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時間の流れには従ってもらうのが道理だ!

ーーー

第四回戦の試合が始まる時間帯になると、実況席に戻ってきた悲しそうなカルラを他所に、元気一杯の童貞がこれ見よがしにマイクで叫んだ。



「さあ、本戦一日目もいよいよ!大詰め!

今日、最後の試合はこの二人で締めくくってもらうぜ!!」



白い蒸気が噴射し、視界を曇らせる入り口から颯爽と出てきた二人の表情は何故か深刻そうな雰囲気を醸し出している。



「それではっっっ!!

エト・アルカディナ選手と、ニア・クルト選手の勝負までーっ!


3.2.1.レディ、スタート!!」



開幕のコールが始まるなり、エトは全速力でニアに向かって飛び蹴りを放った。



「(やっぱりそう簡単にはクロノス握らせてくれないか…!)」


「(この序盤でクロノスはマジでやばい!

先手必勝!!)」


飛び蹴りを敵味方見境のない華麗なステップで避けきると、大きく後退してニアは目を瞑った。


「(ま、まずい!!

さ、させるかぁぁぁぁぁ!!!)」


エトが焦って、自分の速度を上げてまで突っ込んできた攻撃ーーそれさえも簡単に避けると彼は魔力を込めた掌をエトの腹部に捻じ込んだ。

衝撃に口から唾液混じりの吐息が溢れるが、気にはしない。


光玉蓮華(こうぎょくれんげ)

……ッ!?

ま、魔力が出ない?!


まさかこれは魔力止(ドロップ)?」


魔力を源から使う分だけとって使う、魔人は魔力が流れて来る器官に不具合が生じる時がある。


そんな時に役に立つのが、魔力止(ドロップ)だ。

魔人の負傷者を手当てする時は必ず、この技を応用して、手術を開始する。


そんな技も、戦闘技術に組み込めるとしたならば相手はいない。



「その状態で俺とこんだけ離れてたら突っ込んで来れないよな?


さあ、来い!!

クロノス、お前と俺で《光帝》をぶっ倒そうぞ!!」


瞬間、エトにとって一番良くないことが起こった。

ニアの手に魔王武器、時空神(クロノス)の時間を自在に操ることが出来る手袋が嵌められてしまった。



「くっそ……やべえ!!

魔王武器を発動させたくないっていう焦りから魔力を止められて、そのまま距離を取ってからの魔王武器発動…。


一番最悪のパターンじゃねえか!

魔力止(ドロップ)の影響で俺が頼れるのは此奴しか居ない。


でも……」


考えごとをしていると、ニアの位置は変わっていないのにも関わらず、鋭い鉄拳と蹴りの攻撃が顔と腹部に炸裂した。

威力の高さから、多少吹っ飛ばされて立ち膝になるエトはーー



「こんなん無理強いしてる場合じゃねえ!

ニアの魔王武器を攻撃を防ぎつつ、反撃の手立てがあるとしたなら、俺はもう此奴に頼るしか無い!!」



すると、エトは外部からの魔力を得ることに集中する。

体も心も臓器も骨も血も、魔王武器に。


軍神王(オーディン)完全装甲型(フルアーマー)


鋼鉄の如くどんな攻撃からも身を守り、

得体の知れない速度で敵との間合いを詰め、

限りなく全力に近い攻撃を連続として行うことが出来る。


現在、涅槃の中でも彼は最強と呼ばれる立ち位置に立った。


ニアはエトの魔王武器を見れたことに嬉しさを感じて、大きく目を見開いた。



「あ、アレが…!!

エトの魔王武器!


完全装甲型(フルアーマー)


でも、今の俺にはどんなに速い速度も追いつけない!!

時間の流れには従ってもらうのが道理だ!


時間停止(タイム・ロック)!」



瞬間、彼以外の時が止まり、辺りは静寂に包まれる。



「さて、どうしたもんかな…。


この走行を砕くためには、軍神王から供給している魔力の期間を断ち切るしかないな…。


手術をするしか…!」



時が止まった世界でゆっくりと考えていれば、彼の目の前で止まっている姿の青年は何処かに消えていた。


ニアが消えたことに気づく頃、彼の目の前には自分の腹部へと向かう鉾のような鋭い蹴りが寸前まで来ていたとき。


彼には為す術もなく、腹部を蹴られ、強い衝撃に肋骨がいくつか逝ったことを確認すると、体制を立て直して反撃にかかろうとした瞬間。


「何でかな?

お前の時を止める速度よりも俺の速度の方が優ってるってのは」


お次は顔面への強い衝撃。

顎の骨と歯がいくつか取れ、血液と共に空中を舞いながら彼は吹っ飛ばされる。



「クッソ…!

時を止める速度よりも速いなんて、もう、どうしようも無いじゃないか!


歯折れたし痛ってえ…!」


ニアへ時空神が問いかける。



「私の力を全面的に注がれば、此奴の速度よりも速い速度で時を止めるということが可能になるが、どうする?」


その問に答えた瞬間、彼はエトの殴りに吹っ飛ばされてか、意識を手放した。


ニアの意識消失により、止まっていた時間は元に戻り、会場に残るのは、血塗れの拳を高らかに上げて、苦難の表情で勝利を叫んだエトの姿だけだった。


「し、試合終了!?!?


な、な、何が起こってんのか俺らには全く分からなかったが、ニア選手、血塗れの状態で気絶かー!?


医療班、早く手当を!!


よく分からないけど、勝者!

エト・アルカディナ選手ー!」



声援と拍手が壮大にまで聞こえ、終わった本戦1日目。

明日は、準々決勝の二戦を。

次の日に、決勝戦を執り行うことになっている。


刻々と時は刻まれる。


黒闇の襲撃まで後…○時間後。


昨日から新しい小説。

異世界ファンタジー系の


「世界まるごと異世界転移!?」

を連載開始しました。


同時に二作連載していくつもりですが、

毎日投稿は必ず遂行します!


二作共に拙い文章で紡いでいくわけですが、応援の方よろしくお願いします!

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