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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
国内無双編

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部下

 白波の土地は秘密基地一帯を占めている。


 だから、放った。


 久しぶりに魔法を使いたくなった。

 錬金術とは違ってな。


 別腹だ別腹。


 「さすがに無理だわな」


 星屑が晴れ、身体のあちこちに針で貫かれた二人の体がある。


 針自体はない。


 しかし数千ヶ所にも渡るその光景は集合なんとかが嫌な奴にとっては地獄の様だ。


 この魔法は、殺す事が目的ではない。

 殺す事もなく、かと言って動ける訳でもない。


 動けずに震え、しかし神経が死んでいない為力尽きることも無い。


 最も恐ろしく、

 最も非人道的魔法。

 ⋯⋯本気でやった時は、さすがに殺してしまったが。


 「さて」

  

 彼らの前に行ってやり、嘲笑う。


 「悪魔王に負けてしまったなぁ?」


 こいつらもイヌにしてやってもいいのだが、もうペット枠一杯だしなぁ。


 今日も、沢山頑張ってたし。

 目線でギャル女の身体を舐め回すように見るが、駄目だ。


 理沙ちゃん並にエロいわけでも、佐藤さん並みに豊満ってわけでもない。


 下半身も反応しないし。 


 「まぁそれで──」


 俺は軽く二人の眼球部分を狙って回復させる。


 「ピクピクできるだろうから俺の質問に答えろ」

 

 男の方がピクピク数回すると、驚いたのか瞬きの回数が鬼ほど増えている。


 女の方はどこか沈んだ瞳だ。

 殺されるのが分かっているからか。


 「分かったら一回か二回。それ以外は高速でぱちくりさせろ」


 一回。


 「では質問。お前らは退魔師である」


 一回。


 「襲った理由が明確にある」


 "一回"


 「あるのか? 何故俺?」


 するとこれまでにもなく高速でぱちくりさせている。


 「⋯⋯もう面倒だ」


 顔だけ元に戻してやり、男の方だけ会話を出来るようにする。


 「悪魔王!!」


 「いきなりの発言がそれかよ」


 睨みつける少年。

 しかし蟻が吠えているのと変わらない。


 思わず笑ってしまう。


 「お前が悪魔王でなければ一体なんだ!」


 「ふ⋯⋯ん。どうやら俺も事情を知らないようだ」


 眼つきが本物だ。

 俺を悪魔王だと疑わない。


 どう考えても魔法の感じからして悪魔っぽくないはずなのだが。


 「質問する。明確な目的があると言ったな?それは?」


 「悪魔が人間に従うなんてありえない!」


 「そうなのか?」


 後ろにいるリビに訊ねる。


 「ええ。事実よ。私達契約を結んでいるわけでもないわけだし?」


 「け、契約を結んでいない?そんなはずない!」


 「契約とは?」


 「人間にアタシたち悪魔の力を分け与えることを言うわ。例えば、アタシの能力で言えば異様に異性にモテやすくなったり、見た目が良くなる。


 あとは性的な能力が強化するとかね。

 代償に精気を吸い取ったりして、アタシたちは格を上げるの」


 「格を上げて?最後にはどうなるんだ?」


 「それはアタシも正直なところ分からないのが本音よ。

 

 人間で言うところのお金を稼ぐ事や有名になりたいというものに近いのかしら。


 ただそれが本能。

 アタシは人間を手玉にとって吸い尽くして堕落に落ちた人間を嘲笑うの」


 魔族と似たようなものだな。

 ただ、知性は人間並みだから、若干のズレはあるものの、やはりそこら辺はまた違うのか。


 「で? お前は調査もせずに俺が悪魔王だと?」


 「当たり前だ!そこにいる悪魔、見ろ!」


 そう言われたので振り返る。


 「おう」


 「カラダだ! 通常、サキュバスはどれだけ成長していても中学生や高校生くらいの見た目だ。


 しかしそこのサキュバスはダイナマイトボディだ!

 

 ありえない!今までの歴史上、ここまでサキュバスは見たことがない!」


 ただエロいっていうのを一生懸命は伝えようとしているだけにしか聞こえんが。


 確かに凄いな、こう見ると。


 この間も学校の時、頭埋まるかと思ったもんな。


 「不足理由を言い訳して、後でアフターケアをすると。面白いことを言うな──」


 もう見せてるし、良いだろう。

 魔力を身体に纏わせ、ただ言う。


 「お前は神のつもりか?俺以外に?」


 「⋯⋯っ!!」


 「お前はそんなに偉くない。

 少し能力があるから、少し人より優れているから」



 ーーケルビン!俺、ケルビンみたいに強くなって戦争で活躍するんだ!


 『そうか。まだ10歳のクソガキだろう。ほら、お前の周りに⋯⋯』


 ーーけ、ケルビン様⋯⋯手違いであの少年は


 『は?』



 「それだけの理由で人を襲撃するのは後ろの悪魔よりもお前の方が悪魔だぞ。舐め腐りやがって。


 "龍司"は──」


 そこで、俺の言葉は止まる。


 石田は⋯⋯俺にとって何だ?



 ーー伊崎さん、ご飯出来ました!


 ーー伊崎さん、今日もお疲れ様です


 ーー伊崎さぁぁぁん!朝からやめてください!理沙ちゃんのおっぱいずるいです!


 ーー今の生活は幸せですよ。少なくとも。伊崎さんとゲームしたり、雑談したり。もう一人のアニキっぽくて、弟みたいな⋯⋯あ~怒んないでくださいよ!


























 「俺の部下だ。ただの一般人じゃない。

 それを襲った人間の末路は分かってるな?

 お前が全部喋り切るまで、絶対に動く気はない」


 無意識に、地面を踏む。

 

 「お前みたいなのに人生破滅させられると思うな」


 地面が割れる。

 どうでもいい。

 直せる。


 「お前みたいなゴミ虫が調子に乗ってるほうがクソッタレだ。さっさと話せ、今話さないんだったら──全員滅ぼす。お前の家の男女問わず、全員俺の実験台だ」


 にじり寄って言う。

 

 「名前、理由、場所、原因、全部話せよ?

 最近人に機嫌を損なわれる。

 一度締めなきゃな」


 ふざけやがって。

 目立ちたくねぇのに。

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