第27話 襲撃⑥
「今度は矢か」
「え? うわ!」
俺が気を抜いていると、俺のところまで矢が飛んできた。
俺の足元に刺さった矢はすぐに霞のように消えていった。
モンスターの放った矢だ。
モンスターたちは遠距離攻撃の手段も持っていたみたいだ。
いや、みてみると、手に持った刀が弓に変形している。
どうやら、妖刀は弓に変化することもできるみたいだ。
なにそれ。
めっちゃ便利だな。
俺も欲しい。
「これを使え」
「あ、ありがとうございます」
刀夜さんはダンジョンGo!のアプリから弓矢を取り出して、俺に渡してくる。
どうやら、アプリの中に弓矢も常備していたらしい。
よく考えれば、重量無制限のインベントリがあるのだから、わざわざ一つの武器にいくつもの機構を持たせずとも武器を持ち替えればいいだけか。
でも、武器が剣になったり弓になったり斧になったりするのはロマンがあるよな。
俺が雅の方を見ると、雅も同じ気持ちだったのだろう。
目が合いお互いうなづきあった。
これはいつか変形武器も作ってくれそうだ。
俺のメイン武器である小太刀は体積が小さいから、変形武器をメイン武器にはできないだろうけど。
(……おっとそんなくだらないことを考えている場合じゃなかった)
俺が弓矢を受け取ると、自分の分も取り出して、早速モンスターたちを射る。
一度に数本放たれた矢は正確にモンスターを打ち抜き、モンスターは塵へと帰っていく。
こっちの方が高い位置にいるし、向こうは密集しているからやりたい放題だ。
俺も、刀夜さんを真似して矢を射る。
「……あれ?」
だが、俺の射た矢はモンスターにあたりはしたが、弾かれてしまう。
「どうやら、アイツらはすでにCランク級に至ってるみたいだな」
「……なるほど」
どうやら、モンスターはランクアップ現象中にも拘わらず、すでにCランク級の力を手に入れてしまっているようだ。
そのため、まだ覚醒に至っていない俺の攻撃ではまともにダメージを与えることもできないらしい。
スキルを使えば少しはダメージを与えられるかもしれないが、弓系のスキルはあいにく持ち合わせがない。
朱莉に教えてもらった投擲スキルを使って矢を投げつければワンチャンあるか?
「『高強化』」
「助かる」
俺がどうやってモンスターにダメージを与えるか考えていると、京子が俺と刀夜さんに支援魔法を送ってくれる。
(この状態なら!)
支援魔法なしでも雅は砦のリソースを増やすのに役立っていたし、朱莉は素材集めに役立っていたから忘れていた。
元々、俺たちは覚醒済みの京子の支援魔法があればCランクでも十分に役に立つという前提でついてきたのだ。
支援魔法があればダメージを与えることができるかもしれない。
「よし!」
俺の射た矢はモンスターに突き刺さる。
刀夜さんのように一撃でモンスターを倒すことはできなかったが、弾かれなかったということはモンスターにダメージを与えられたということだ。
ダメージを与えられたなら倒すことだってできるはず。
モンスターのHPは無限じゃない。
それどころか、砦の外壁に攻撃した反動で倒れた奴もいるということはかなり低い方だと思う。
それなら、何発か矢を当てられれば倒せるはずだ。
「くそ! なかなか当たらない」
だが、二本目の矢は一本目の矢と別のモンスターにあたってしまう。
モンスターが大量にいるから、矢を当てること自体は難しくないが、同じモンスターに当てようと思うと簡単じゃない。
元々俺は弓矢をメイン武器にしてたわけでもないしな。
こういう時のために遠距離武器の練習もしておけばよかった。
「焦ることはねぇよ。向こうだって責めあぐねてるんだからな」
「……はい」
そうだ。
モンスターの側も上手い攻め口が見つかっていないから、命中率の低い矢でチクチク攻撃してくるという手法をとっているのだ。
焦って倒そうとする必要はない。
俺は大きく深呼吸をして落ち着き、矢をいる。
六本目は一本目と同じモンスターにあたり、モンスターは霧となって消えていく。
「よし」
どうやら、京子の強化込みで矢を二本当てればモンスターを倒せるみたいだ。
武器じゃなくてゾンビ部分に当ててもダメージは与えられるみたいだから当たり判定もでかいみたいだし。
このままチクチクと倒していけば、そのうちモンスターもいなくなるはずだ。
モンスターだって無限にいるわけじゃないのだから。
今はボスモンスターの出てきた森の中からどんどん増援が来ているが、それもそのうち終わるとおもう。
……無限湧きしたりしないよな?




