シード戦決着!
投稿遅れてすいません( ; ; )
「なんでBブロックは問題児ばかり集まるかなー…リグも含めてだけどさ。
この際、仕方ないから闇魔法を全力で止めなきゃね…どうせ、黒闇なんだろうし…」
気持ちの良い試合がずっと出来ていない青年は、縦横無尽に駆け巡り、人としての概念を失った男の隙を探していた。
「……俺と此奴の勝負だぁぁぁぁああ!お前ら邪魔してんじゃねええええ!」
闇の力を取り入れても、尚、意識を保ち続けることが出来ているのは彼のスペックの高さだろう。
しかし、闇に呑み込まれるのも時間の問題だ。
男を取り押さえんと動く、《守十刻》の隊員の一人が黒い落雷によって瞬殺された。
当然だが、これは男の意志。
姿こそ人間ではあるが、目は赤く充血し、背後からは黒い霧が付き纏うように周囲の空気を染めている。
そんな状況下の中、様子を伺う《守十刻》の指揮官に一人の男の意志が伝えられた。
それは、もちろん口頭ではない。
指揮官は誰の声が頭に流れたかを瞬時に把握して、全隊に「待機」の命令を下した。
目で捉えられない速度の青年を自分の中で試そう。そう考えて、薄く笑った。
「……?手を退いた?
まあいいや。取り敢えず…目の前の敵に集中しないと…………ぐっ!!」
ステージを駆け巡るエゼルは強い衝撃を肩部に受けて、地面に叩きつけられた。
当然、出来るのは一人しかいない。
ゾヒスの方へ視線を向けると、彼は余裕たっぷりの笑みを汚い吐息と共に零している。
「邪魔くさいんだよお前!!さっさと俺に潰されろおおおお!!!」
この状態の僕を…。
アレを使うしかないってことだね。
彼の瞳に宿るは決意。
自身の体を滾らせよう。
「僕に……この男を倒せるだけの力をくれ!!消滅ォ!!」
「良いだろう、許可してやる」
許可を許した言葉は青年にしか届かない。彼の中で流れた言葉だからだ。
彼は、刃の無いナイフを手に取った。
地面に転がっている自分に向けて振り下ろされた男のエモノから視線を逸らし、その場からの脱出を試みる。
ーー成功。
刹那に凛と輝く、眩い光が男の目の前に現れたかと思うと、ソレは忽ち破壊を記し、男の腕の関節を二本深く抉った。
「ぐあっ……な、なんだこれ…!」
「今の僕は君には見えない。気配もない、音もない。完全に消え去った存在だからね…」
青年の声は届かない。
ーーそして。
「身体能力強化魔法奥伝…伊奘諾!」
雷が落ちたような衝撃が男を何度も何度も繰り返し襲う。
連撃が終わる頃、男の意識はどこか遠くへ飛んでいて白目剥き出しになっていた。
「守十刻さん……。後は……任せました……」
青年は誰も予期していなかった場所から現れると、近くにいた隊員に声をかけ、力を手放すように倒れた。
「か、確保だ!!!エゼル・シスタの介抱も早くしろ!」
「はい!!」
"今度こそ"と言わんばかりに鎖が男を縛り付け、力を失って倒れたエゼルは病院へ搬送された。
エゼル隊が出場する大会全てに悪行が行われるとし、学園長は特別に生き残ったエゼル隊の者らを全員シード戦優勝と優遇した。
これにより、Bブロックシード戦優勝は、異例の三人となった。
黒闇に回収されていた《有罪》はミルニアと同等に心を洗浄してから嘘をつかないようにと何処かで事情聴取を受けているようだ。
涅槃に近づく、黒闇の影。
それは濃くなるか、薄くなるか。
誰にも予期することはできない。
仕事ぉぉぉ( ; ; )




