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自力で帰還した錬金術師の爛れた日常  作者: ニキニキちょす
国内無双編

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今年もやってくる財のバーゲンセール

 「お兄ぃ、いくら稼いでるの?」


 「そうよ? あなたからも言ってよ」


 「湊翔、金はあるんだろ?」


 しっかり百貨店で買った物ともはや恒例行事にしようと大量の贈り物を郵送で事前に送り、俺はのんびりと実家へ帰省である。


 「勿論。株もやってるし、ちょっと前からファンドもやってる」


 「ふぁ、ファンド?何それお兄ぃ」


 「金持ちから金を集めて、代わりに株とか難しいやつあるじゃん?それを運用して利益の中から手数料ふんだくるってやつ。


 一つのプールがあるとして金持ちから投資をしてもらうだろ?


 その金を投資=プールに投げ込んで利益が出たら手数料から俺も金がもらえるって感じ?」


 「分かるような分からないような」


 「それで幾ら儲かってるのかとか聞いてもいいのか?」


 父が聞いてくる。

 手には美容液と南が好きらしい俳優の色紙を置いて答える。


 「どれくらいだろう?

 現時点で利益自体は200くらいかなぁ?」


 「おー、順調じゃないか。

 これからどんどん増えていくのか」


 ん?


 「いや、億だよ?」


 「⋯⋯ん?」


 「ん?」


 ポカンと全員の目がガン開きである。


 少し間をおいてヒステリックに俺の肩を揺らす両親。


 「そ、湊翔!!大丈夫なのか!?」

 「そ、そうよ!? い、いきなり落ちたら足とか指とか取られないかしら!?」


 「大丈夫だよ。

 他にもサバとかウナチとか、鰻もあるし、公表していないけど同年代で俺より資産ある奴もいないんじゃない?


 脱税はしていないけど結構溜まってるしね」


 「駄目だウチの息子が化物になってる」

 「そうね、一気に疲労が」


 揃いも揃って両親がバタンと椅子に座って20歳くらい年取った顔でもたれた。


 「駄目でも返せる金額だし問題ないよ。

 ほら、それより南」


 色紙と美容液を渡す。


 「え!?昴くんのサイン!??嘘でしょ!?」

 

 「え?言わなかったか? 今話題のアルケミ⋯⋯俺が作った事務所だぞ?」


 「⋯⋯う、」


 表情筋の時間が止まってるが。


 「う?」


 「うええええええ!?」


 「お、おい?どうした?」


 「お兄ぃがアルケミのぉぉ!?うっそぉぉ!!」


 そんな人気なのか?うちの事務所。

 まぁ、確かに上澄みばっかりになったからな。


 「いや見てよ!!」


 大興奮の南に連れられたのは50型の最先端テレビ。


 おぉ、昴のCMじゃないか。


 『あなたの肌に、神の潤いを』

 『使った瞬間から、全ての女性を女神にする』


 『既に通販、ドラッグストアでも完売続出──これを使えばあなたも女神に。


 エリクシル──プレーン美容液』


 おー。

 

 『あなたに捧ぐ、女の深遠』


 「世那ちゃん可愛い⋯⋯いや、何でもない」

 

 父がそう言いかけると、どこかで果てしない爆破音が聞こえたので、一瞬静寂に包まれる。


 続いて別チャンネルでは世那ちゃんverのCM。


 『神の潤い。男を魅了する』

 『男を虜にする』


 『エリクシル──ハイプレミアム美容液』


 ごめんね父よ。

 世那ちゃんの全てを知ってるんだ。俺。


 どこが好きとかもね。


 「見た!?今アルケミが話題に話題なんだよ!?」


 「そんな話題なのか」


 「そうだよ!CMで見ない日はないよ!


 しかも、GNBが有名らしいけど、今ギャラクシーシンデレラっていうグループがこの間テレビで出たんだけど、ばっか可愛い子ばっかりで女の私も釘付け!!


 こんなの誰が集めたんだ!?ってなってるの!


 愛称アルケミだよ!?


 みんなこぞって調べたら、石田龍司っていう突如現れた超新星の天才が集めたらしいの!


 みんな言ってる!」


 無茶苦茶な早口でまくし立てられながらしっかり褒められる俺。


 「ありがとう、うちの事務所を褒めてくれるなんて」


 「ほ、ほんと⋯⋯に⋯⋯お兄ぃが⋯⋯!!」


 俺に縋り、南は大号泣しながら何故か感謝を述べ始める。


 「ありがどぉぉぉ!!

 最近昴くんのファンだからうれじぃぃ!」


 「おぉおぉ。昴な?

 今度グッズ持ってくるから」


 「本当!?」


 「あぁ。

 なんならイベントがあったら関係者席から見せてやるよ」


 「やっべぇ⋯⋯!

 お兄ぃが一年でちょーかっけぇ!!」


 「父さんは世那ちゃん好きなんでしょ?

 いつか会わせるよ」


 「そーちゃん?

 それはお母さん駄目だと思うなー」


 こ、怖え。


 「そ、そうだね!母さんは何かないの?」


 「美容液はそーちゃんがくれるみたいだし⋯⋯私は平気かな」


 物欲がない人だ。


 「ま、何か必要だったら言ってよ」


 そう言って、家族はいつものように一年を終える。


 ただ、去年とは違って、全員が泣く事はなく、ただただ今あるそれぞれの喜びを堪能していたということだけだ。


 飯食ってこたつでぬくぬくして。

 拳哉とゲームしながら南の昴トークを一生聞きながらカウントダウンを聞く。


 母と俺の近況について語り、父とは将棋をやった。


 特別面白い話はしなかったが、やはり父と子はこのようなものなのはどこの世界でもあまり変わらないらしい。


 特別なものはない。


 だが、この時間に俺が帰った意味がある。

 実家に帰るとやはり──普段では考えないような事ばかり考える。


 「明けましておめでとー!!」


 2014か。

 まぁまだまだ金は足りないが、2014は何をしようかな。


 国家予算位は貯蓄しないと、俺の割に合わないだろう。

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