑った。


「そう言えば、エゼル君達は明日から覇滅龍(ファフニール)に行くんだっけ?」


エトを殴り飛ばした後、カルラは思いついたように言った。


「はい。

リグの用事で行く約束をしていて。

皆で潜入することになりました。

引率は司令官が行ってくれるって言ってて、多分安全面は大丈夫だと思います!


ヤバかったら僕らも戦えますし」


「気をつけてね。

覇滅龍(ファフニール)は凄く野蛮だから…」



ーーー彼らがお祝い会をしている丁度、その頃。平穏な涅槃を揺るがす、大事件が起きようとしていた。


「シルバー司令!大変です!

現在、|転送魔法式巨大転送装置(バベル)に何者かが不正侵入を行なったとの報告が!!


何れにしても、覇滅龍(ファフニール)の戦士であることは間違いないようです!」


王宮内にある司令室には、シルバーとグレースの二人が椅子に座り、難しい顔をしている。

彼らの座っている場所からは司令室のモニターの光が、二人の曇った表情を照らしていた。



「シルバー、どう思う?

十二年前の事件と酷似してる気がするんだよ、俺。」


「あの事件が二度も起こるのであれば、俺は首謀者を許さねえよ。

涅槃を貶めようとする輩なんざ、沢山居るのは分かってるけどな…。


だが、ちょうどいい。

明日、エゼル隊と一緒に覇滅龍へ行く約束があるからな。

潜入調査って名で行くから、そん時にこの件も調べておくよ」



ーー

明日から覇滅龍(ファフニール)へ潜入調査。


彼らの行く末にどんな思惑があるのか、それはまだ誰も知らない。



遅れてすいません。

小説を書いている時に何度も何度も寝落ちした結果にこんなに遅くなってしまいました!

仕事と小説の両立、頑張ります!!


次回からは覇滅龍編です!

お楽しみに!!

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