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食材探し

 さて、いよいよ市場を見て回れる。今回の狙いはお酢なんかの調味料、油、牛乳と乳製品、ニンニクとかパスタも欲しい。肉類や魚類は自分達で獲れる。でもチーズとかは……フレッシュチーズならお酢と牛乳で作れるけど。


 牛乳を六十度くらいに熱してお酢やレモン汁を入れて、分離したら搾る。……でも使い道がなあ。サラダとかかなあ。


 ちなみにハンバーグは好評だった。ちゃんと柔らかく出来たよ。玉ねぎの量とかミンチの作り方次第で固くなることもある。まあ固いのも美味しいんだけど柔らかい方が人気だよね。


「あーもう、酒に合うのばっか作りやがる」

「本当に、ワインが美味しいわね~」

「うん、これは肉とは思えない柔らかさ」

「今まで私たちが食べていた肉は魔物をその場で捌いて焼いたものや干し肉ばかりだったからな。硬くて噛みきれないとか塩漬けで塩辛いばかりだった。こうもしっかり手を加えて調理された物は初めてだろう。実に美味い」

「お、美味しいです……勇者様に連れてこられて戦場を走り回っていた時はどうなるかと……ひぐっ、グスン」


 とりあえずヒカリの頭をひっぱたいておいた。勇者何やってるの。あとサトナカさん、長い。


 と、パーティーメンバーには好評だったから今度はソースに工夫して更に煮込みハンバーグとかも作っても良い。トマトが有れば出来る。


 最初トマトが襲ってきた時はどうなるかと思ったけど、カインたちにも会えたし料理にも使えるし、トマトには感謝だね。次に会った時は倒すけど。


 牛の骨が有るんだから出汁を取ってブラウンソースを作ってから煮詰めてデミグラスソース作れないかな。作り方は記憶してるけどホワイトシチューの方が好きだからやったことないんだよね。熟成とか研究してたのはサバイバルマニアだから無人島で美味しいものを作る方法を考えてたんだよね。だから原始的なソースの作り方は一通り調べたよ。デミグラスはワインが要るからやったことないけど、醤油ダレ、味噌ダレ、蕎麦つゆにうどんのかけ出汁、つけ出汁、トマトソースにジャムソース、クリームソース、この辺りは一通り作った。いやさ、貧乏人に試作した物を棄てる事なんて無理だから試作には限界はあるよね。太る。


 いつか無人島で一から美味しいものを作って暮らしてみたいな。スキルや魔法無しならそうとう時間が掛かりそうだけど。ミルクとか無いしお酢も無いから果物とか使わないと美味しいのは作れないかな。魚を石を削った浅い鍋で果物と煮詰めたりしたら美味しいか?

 魚は釣り道具作れないかな。ガチン漁とかするしかない? 石で銛を作ってとったどー、する? それも楽しそう。


 まあ今はこの世界の冒険飯にチャレンジだ。買い物に行こう。揃わないものはスキル召喚で何とかしよう。


「そういえばエリザ、チーズ食べたこと有るんだよね?」

「うん、子羊の胃だったかな、で作った奴ね」

「レンネットのチーズか、食べてみれないかな」


 試食の文化なんか無さそうだし少しだけ買ってみるかな。ギルドでまた胡椒とか売らないと駄目かな?

 ハムとか作ったら売れないだろうか。お酒が有るんだしハムくらいなら有りそうだ。そもそもお酒とかチーズとか原材料的なものは有るんだよね。無かったらそこから作るところだけど。


「うわあ、賑やかだね!」

「たくさんお店が並んでるでしょう? ようこそサン、シェスタの市場通りへ」


 うーん、思ったより活気が有るな。ほとんど水で煮るか焼いて食うくらいしか調理法が無いらしいのに食材の種類も十分だ。ただ全部でかい。


 クリームシチューなんかは牛乳で小麦粉を溶かすタイプはそんなに古い料理じゃないから無いのかも知れないけど。それまでも小麦粉をバターで溶くタイプはあったらしいけど、それも十六世紀ごろに出来たんだっけ? 大本になる煮込み料理はもちろん紀元前からある。日本の鍋に近いものだね。


 ハンバーグも中世では作って無さそうだ。十八世紀ごろに出来たと聞いた。ハンバーグの原形のタルタルステーキは元々は十三世紀ごろにタタール人によって伝わったんだったかな。流石にそこまでは覚えてないや。だから焼いてみた人はいるかも知れないな。


 チーズは実は凄い歴史が古くて紀元前から有るらしいし、お酒だって歴史が古いからね。この世界はただ単純に料理の歴史が浅いだけな気がしてきた。そこに女神様の怒り、もしくは第三者の呪いが加わった感じだろうか?


 ピザも原形は古くから有るそうだ。でも今の形になったのはトマトが伝わった上で食べられるようになった近代からだろう。トマトは偉大だ。この大陸にトマトがいて良かったね。料理の幅が広がるよ。


 あ、パスタ発見! 確保ーッ! 牛乳もあるぞ!

 チーズ発見! ……味見してから買おう。おじさんに一切れ売ってもらう。おじさんはカレーを食べに来ていたらしく聖女様と呼ばれてしまった。最初に顔を見たらヒッ、て怯えられたけど。やっぱり私が聖女とか人選ミスだろう女神様。


「うーん、藁の香りがする。これなら使えるかな」

「美味しいわね」

「うー、私は無理かも。臭い強いよ~」

「……何でもウェーリアル王国より美味しいです……」


 おっと、ヒカリとリカちゃんも着いてきてる。女の子だけでお買い物なのです。

 やっぱり女の子が四人もいると華やぐわ~。男衆は肉の解体作業をしているよ。


 ヒカリが荷物を魔法(スキル)で仕舞ってくれるので凄く楽だ。冒険に連れていけない分は料理を作って持たせてあげよう。荷物持ちだけやらせても良いんだけどいざとなれば助けてもらえるんじゃ冒険の緊張感が無くなるよね。誰かが死んでしまうよりは良いんだけどね。


 でかい野菜もいくつか買って帰ろう。ソースとかたくさん作れそうだ。

 果物とニンニクと、塩も買って、あ、油を買わないとね。よしよし。


 買いたい物は概ね買えたので帰って料理しよう。今日はミートソースのパスタだよ。

 瓶詰めトマトソースとかもたくさん作らないとね。キノコもソースにして保存しておくのは有りかも。






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