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灼熱の龍騎士

ーーー

第二回戦は、エゼルVSイグニール。


「試合会場の片付けも終わったようです!

では、試合再開といきましょう!!


二回戦目の選手説明はこの私、カルラが責任を持って皆様にお伝えしていきます!」


彼女のアナウンスが始まった頃。

エゼルは入り口付近で、リグルスのことを考えていた。


「(・・・リグは不老不死で決して死なないことは分かってる……!

けど、さっきのは度が過ぎるやり方だ!!

この試合に勝って、ルナールをぶちのめす!)」


彼の考えごとが終わると同時に、イグニールの説明が終わって彼自身が威厳ある姿で会場に登場してきていた。

観客席からは無数の声援が飛ばされている。



「お次は、エゼル・シスタ選手の登場です!

黒闇の猛攻を二度も防いだ新入生のルーキーでありますが、その魔王武器は一切不明!

謎に包まれつつある彼ですが、実力はピカイチ!

この二回戦ではどんな戦いを見せてくれるのか、本当に期待です!」


白い蒸気と共に彼は登場する。

目の前には、涅槃の赤き龍騎士、イグニール・ナイトヘッジが蹂躙している。



「君がエゼル・シスタ君だな。

よく話はニアから聞くよ。


この大会は私と当たったのが運の尽きだったな、残念だが、ここで燃え尽きるがいい!」



「望むところです!イグニールさん!」


両者共に笑顔で構えの姿勢をとった。



「それでは、第二回戦まで!!!

3...2....1......!!

スターーーート!!!」


試合開始の合図が会場中に鳴り響くとーー



「身体能力強化魔法-奥伝-天裁滅裂(てんさいめつれつ)!!


この速度で僕は貴方を蹂躙しましょう!」



「ほう・・・!」



縦横無尽に駆け巡る彼を人間の目で捉えることは不可能。



「よし…!背後を取った!!」



イグニールの背後を取り、彼が全く気づいていない様子に好機(チャンス)と見計らった少年は、イグニールの背中目掛けて鋭い蹴りを喰らわそうと試みる。


が、しかしーー


「そんな攻撃が見えてないとでも…思ったか!!

小童め!!」


彼の攻撃をするりと受け流し、隙だらけのエゼルに両拳を固めたまま、強く振り下ろす。


彼が纏っていた速度とイグニールの放った一撃の重さに防壁内の会場の床に大きなヒビが入った。



「これで捕まえたぞ。

お前にこの《炎帝(ヴェルメリオ・フィアンマ)を使うことはなかったな。


使わせてくるだろうと思ったのだが、全く残念だ。

・・・・終わりだ!!」



再起不能にまで貶められた彼は苦難の表情で決意を固める。



イグニールがトドメに、灼熱の炎を纏った拳を彼に振り下ろそうとした刹那ーーー


「((消滅神(ロスト)、僕にこの人を蹂躙するだけの力を………寄越せ!!!))」


ーー彼は消滅(ロスト)した。



「・・・なっ!!

何処へ消えた!!!


これが噂に聞く、消えるという技か…!

小癪め、姿が消えようと、気配を察知する能力に長けている私を出し抜けると思うなよ」



イグニールは彼の消えた位置から予測して、気配を感じ取るために目を瞑った。

ーーが、彼の気配は感じられない。


「((僕の気配を探ってる…!

でも意味無いよ、僕は今消滅してるんだ!


威力強化(パワー)防御強化(ガード)!」



天裁滅裂の速度で縦横無尽に駆け巡る彼は、先程の彼とは違う。

カンの鋭いイグニールですら捉えられない速度と自身の消滅で見事なまでに消息を消していた。



「この一発は、少し重いかもしれないですねっっ!!」


少年の声は届かない。

が、速度と威力強化のお陰で力が篭ったパンチはイグニールの背中に放たれ、彼は前のめりに膝をついた。



「な、何故だ!!

この私が気配すら掴めないとは、何をした!!!」


二発目、三発目、四発目と、パンチが顔に、腹に、腕に当たり、イグニールが焦りを感じた頃ーー



「これで五発目だぁぁぁっっ!!」



「ふんっっ!!!

小童にしては、よくやった!


喜べ……この《炎帝(ヴェルメリオ・フィアンマ)》を使ってやろう!!」


エゼルの攻撃が届く前に剣を抜いて、彼は斜め横に刃を振る。


ーー瞬間、灼熱の業火が剣城となりて、防壁に切れ目を入れた。



「あ、危なかった…!!

いくら、消滅しているとはいえ、身体は生身…!!


あんな一振りを受けたら溜まったもんじゃないよ!」


一振りの射程圏内で攻撃をしようとしていたエゼルは圏外への避難を優先して行った。

もし、あのまま突っ込んでいたとしたら自分の身体は真っ二つに一刀両断されて、存在をも忘れられていたことだろう。



「この技は長期の対戦では不向き…。

あの一振りを連続してやられるなら、やっぱり、アレを使わないといけない!」



それはーー禁じ手。


消滅神ですら、それを使うに喜ばない。


「この僕に溢れるばかりの力を寄越せ、そして身に纏え!!

全てを蹂躙するためだけに!!!」



エゼルには旋律が流れた。


虚しく、哀しい旋律が。。。


その中で消滅神は彼を見続けた。

力を求め、自分の仲間を大切に思う彼を、誇りに思いながら。



突如、彼の背中の傷ーー魔法陣が光り、それは鎧に具現化し、彼の身に力を宿らせる。


消滅神(ロスト)完全装甲(フルアーマー)


この状態の僕を止められるかな?!」


彼の言葉は届かない。

何故であるなら、彼は消滅していて、彼自身が消滅だからである。



イグニールは、カンを盾とし、自らの腕で《炎帝》を大きく縦に振り下ろす。

灼熱の業火を纏う衝撃波が放たれると、お次はと言わんばかりに剣の一振りの速度を早めて、横、右斜め、左斜めに連続で衝撃を放ち始めた。



「でも、今の僕なら!!

この鎧はどんな攻撃も消滅させる!!



通用なんてしない!!!」


彼は鎧ごと、衝撃波をすり抜けた。

存在しないものに存在する衝撃波は当たらなかった。




「闇雲に剣を振っても避けられるだけであれば、この私の真の力を見せる時だ!!


《炎帝》よ、貴様の力は私の力だ!」



イグニールは、剣を胸に突き刺した。

剣は解けるように彼の体内へと入っていきーーー



「グォォォォォォォォオオオオオオ!!!」



巨大な赤き灼熱の龍へと姿を変えた。



この様子に両者共に仕切り直しと考え、構えなおしを実行した。


第二回戦の上りきった幕は、まだ、降りることを知らなかった。


ニコニコ超会議行って参ります!!

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