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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
白波ホールディングス編

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エリクサー

なんかアルファで伸びてるw

 何故だ?by作者

 "エリクサー"


 この言葉を聞いたアニメ、魔法履修済み深淵を覗く男児諸君は、きっとこう思い浮かべるのではないだろうか?


 「どんな病気も治す秘薬だと」。


 話を折るようだが、その答えは間違いではない。


 ただ──。

 俺の作ったエリクサーは少し違う。


 本来のエリクサーはそういう使い方が本来のモノだが、俺の作ったエリクサーは身体を改造する為に更に魔改造した物と言える。


 秀才、天才、鬼才、特化型と言われる人間から様々な人体を見てきた俺は、世界を進化させてきたと呼べる者たちの共通点、構造を見つけ出し、そしてエリクサーを仕上げる事に成功したのである。


 これは師が羽根ペンを落とすほどのことだと言えば理解できるだろうか。

 

 ざっくり言えば、天才と呼ばれる部類の先天的に才を持つ人間というのは、生まれつき遺伝子構造として魔力との親和性と感応力が桁違いに良い。


 これはつまり。

 本人の意思とは無関係に付いているものであると言える。


 神の愛し子と呼ばれるのも無理はない。


 構造が魔力制御や様々な事まで行える構造なのだから。


 何だこの説明は。


 そう思った者は今すぐどっかへ行け。

 錬金術師には向いていない。


 魔力を使用して万物を創り上げる事ができるただ一人の人間のご解説だぞ。


 と茶番は良しとしてだ。

 

 異世界で創り上げた最初の俺の完璧な成果。


 それがこのミニ空間で保管していたものだ。


 俺も流石に初めて制作した記念の胸の高鳴りくらいある。


 さっきの説明で言うところの、ようは不純物を取り除き、極限まで魔力に適した身体に作り変える。


 そして身体の成長、必要なところまでの工程を自然に行えるように調整して出来たエリクサー。


 それが今から飲もうとしている豪華な装飾が施された瓶に入っている黄金の液体。


 ──通称黄金の雫である。

 

 これは師匠も飲んだ程だ。

 徹底的な分析と理解力がなければ作り上げることは不可能な物だからだ。


 そしてその際、自分の体内にある不必要な物が身体の皮膚からバカみたいに漏れ出す為、俺が場所を必要としたのはその口実だ。


 「よし」


 場所は取引で貰った汚しても良い場所だ。


 景色はまぁそこそこ。海の近くって事もあって中々悪くない。


 ここに俺の秘密基地でも作ろうかな?


 「さていただきますかね。自分で作ったものだけど」

 

 瓶の蓋を開け、俺は一思いに全て飲み干し、なくなった瓶をそのまま投げ捨てる。



 ーードクン、ドクン。



 鼓動が、異常値を超えるほどの心拍に到達していく。



 ーーバクン、バクン。

 


 「ふぅ⋯⋯ふぅ⋯⋯」


 数秒も経っていないのに、額から大量の汗が滲み始めている。


 最初は中々だ。


 わかりやすい表現をするならば、筋肉痛が一瞬で訪れるような感覚だ。


 全身の構造を書き換えるに等しいからな。








 過呼吸気味に空を見上げ、しばらくすると。


 「終わったか」


 見上げたのは昼間のはずだが、もう日が暮れかけている。


 「うわ」


 一応全裸だ。

 不純物のニオイが半端じゃないから。


 「うえっ、慣れねぇ」


 べチョリと自分の腕に付着している灰色のスライムが薄まったような気持ち悪いもの──これが不純物だ。


 「やっぱりとんでもない量だな」


 こっちの世界は人工物などのせいで体に非常に負荷をかけている。


 自慢をする訳でもないが、魔力は神聖な物だ。


 当然、相当の肉体スペックと純度を必要としている。


 体の中から作り変えるものなので、こうして大量の不純物が出てくるというわけだ。


 「はーい自分の体に──放水!」

 

 汚れを落とすための場所だ、まぁホースは用意済み。 


 プールの時みたいにバンザイをして不純物を取り除いていく。


 「んだよ」


 あれ、全然取れねぇ。

 結局自分で剥がして掃除をするまでがセットだ。


 「はぁーあ。やっとエリクサーが飲めたってのに、締まらねぇな」






 「おっ、見覚えのある回路だな」


 この場所。

 どうやら気を利かせてくれて、一室まるごと作り変えてくれていたらしい。


 風呂、厨房やリビングと、ほぼ一人で暮らしてもさほど問題なさそうな間取りに仕上がっている。


 鏡の前で全身を隈なく確認していく。

 

 「うん。俺の回路で間違いないな」


 結局のところ、俺のエリクサーのヤバさを誰も理解していないまま世界から離れてしまったな。


 この黄金の雫を見せた時、師匠も何故こうなったかを理解するのにめちゃくちゃ時間かけていたから恐らくそういう事だろう。


 この回路、つまり血液の循環を見ると、どれだけ効率的で美しく、身体の構造が変わったのかすら理解できる。


 「まだ俺の成長が追いついていないからか、こっちの方は時間が掛かりそうだな」

 

 ガチガリガリの細い身体のラインを凝視する。


 さっきも言ったが、作り変えるというのは骨格も含まれている。


 魔法に耐え得るスペックとなると、必然的というか、なんというかだ。


 身体スペックを要求されるのは当然だろう。


 生物的には雄としての機能性の問題だ。


 だからあっちで幾ら歳をとっても、毎日女を抱くことが出来れば、何回戦もいけたし、戦闘も問題なかったというわけだ。


 「よし、試しに」


 まだレベルは高くないが、試せるだろう。


 「※※※※(穿け)


 

 ーーバァン!



 指を出さずとも、近くにある花瓶に向かって横目でそう呟くと、何処からとも感知出来ぬ魔力で固まった槍が花瓶を貫く。


 あ、心配していることはわかるぞ?

 勿論、この魔法と呼べるものを見えるのはいない。


 次元が高くないと基本見えないものだからな。


 「⋯⋯こんなものか。本当に弱体化したのだな、俺は」

 

 割れた花瓶を拾った俺は思わずそう呟かざるを得なかった。


 せいぜい横の幅10cmくらいは浮かべただけで制御できる思っていたが。


 「まぁ飲んでまだ1日も経っていないのだから仕方ないか」


 と、横目に映る鏡越しの全裸の自分。


 さて。

 あとはこの未熟な女を知らない過去の肉体だ。


 ポーションで伸ばしていないある意味本物の若い体だ。


 目線は下半身の──既にふんぞり返っているイチモツにある。


 黄金の雫は"そういう面"でも大いに役立つ。


 「んー。でもこれは些かまずいな」


 性処理問題は結構早急に処理する必要があるな。 


 若い、そんで掛けることの暇な時間と若い女を見たらこの未熟な体はもっとヤバイ。


 なぜなら、俺の精神は引っ張られていると仮定しても、女という性の素晴らしさを感覚的に味わっているからだ。


 行為をした事もないのとは違う。

 だから余計まずい。


 スマホがないから近くにある所も調べられん。


 年齢的にもお店はあったよな? 

 どうだったか?


 あっちでは金さえ払えばどこでも何歳であっても可能だったが、こっちはどうだったか⋯⋯。


 あとは専属の性処理人員もあっちではどうにか出来たが⋯⋯んー。


 「まぁ、そういう為の、"コレ"だわな」


 開き直ってバスタオルを拾い、肩に引っ掛けながら奥の棚に置いておいた輝く瓶を手に取ってこれから起こる快楽の日々に笑みを零してしまう。


 「もう昔の記憶はほとんどないが、学生をもう一度やってみたかったからな。あっちのアカデミーでは貴族しかいなかったし、平民なんていなかったから満足な会話すら面倒だった記憶しかないしなぁ」


 そのまま近くの黒いモコモコソファにバフンと飛び込んで天井を見上げる。


 やってみたかったんだよなぁ。

 戦争も、何もない平穏的な学生生活ってやらを。


 研究研究研究研究研究の人生だった。

 どうにかしたいわな。


 一見華やかに見えた自分の人生だが、その8割はほぼ研究だ。


 2割はなんだって?

 聞くな。快楽サイコ~!


 師匠が女を連れてきてくれたりしたのは、地獄のような環境で処理をする機会すらなかったからだ。


 「今日からとりあえずここでお休みして、色々事に当たろうとしますかねぇ」


 黄金の雫(これ)も飲んだし、そろそろ普通の人間らしく振る舞う必要はない。


 資本主義社会だ。

 折角なんだから楽しませてもらおう。


 俺のわがままライフってやつだ。

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