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十 ハバネロ畑 VS ネカフェ

この時点で謝罪させてください。


誠に申し訳ありませんでした。

「彼の者を見よ」


 ハバネロ郎が顎をしゃくった方向ーーハバネロ畑の中央には、毛むくじゃらのレスラーが寝転んだままハバネロの花が資本主義の豚鳥をついばむ様子を見ていた。


「まさか……ザンギエf「彼の者、名をレーニンと言う」


 今は血戦の真っ最中。すでにハバネロ郎は構えていて、なおかつ強者が魅せる観念世界に囚われているというのに……ソーダ之助はザンギエfじゃなかったレーニンが気になって仕方ない。


「気になるなら見て来て良いぞ」


 小腹が空いたらしいハバネロ郎は、懐から蒙古タ●メンを取り出しポットからお湯を注いだ。余裕綽々だ。


 ソーダ之助はソワソワしながら、レーニンにはとても見えないレスラーに近付く。


「赤化する世界の中心で、レーニンはハバネロが資本主義の豚鳥を食らうのを見た」


 ハバネロに世界を赤化させる力などあるのか、また資本主義の豚鳥も気になるが、ザンギエf……じゃなかったレーニンが気になる。いや良く見ると……


「ファッションセンスはAのチームのメカニック……「彼の者、名をレーニンと言う」


 ハバネロ郎にはそう見えるようだ。


「フオオオオオオオオオオオッッッッッ!」


 なんか良くわからないレスラーは、突然起き上がって両腕を振り回した。


「あれってダブルラリアッ……「彼の者、名をレーニンと言う」


 ペリリ……


 ハバネロ郎はこの時代に存在しないはずの素材でできた蓋をめくった。辛い風が吹く。


「まだ早いだろ「バリバリバリバリ……」


 お湯を入れて五十秒足らず。未だラーメンにならぬ物体を貪るハバネロ郎を、どう受け止めて良いか、ソーダ之助にはわからなかった。


「ゴクン。ンガングッ……レーニンはその光景を見て天恵を得た」


「フオオオオオオオオオオオッッッッッ!」


 ハバネロ郎がレーニンと呼んだ存在が、高く飛んで掴んだ見えない何かにパイルドライバーッッッッッ!


「それが……」


 ゴミはゴミ箱に。子供たちへのお手本を見せるように、ハバネロ郎は空になったカップラーメンの容器と割り箸を捨ててからレーニン的存在を指差した。ゴミは後でスタッフが回収しました。


「……スコヴィル獅子闘流。●狼がーー剣●が時を越えるように、業も時を越え、我が元にたどり着いた」


 うっとりした表情のハバネロ郎は先ほどと同じように構える。


「そしてこの構えは……」


 切っ先の向こうから両眼。


「資本主義の豚鳥喰らい、と言う。基本にして奥義ッッッッッ!」






 ハバネロ郎が何を言ってるのかわからない。


 俺の観念世界もこう見えてるのか?






 二つの疑問でソーダ之助の脳髄が破裂しそうになる。


「ソーダ之助ッッッッッ!闘うつもりが無いなら引けッッッッッ!」


「……引かぬ」


 ソーダ之助も抜刀。いったん上段に構え、あえて迷う素振りを見せて刀を額の正面で水平に。切っ先は左。刀の腹にハバネロ郎の両眼が映る。


「ほう。日向パンちゃん流は、示現流の影響が強いと聞くが……」


 ハバネロ郎から見て、明らかに守りの構えであった。





 ドクン。





 鼓動。


 ハバネロ畑にヒビが入り、割れて、ソーダ之助の観念世界が侵食して行く。


「ここは……」


 ハバネロ郎は知らぬ場所。なのに、言葉が走った。


「快●CLUB……だと?」


 説明しよう。家庭に居場所の無い作者が、土日祝日に引きこもる場所で……


「これが噂の……無料ドリンクバー……無料モーニング……そして……」


 無料ソフトクリームで有名なネカフェだ。モーニングのポテトは……もうやっていない。


「何だ、この圧力はッッッッッ!しかも……全然知らないのに『これが噂の』とか言ってしまったッッッッッ!」


 後退りするハバネロ郎の背後をヒビから逃れたレーニン的存在が荒木●呂彦風に回り、蒙●タンメンが薫る背中を支える。


「ソーダ之助ッッッッッ!能力バトルに切り替えるつもりかッッッッッ!卑怯なッッッッッ!」


「あくまでも剣で決着を付けるッッッッッ!」


 ご安心ください。タグにもある通りチャンバラはやります。


「嘘をつくなッッッッッ!背後のミステリアスな緑のガールは誰だッッッッッ!」


 ゲスト出演を依頼したかったが、都道府県位置のファンアートでは無かったし、そもそもどう頼めば良いかわからなかった。故にミステリアスな緑のガールの正体は皆さんのご想像に委ねるッッッッッ!


「具体的な事は言えんが、オラオラとかアリアリとかはしない。やべーし。あえて言えば……」


 ガールはグラスに氷を入れ、メロンソーダを注ぎ、そこにクリームソーダを乗せ、堂々と持ち込んだチェリーの缶詰を開け、中身を一粒乗せた完成品を見せびらかす。


「萌え要素ッッッッッ!」


 ソーダ之助は吼えた。これは自力で萌えを表現できぬ作者の哀しき咆哮でもある。


「オラオラでは無く………………萌え萌えかっ、この童貞野郎がッッッッッ!」


 いつもならここでソーダ之助は一線を越える。


「認めよう。俺は童貞ッッッッッ!だがッッッッッ!志だけはハーレムに君臨するマハラジャだッッッッッ!」


 しかし、強敵を目の当たりにしてソーダ之助は成長した。実現できぬ痛々しい願望であったが、自分をさらけ出せたのが証左ッッッッッ!。


「日向パンちゃん流奥義、三毛猫●ームズの喫茶店ッッッッッ!」


 ソーダ之助の新たなる奥義。それが三毛猫ホー●ズの喫茶店ッッッッッ!


「貴様ッッッッッ!くそっ!一応オレが謝ってやるッッッッッ!すいませんでしたッッッッッ!」


「俺の方こそッッッッッ!赤穂浪士にもッッッッッ!そっちのザンギエf「彼の者、名をレーニンッッッッッ!」すいませんでしたッッッッッ!」


 さらにもう一度、いっせーのせで。


「「すいませんでしたあああああああああああッッッッッ!」」


 私ーー都道府県位置からも謝罪させていただく。すいませんでしたァァァァァッッッッッ!


 メタ的な方面への謝罪。コンプライアンスは常に意識せねばならぬ。


 どうか寛大な処置を、と二人ーー作者を含めて三人が願うのと同時に、ミステリっぽさと辛い風がぶつかり合う。


 ザンギエfじゃなかったレーニン的存在が吠えた。か弱いミステリアスなガールはスマホで青と赤も呼ぶ。


 存在しない何かを抱えて、ザンギエfじゃなかったレーニン的存在はパイルドライバーッッッッッ!


 ガールズはひとりパイルドライバーへ、即席クリームソーダをぶん投げて迎撃ッッッッッ!


 投擲に使用されたクリームソーダは、床にぶちまけられても飲める素材で製造されており、ソーダ之助とハバネロ郎の戦いが終わった後にスタッフが美味しくいただきましたッッッッッ!

































 そして。


 先に動いたのはハバネロ郎。


 意外とザンギエfじゃなかったレーニン的存在はフェミニストであり、ガールズへの反撃をためらっていた。


 そのためらいの隙間に身を通し、渾身の突き。


 ソーダ之助は刀の腹で受ける。刀身が軋む。歪む。ヒビ割れる。折れる。


 二つに分かたれた刃の狭間で、ソーダ之助とハバネロ郎の眼光がぶつかりあった。

俺は何を書いているのだろう?


読者は何を読まされているのだろう?

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