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死。


涅槃の拠点となっている巨大な拠点では、五対一の辛い戦闘が今にも始まろうとしていた。

仲間を守りたい一心で力を解放しようとするエト・アルカディナに、邪魔者を潰したいと願うルナール・ディネーチェとその仲間達。


激闘の火蓋は斬って落とされた。




「光魔法なご立派な程、使い手だが!お前はどうして魔王武器を使わない?」


「お前らなんかこれに頼らずに勝たなきゃ、意味がないんだよ!」


「ほう、その痩せ我慢が命取りとなるのに馬鹿な奴め。アリク、動きを封じろ!」


「御意!」



アリクは両掌をエトの方へ突き出し、掌へ魔力を一点に集中させる。


動作禁止(ビヘイビア・ロック)!」


彼の掌からは圧縮された魔力が篭った鎖が無数に出現し、エトを縛りつけようと襲い掛かった。


この時、彼の魔力上限に変動があった。

極大な程の魔力が突如出現し、エトに吸い込まれるように取り込まれたのだ。



「ホントさ、ルナール以外は大したことないんだな」



光輝一閃(こうきいっせん)


彼の拳は美しくも光り輝き、光を解き放つ。一瞬程、閃光弾を投げた時のような目眩効果のある光が辺りを照らした。



「くッ……魔力の増大…。目眩しのつもりか!?」



腕で顔を覆って光を防ごうとするも、光は物理でどうにかなる程のものではなく。

彼らの眼を一時的に失明させた。



「ど、どういうことだ!!アリク!ディズ!マンテ!リブロ!」


仲間の名前を連呼するも、彼らからの応答はなかった。

真っ暗な世界で、応答の無い状態が続く理由はルナールの中で一つしか思い浮かばない。



ーー仕留められた。かだ。




「まさか、こんな形で行く手を阻まれることになろうとはな。殺せよ、そこに居るんだろ?」



「お前は何がしたいんだ?ルナール。俺はお前を助けたい!俺には涅槃の仲間を殺めることなんか出来ないんだよ」



突如、ルナールの身体を無数の鎖が蝕んだ。

ーー息を吸うこと以外の動作を禁ずる。


アリクの動作禁止(ビヘイビア・ロック)の鎖だった。



「その考えが甘いんだよ。今のご時世、敵味方関係なく、邪魔なら殺していかないと欲しいものは手に入らない。エリートと呼ばれる俺様は、上からの信頼に応えなきゃならない…!だから、涅槃の強者(ニルヴァリン)に入ってここで俺の夢を叶えなきゃならねえんだ!さあ、殺せ…エト・アルカディナ…!」



自分が涅槃の仲間を殺すことはあり得ない、どんなに最低なことをされても。

それだけは、絶対に守らないといけないことな気がしてならなかったのだ。


「殺さないよ。君の仲間も全員、気絶させただけだからね。でもーー」



「ーーティアが受けた痛みをお前は味わえ!」



動作禁止の鎖に繋がれたルナールは立ち膝で、エトの拳、蹴りを無作為に受ける。

見えない視界の中、何処から飛んでくるかも分からない強烈な拳。


その一つ一つが彼を恐怖に叩き落とした。



「グハッ……!」


地面に血反吐を吐き、ルナールは前かがみに倒れそうになる。が、鎖によってその状態からは逃げることは許されない。

幾つもの打撃が彼を襲い、彼を傷つける。その間に、彼の視覚は段々元に戻っていった。



「ルナール、反省したか??」


「ああ、流石にしたよ…。悪かった…!エト・アルカディナ、お前は本当にいい奴なのだな……!」


ルナールが改心してくれた…!

と心の中で安堵すると、彼を縛り蝕んでいた鎖は解かれた。


その瞬間ーーー



「やっと外れたか。クソが……何故俺様がお前みたいなクズにペコペコしなきゃならねえんだよ!!死ねカスが!!」


ーールナールの召喚した総数15本の剣がエトへ放たれる。

加速する剣に為すすべもなく、一瞬空気が真っ赤に染まり、肉が貫かれる無残な音が辺りを襲い潰した。


仲間を救ってやれなくてごめん。


ルナール。ごめんな。


エトは自分の最後を見たと確信したがーー



「な………ッ!!ティア!!!」



貫かれたのはエトではなく、弟のティアだ。

魔王武器解放状態のティアだったが、突然のことで剣を弾く余裕もなくエトを庇ったのだった。



「兄さん…ごめん。もう意識が……!ありがとう。そして、さよなら!」


「……待ってくれ!ティア!!」


ーーと、エトが話しかけた時にはもう彼の意識は無く。

ティアの身体を蝕む、魔王武器の中の存在。

大地神(タイタン)は奇妙な怒り声を上げたかと思えば、ルナールに凄まじい速度で直進し、怒りをぶつけようと拳を放った。




「ほう……これが例に聞く、魔王武器の力に呑まれてしまった者の姿か。大地神よ、我が白黒(ヴァイス・ネグロ)の前にひれ伏すが良い!」



そこからの戦闘はいたってシンプルなもので。

大地神の拳をルナールが盾で受け止めて、ティアだったモノを剣で斬り捨てていく。

ティアの死を確信したエトは目に涙を溜めて、自分を責めることしか出来ない。



「俺にもっと力があれば…!クッソ…!!」



「前から思っていたのだが、お前は何故魔王武器を使わない?魔人であれば、自分の持つ最強の武器で敵を斬り捨てようという意思が存在するはずだが……」


一通りの戦闘を終え、エトの始末をしようと二刀流の魔王武器を両手に携えたルナールは彼に問う。魔王武器を使わない理由を。



「魔王武器……か。分かったよ、お前だけには見せてやるよ。俺が魔王武器を使わない理由を。」



「な、、、なんだそれは!」



ルナールは彼の何かを目撃した。

その瞬間、全身から身の毛がよだち、震えていることに気がつき。

それと同時に、こんな疑問が舞起こった。


「お前は…それだけ強大な物を秘めていて何故そんなに頑なにその力を使いたがらない!どうしてだ!!どうして、自分の力だけで戦おうとするんだ!!」



「俺はこいつの力は借りない…。それは何があっても絶対にだ!」



それだけ言って去っていくエトをルナールはただただ見つめることしか出来なかった。



「エト・アルカディナ……お前は……俺の…」


更新時間は大体このくらいになると予想されます!、

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