世紀の大発見(笑)
あまりにも区切り良すぎたので今日はここまでで(笑)
学校に通い始めてもうすぐ一ヶ月が経とうとしている。
そこで早速だが、俺としてはかなりの我慢行事とやらが多い。
「伊崎! 真面目に授業聞け!」
「とにかく協調性というのを持ってだな⋯⋯」
「お前はどうしたんだ? 前まで大人しい真面目な子だったじゃないか」
とにかく、外野がすこぶるうるさい気がする。
基本自動感知、意思消音だから殺されるなどの心配はない。
しかし、感知している分、ワチャワチャしているのがわかる反面クソうざい。
顔がうるさいやつみたいなものに近い。
喋ってないのにやたらやかましく感じるアレだ。
いや、違うか。
寝ているから本来なら見えないはずのやかましい奴らが、ずっと目の前で何かしているのが見えるからうざいのか。
まぁそれは置いといて。
それに後は、
「伊崎くんって結構カッコイイ?」
「なんか雰囲気良くなった?」
「漂うオーラが違うっていうか⋯⋯」
おなごの目から激しい感情を感じたりと結構悪くない気持ちになる。
反面。故に行事が起きる。
「おい、伊崎〜?」
あまり覚えていないのだが、確かにいじめられていた。
うん。しかも、かなり深刻な。
だが問題ない。
ーードンッッッ!!
これくらいなら死にはしないだろ。
「おい大樹!! おい伊崎!! てめぇこんなこと──」
バコッと、脚で横から顎に剣を横薙ぎにするみたいに斬ってやると、その場でぱたんと倒れてしまった。
なんとあっけない。
こういう時はどっちも黙らせるのが常だ。
後で報復がありそうなものだが、どっちもやってしまえばいいもの。
皆も、十分覚えておくように。
こんなイベントが日々続いている。
気付けば、生徒指導室とやらに一日に何回も呼ばれる羽目に。
──それが今だ。
「伊崎⋯⋯頼むよ。一体どうしてしまったんだ?」
むぅ。俺は何もしていないのだ。
勝手に声をかけられて罵倒されて殴りかかろうとしたところに蹴りを入れただけなのだ。
⋯⋯何が悪いんだ?
別に病院送りにもしてないし、これが逆だったらどうなってた事か。
「先生、彼の評判はご存知で?」
確か彼は有名ないじめっ子だったはず。
周りの持ち上げ方もそんな感じだ。
「え? あ、あぁ」
「ならば聞かずとも分かるのでは? こっちの方が教師という立場上楽だから選んでいるのでは?」
そう言うと、顔を真っ赤にして──机を叩きながら立ち上がっては俺を見下ろしだした。
別に許可なんてしてないのに。
「なんだと!?」
「そんなに興奮してしまうと、寿命が縮みますから」
「最近、たるんでるんじゃないのか!?」
俺はこの時、世紀の大発明を感じる。
⋯⋯なるほど。
だから弱者はこの段階から抹殺されてしまうのか。
「先生」
「んっ?な、なんだ」
「弱者を甚振りたいんですか?」
「なっ、なんだと!?」
「明らかにイジメがあったって分かるじゃないですか。確かに証明は難しいとは思いますが、明らかに俺が夏休みに入るまでは独特な雰囲気だったと記憶しています。
それなのに放置しては、こっちが優位になったら通じると思ってこれで謝罪して、あとで何かあったら責任を取ってくれますか?
⋯⋯取ってくれませんよねぇ。
根暗で社会に貢献しなさそうな奴は黙ってイジメられてればいいって事でよろしいですか?」
うむ。やはり人間とはこういうものだ。
素晴らしい。
「そ──」
「次──」
少し"不快"だな。
「ぁ⋯⋯ガェッ」
苦しそうにしている先生を見ながら立ち上がり、そのまま指導室の扉に手を掛け、背を向けながら言う。
「次──口を開いたら、お前の家族を全員俺の奴隷にしてやるから覚悟しておけよ?
妻と娘がいたら遊んでやる」
やはりこういう性格は、もう直りそうにない。
極小の魔力をしまい、俺は指導室を出た。
ッたく。俺の事を知らないにしても、人間ってやつはどこも同じだな。
ガラガラと閉める前に見ると、泡を吹きながらこちらを見上げる教師の姿。
まぁ、彼も可哀想だな。
俺みたいな奴と喋らないといけないのだから。
「おい!伊崎⋯⋯!」
「ん?」
そこには、この間泣いていた彼と、他にもワイシャツの上からパーカーを着た彼のお友達が8人。
と、話がそれたな。
恐らくあの先生はもう何も言ってこないはずだが、世の中力がないと大変だなと痛感した瞬間だった。
「おい、アイツをぶっ飛ばせば、望んだことをやらせてやる!いけ!」
学校は楽しいところだと思っていたが、案外そうでもないのかもしれない。
⋯⋯と、一ヶ月通った俺の感想だ。
ーードンッッッ!!




