年末
「みんなー!大晦日ー!」
「いや、急にどうしたんですか?」
そのまま何事もなく学校生活は平穏のまま終業式が終わり、もう世間はクリスマスが終わった。
事業だなんだのは知らん。
とりあえず冬休みとかいう天国に入り、毎日おなごに囲まれて幸せ!
と、後──残すのは大晦日!
いやークリスマスは良かったよぉ。
サンタクロース姿のおなごたちと運動会して踊ってくれたり。
普通の所では言えないようなサービスをたっぷりさてもらった。
見てた石田が鼻血を出しながらキレてたのは笑い物だ。
アイツ──童貞?
あんなのよく見る光景だと思うんだけどなぁ。
そんなのはどうでもいい!
そう。まさに、冬休みとは⋯⋯人間界のイベントの連続!
そうさ、これが⋯⋯楽園だ!
もうあっちとは違う。
研究の片手間に相手してもらうわけではなく、毎日生活の至るところにおなごがいるのだから幸せこの上ない。
男児諸君。
考えてみて欲しい。
朝起きたら、自然な姿のおなごが数人無防備で寝息を立ててる姿を朝から見れるのだぞ?
しかも、何しても怒られない!
これがどれほど素晴らしいかぁ!
朝ご飯を食べさせてもらい、終わったら夜まで運動会!
中学生の体サイコー!
毎晩夜は出前を数十人前頼んで食べ放題パーティー!
やりたい?
いや俺だから許されるんだ。
みんなにはこのカードあげないよ。
そんで、高級酒の飲ませあい。
口移し!
いっや!興奮冷めないねぇ!
石田が羨ましそうだったのがサイコーに気持ちえぇ。
終わったらまた大晦日前の紅白合戦して1日が終わる。
おいおい、これが望んでた生活だでぇ!
後は、この間石田が泣きついてきた。
星が石田の技術を覚えてしまい、ボクシングのみではもう難しいらしい。
あの時、石田はあえて寝技や喧嘩のような荒々しいやり方をしなかったようだが、それでも良い勝負だったらしい。
掴めない、避けて反撃を狙うところでもそれをまた避けて。
なんて動作を行われ、涙目。
泣きついてきた。
⋯⋯となると、後は銀だが。
"大将の護衛はどうするんだ?"
如何にも当たり前な事を言われてしまい、俺は諦めて下っ端達に頼んで星を相手してくれと頼んだ。
そこからはどうだかしらん。
おなご達と毎日甘い日々を過ごしているのだから、興味も湧かん。
「クリスマスはみんなでパーティーしたろ?」
「そうですね!」
「銀にはスーツと筋トレ用具あげたし」
「大将の器具凄く良いものだっていうのが伝わるぞ!」
ゴリラみたいな二頭筋がうねってる。
俺の目はすっかり釘付けだ。
「石田にはパソコンと色々なやつ買ったし」
「アレめちゃくちゃ高かったっすよね? ビックリしましたよ」
「あそこではしゃいでるガキ共にはプリキュインと仮面ライダーのベルト買ったし」
『へーんしん!』
「すまんな、大将」
「ガキはああやってた方がいいよ。
小難しい事を考えない方が」
そんなに値段張らないし。
あと数年もしたら今の倍くらい増えるしな。
「佐藤さん達美女軍団には現金と休暇を与えたからみんなお好きに実家にお帰りいただいて」
「ありがとうございます」
「そうだぞ?みんなまだ、大晦日もあるんだぜ?
楽しまなきゃ損だろ」
「まぁ⋯⋯確かに⋯⋯」
「大将、大晦日は帰るのか?」
「さすがにな。あの感じ、帰らなかったらここまで探しだしてきそうな怖さがあるからな。⋯⋯おぉありがとう」
佐藤さんからミルクティーをいただく。
「美味しー!さすが!」
サムズアップを決める。
笑顔で佐藤さんも同じように返してくれる。
佐藤さんたちが来てからもう1ヶ月か。
時は早いな。
「ここに居ていいという選択肢はありますか?」
「おー理沙ちゃん。良いよ?というか、石田とか銀は残るんだよな?」
「そうっすね。家終わってますし」
「俺の家もだな。鈴も大地も、放っておくと痣が増える」
「湊翔兄ちゃん、居なくなっちゃうの?」
「鈴も一緒に行く!」
「大丈夫大丈夫。また帰ってくるから。ちょっとお母さんとお父さんに会いに行くんだ」
これは本来お前の仕事だぞ?銀くん。
と、表情で見てやると、そっぽ向いている。
アイツ本当に兄貴なんだよな?
俺が代わりになってる気がするんだが?
「今日は30ですし、夕方頃から?」
「あぁ。それまでは普通に過ごすさ。あっ、それとここに滞在するなら、好きに飯は頼んでくれ。
⋯⋯それくらいは出す」
と、サラッと予備のカードを渡し、俺は佐藤さんと理沙ちゃんを連れて夜の合同会しに行きまーす!
「もー急ぎ過ぎ!」
「そんなに手を引かなくても付いていきますよ」
家に帰ってる間、出来ないからね!
ここできっちり空にしとかないとねぇ!
えへ。えへへへ!




