表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
白波ホールディングス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/221

布石

 追記!

 作者が本日寝坊しました。

 慌ててデータを上げたら、なぐり書きの方が上がっていました。


 悲しかったです。

 最初何も気付かなかったのが悲しいです。


 コメントしてくれた方ありがとうございます!


 滅茶苦茶恥ずかしくてトイレに10分は篭りました。


 あ、ちなみに、気付いたのは、お昼です。

 (深夜の3時過ぎくらい)


 慌てました。

 語彙力が何処かへ飛んでいきました。

 僕の心はハートブレイクしました。

 ありがとう。


 襲撃されてから気付けばもう下旬。

 

 「伊崎さーん! これで合ってます?」


 「⋯⋯よし」


 ちゃんと頼まれたとおり、紙袋が5つ。


 「ちゃんと買ってきたな。

 ところで──もしかして聞いたかもしれないが、今給料どれくらいなんだ?」


 「普段は50もないかと」


 「あぁそうか。世知辛いな。

 一人でそんだけ儲けたのに」


 胸ポケットから、俺は50万円分の札を渡す。 

 キャッシュは会長の力で既に手元に結構ある。


 「え!?この間も⋯⋯。く、くれるんすか?

 いや、ここルイヴォンのお店ですけど」


 まぁ。俺の配下になる奴にはこれくらいしないとな。

 今そんなのどうでもいいか。


 「キーケースくらいなら買えるんじゃないか?」


 奥の方はジャケットとどうやら小物類が売ってそうだ。


 「いやいや!これなら、バッグとかジャケットも買えますって!」


 俺の肩を叩き、石田は興奮気味に奥に見えるコーナーを指差している。


 「おいおい」


 抑えてはいるんだろうが、確か24だよな?

 ガン飛ばしてんのかってレベルで俺を見ながら滅茶苦茶喜んでる。


 なんならその場でちょっと跳ねてるし。


 「ほら、さっさと買ってこい。待っててやるから」


 「えっ!?マジっすか!? よっしゃー!憧れのル・イ・ヴォン〜!」

 

 酔ったみたいに左右に揺れながら、ぴょんぴょん颯爽と消えていく。


 「はぁ」


 まぁ仕方ないか。

 あんまり金がなかったようだし。



 まぁざっくりと言えば。

 今俺たちは、高級ブランド店巡りをしている。


 最初は私服を増やす為だったのだが、石田がヤケにノリノリで、一店舗サラッと見てから白波の家に寄ろうとしたつもりが、二店舗三店舗と、今も数が増え続けている。


 だが懐は別に暖かいし問題ないので、こうして半ば付き合ってやってるというわけだ。


 ただなぁ。

 そりゃ中学三年生で1,2億なんて持ってりゃーって話だろう。


 しかし──。


 「やっぱり足んねぇわ」


 自慢ではないが、向こうで金なんて数えたことない。

 ポーション一つでこっちで言うところの100億以上当たり前に稼げたしな。


 まぁだが、俺としてはこういうのも悪くないのか?とも思っている。


 特にここ最近は。

 と、そんな事の前にっと。


 近くにある全身鏡で今のファッションを確認。


 カルマーニの白ワイシャツ10万円

 黒スラックス14万円

 ビットローファー11万円

 ルイヴォンのリング、ブレスレット、キーケースなどの小物も合わせて26万円


 「ふ、まぁいいな」


 これからもっと私服のコレクションは増えるだろうが、今はこのスタイルが俺の好みにあっている。

 

 カルマーニさんの謳い文句と合致してる。

 "本物志向"ってやつだ。


 「ていうか──」


 鏡からさっきの場所を眺める。

 そこには24歳とは思えないくらいキョドりながら店員の話を聞いては喜び、興奮している石田の姿があった。


 「はぁぁぁ」


 今日は長い溜息が止まらん。

 店員さんも変なやつを対応してて顔が引き攣ってるじゃないか。


 ありゃはしゃぎ過ぎて酷いわ。

 後で死ぬほど働かせよう。

 

 なんて独り言を言ってると。


 「大将、周囲に変な人間はいなかった」


 首が痛くなるほど見上げると、そこにはゴリラが居た。


 「なぁ、その大将はやめてけろ」


 この間まで俺を殺そうとしていた男。

 その名も真壁銀譲。


 銀色のオールバックに全身鎧の筋肉バキバキ男だ。 

 そんな奴が、今では俺を守る為に背後で警護しているのだ。


 「さすがにお前はないだろう?」


 鼻で笑い、銀はその後もキョロキョロ辺りに変なのがいないか探している。


 むしろコイツが変なのになりかけているのだが、本人は気付いていない。


 「銀はなんかいらないのか? 石田よりも働いてるんだからもっと金ならやるぞ」


 「いや。家にいる兄弟の為になら遠慮なくいただく」


 「そうか。でも、今度スーツを買う時はしっかりとしたものを買ってもらうからな」


 「勿論だ。だが、大将に名前で呼ばれると、違和感がまだあるな」


 ちょっと恥ずかしそうにしているのが意外だ。

 

 「あれからもう経つよな?」


 「そうだな。大将には結構世話になっている。現在進行系だが」


 というのも。

 あれから大和田組の残党だの、それを省いた大和田組の中でも上のレベルの奴らとの会議が執り行われた。


 本来なら色々殴り合いだなんだと起こりそうなものだが、銀が本気で動けば──橋本なんてのはあるようでないもんだったらしいのはマジだったらしい。


 本当に橋本さんそっちのけで、若頭である銀が石田を連れてきて俺に相談を一生しては、その問題をそのまま流用して話はしっかりと終わったと銀から聞いた。


 いや、本当にずっとだったからな。


 銀が居ない時に石田から聞いた小話は、銀一人でほとんどの話は解決し、言うことを聞かないヤツはしっかりと怖い人たちによって闇に葬られ、組長の跡を継ぎたい人には継がせ、この件は終わったとの事だ。


 石田いわく、ずる賢いやつってのが居て、今回の話で空いた席をやっとの事手に入れたんだと。


 今回の件で長かった下積みが終わった人間いるそうだ。


 と、そして──。


 「伊崎さぁーん! どうですか!?」


 うわぁ⋯⋯パリピみたいな服装ぉ。


 両手には紙袋を一杯にしてやってくる石田。

 正直見てられないので銀を見上げてこの状況を丸投げする。


 「まぁ悪くないな。銀は?」


 「警護するなら、それは動き辛いんじゃないか?」


 止めてやれ。

 下手をすれば、一番酷い扱い方だ。


 「⋯⋯アニキィ!!そんな悲しいこと言わないでください!」


 「おっ、おう」


 珍しく威圧感ある石田の覇気に殺られている。

 何でこんなところで発揮してんだよ。 

 この間それを発揮しとけよ、マジで。



 ーーヴヴ!


 

 ⋯⋯ん?

 

 携帯を開くとメールが5件ほど来ていた。

 多分斡旋所だろう。


 「さ、斡旋所の方は──お、結構いいね」 


 斡旋所。

 まだ正式活動ではないが、俺が資金と場を用意して銀が直接指導を始めたグループの名前だ。


 言い換えれば、人材派遣ともいうな。


 目的はセキュリティや警護の会社を目指していくのが最終目標であり、ゆくゆくは世界にも広げていきたい。

 となると、課題はまだまだあるが、そこは今はいいだろう。


 当面の目標は、鍛え上げてそこに銀の下っ端⋯⋯いや仲間か。


 クラブとか、まぁ色んなところに送りこんで金にしようという魂胆だ。


 ただ、一応まだまだ礼儀やその辺りがヤクザなので、一般化させる為に現在うちの秘密基地の端っこの方で面倒を見ている。


 いつの間にか──あそこが秘密基地でもなんでもなくなってきているのが悲しいんだが。


 「達成報告だな。順調順調」


 彼らにやらせているのは筋力トレーニングと、体幹トレーニングらしい。


 これに関してはとりあえずのところ銀に一任している。 


 当分形にはならないだろうしな。

 とりあえず今は、銀に言われたメニューとやらをやったらメールで俺に成果報告。


 まだ日数は少ないが、これ義務付けすれば、やらない日が気持ち悪くなるという人間の心理を使ったやり方で習慣化させていく予定だ。


 「金はあるって本当だったんですね」


 ウッキウキで隣で笑う石田が段々と面白く見えてきた。

 だが、コイツら⋯⋯分かってるのか?

 これからが本番なんだがな。


 「まぁな。これから、二人もっと忙しくなるだろうが」


 「「⋯⋯?」」


 「さて──挨拶でも行くかね。ちょっと行く所がある」


 なーに。これからが本番じゃないか。

 これから嫌という程外に出回って行くんだ。


 せいぜい今の内に休んでるといい。

 

 二人をさっさと追い抜き、足早に車へと向かう。

 それからすぐに白波へ。


 "早く行かないと"。

 

 






 「おぉ!よく来たな⋯⋯おぉ」


 「どうも」


 いつもの部屋に入ると、会長は全身を品定めしてくるように上から下まで視線が動き、木村さんは地球温暖化よりも温かい目でざっくり全体の服装を見てくれる。


 「服装でそんな反応されるとは」


 厳しい会長の視線。

 上流階級だから仕方ないのか。


 「結構お似合いですね。伊崎さん」


 ⋯⋯太陽だ。

 この人は太陽だぞ。

 視線が優しすぎる。


 なんて優しいんだ。


 向こうでそんなこと言ったら、今すぐにでも若返りのポーションでもあげたのに。


 「木村さんこそ。いつもそのスーツ、お似合いですよ」


 「照れるなぁ。息子達は何も言ってくれないから恥ずかしいですね。面と向かって言われると」


 襟元を正した木村さんはそれ以上前へ出ずに側近として控えるように後ろへ下った。


 引き際も太陽だ。


 「会長、どうもお久しぶりです」


 「どうした? まだ夕方前だぞ。珍しいじゃないか」


 まぁこれからの事を考えると、早めに木村さんか会長の日程を空けておきたいんだよなぁ。


 「いやいや、一応これからの日程を取りたくて」


 「ん?アポを取りに来たと?」


 「ええ」


 頷くと、二人は目を合わせて数秒⋯⋯プッと吹いている。

 おい、明らかに馬鹿にしてるぞこいつら!


 さっきのナシ!


 「そんなおかしいですか?」


 「いや、アポも何も⋯⋯っ普通に無断で家まで来るやつが、アポを取ろうなんて言うもんだからな」


 ⋯⋯ノーコメントで。


 「まぁ確かに」


 「あぁっ。十分に笑わせてもらったよ。

 それで? 君の事だ、何か必要なんだろう?」


 と、泣きながら笑っている会長に日程を一部空けてもらい、それが終わるとここ最近の話をした。


 



 「そんな事でいいのか?」


 「えぇ。多分木村さんが見たらぶっ倒れる気がします。  

 あと、多分白波としては、嬉しいお知らせになるかもですね」


 そうだよな。とりあえず──800億は確実だしな。

 白波にとっては嬉しい話だと思うんだけど。


 「おぉ、それは嬉しい知らせだな」


 期待の眼差しでこちらを見る会長には悪いが、今日はメインはここじゃない。


 「はい。では、お嬢様と少し話して、今日は失礼しますよ」


 少し早歩きで扉に手をかける。


 「珍しく切り上げ早いな。

 そこまで急いでるということは、紗季に会わなきゃならない理由があるんだな?」



 ーーそーくん!!



 「ふっ。えぇ⋯⋯"俺"が、"覚えている"内に」


 「なんだ、覚えている内って」


 こちらの返答がヘンテコだったからか、意味が分からんと鼻で笑う会長。


 ま、分かるわけないよな。


 「ふっ、冗談です」


 とドアを開けると、会長が続ける。


 「⋯⋯待て。慌てるな。すぐに内線を掛けるから、少し待っていなさい」


 まぁ人ん家に来て勝手に出歩くのはヤバイな、確かに。

 俺も直していかないとな。こういうところ。


 「はーい」


 ソファへとだいぶして、ガラケーで最近のニュースを眺める。


 「全く⋯⋯」


 「まぁまぁ」


 会長は眉間を摘みながら溜息をつき、木村さんは良いではないですかと宥めていてくれる。


 それから程なくして、俺はゲストルームへとメイドに案内されるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ