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訪問


ーー


「リグ、ちょっと邪魔!僕が黙って君の要望に応えてあげてるんだからそれくらいしてくれないかな??」


「エゼ、分かったからその威力強化(パワー)状態の拳を下ろせ!それ食らったらマジでシャレにならないんだから!そこの童貞に食らわせろよ!そいつ来週も試合無いんだから!!」


いつものように馬鹿三人組のうち二人はエゼルの部屋に上がり込んでいた。

来週まで特にすることもない二人は、掃除中のエゼルの行く場所行く場所の邪魔をしている。


「いやいや、俺だって最高にカッコ良い実況をしないといけないんだからボコボコに殴られたりなんかしちゃあダメなわけよ。やっぱり、司令官は才能分かってんのかねー。俺に!この俺様に実況を任せたいなんて言ってさー!」


自分が騙されていることに気づいていない童貞程見苦しいものはない。リグルスとエゼルは久々に考えが被った。


「とにかく!二人とも、僕の休日の予定を壊す気なら床で寝ててもらうよ?」


「待て待て、怖いこと言うな!落ち着け、エゼ!」


「俺様の実況が羨ましいのは分かるけど、暴力はいけねえなー。悪いが実況は俺が任されたんだ。エゼル、ごめんな」


プチっ。

エゼルの中の何かが切れたような音がした直後、既にリビングの端っこに移動していたリグルスさえも巻き込んで喝が入れられた。


「はぁ………掃除終わりと。」


ピーンポーン。


高めの音が部屋に鳴り響き、玄関近くにあるモニターに受付の女性が映し出された。


「エゼル様に2名のお客さんが来られております。通されますか?」


「その人らの特徴言ってもらえます?」


「はい、神々しい可愛さをもった女の子と見るからにSっ気の高い女の子です」


「通して良いですよ」


と、エゼルが受付の女性に言った直後、真っ先に部屋へ向かうような足音が聞こえた。その足音はだんだんこちらに近づいてくる。


「エッゼール!遊びに来てあげたわよ!」


「エゼ君、遊びに来たよ〜」


彼女らが部屋の前に居ることを廊下のモニターを使って確認すると、鍵を開けて扉を開いた。


「チトとサディいらっしゃーい。ちょっとゴミが散らかってるけど、掃除はしてるから気にせずゆっくりしていってね」


部屋に彼女達が入ると、部屋の床に転がっているリグルスとキルスの部分をオブラートに包んで説明し、ソファに座るようにエスコートした。


「部屋の綺麗さはまずまずね。第一難関突破!」


「ん?何のこと?」


「いや、気にしなくて良いのよ。」


サディの言葉に疑問を抱きながら、チトの方へ視線を移す。いつも制服を着ている彼女しか見たことなかったためか、私服の白いドレス姿を見ると顔がニヤついてしまう。


「エゼル、なんで鼻の下伸ばしてんのかしら?やっぱりチトに対して可愛いって思ったー?」


「い、いや・・・」


「思わないの?」


「・・・思ったよ!!!」


「えへへ、エゼル君ありがとう」


この言葉と共に溢れでている少女の笑顔に圧倒されてしまう。

ここでまたニヤついているとサディに指摘される。と思ったエゼルは立ち上がって二人にお茶を入れて差し出した。


「私達が帰った後にチトのコップ、舐めるとかするんでしょ?」


「!?」


「変態隊長さんねー」


「し、しないよ!そ、そ、そ、そんなことできるわけないだろ!」


サディは、顔が真っ赤になって全力否定しているエゼルを愛おしげに見つめると、持っていたティーカップをコースターの上に乗せて、足を組んだ。


「全く、こんな綺麗な部屋になんでゴミが置いてあるのよ。リグルスはともかく、童貞のゴミとかありえない。

少しだけで良いの、目の前のゴミを片付けるだけの力を私に頂戴!」


すると、サディの手には柄の部分が黒、刃の部分がピンク色の鋭い鞭が握られた。それがあからさまに魔王武器だということは分かる。

彼女は立ち上がり、鞭の刃の部分で童貞をバシッと叩いた。


「貴方はこの部屋にある椅子よ。分かったら、さっさと他の家具達の邪魔にならないように仕事を全うなさい。」


すると、キルスは四つん這いでハイハイをしてソファの横に四つん這いの状態で立ち止まった。


「これがサディの魔王武器?!」


「そうよ、私の魔王武器は叩いた本人の精神と性格を掌握して催眠術をかけるの。そうすることによって、今の童貞のように椅子になるってわけ。全然体重をかけても潰れないのよ。エゼル座ってみる?」


彼女は再び、ソファに腰を下ろし、魔王武器を消すとソファの横にポツンと存在している童貞を指差して言った。


「いや、僕は遠慮するよ。サディが座ったら?」


「私?なんかタオルない?こいつに触れるとか死んでも嫌なのよ。」


サディはエゼルからタオルを受け取ると、キルスの背中に敷いてからジャンプをして全体重を乗っけるように座った。

が、彼はビクともしない。

身体へのダメージは、後々になって返ってくるようだが催眠をかけているときは何をしてもビクともしないようだ。

前の試合の時、椅子にならせていた男は自分の能力よりも強い精神力を持っていたから掌握に限界があったんだとか。


「そう言えば、エゼル。童貞と戦った時のアレはなんなのよ。後夜祭でもはぐらかした言い方をしたじゃない?私達、チームなんだし言ってもいい仲なんじゃないかしら?」


「あー、アレは僕の魔王武器の能力だよ・・・」


「そんなことは、分かってるわよ。その魔王武器がどんな物なのかを見たいのよ!!」


興味津々なのか真に迫る様子でエゼルに問いかけている。サディの目は真剣だ。その真剣さに圧倒されてしまったようで、エゼルは話し始めた。


「僕の魔王武器の名前は、消滅(ロスト)。ナイフ型の魔王武器だよ。能力名は、言ってはいけないことになってるからこれ以上は……。」


「そっかー、誰かに口止めされてるのね。そう言えば、エゼルって魔人学校(アカデミア)卒業生じゃないわよね?今までどこに居たの?」


「それも、まだ言えないかな…」


言いたくても言えないような口止めされている部分を直感で付いてくるサディの勘の鋭さは認めるが、この状態はキツイと違う話を振ろうとした時。


「エゼル君、秘密ばっかりだね。でも、良いんだよ。まだまだ時間はあるんだし、これからゆっくり話してくれればさ」


チトの優しい心にじんわり涙が出そうになる。その言葉を聞いたサディも"少し真に迫りすぎた"と反省してくれたようだ。きっと、この時、彼女の舌打ちが聞こえたのは僕だけだろう。

きっと気のせいだ。そう自分を説得させて、僕は彼女らの話に耳を傾けた。


だんだんと伏線を張っていくのは楽しくなってきます()

ただ、張りすぎて訳分からなくならないようにメモっとかないと!!


いよいよ8月ですね〜、皆さん熱中症にはならないように気をつけてください!!

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