表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【①〜②巻発売中】娼館の乙女~売られた少女は推理力で成り上がる~【Web版】  作者: 殿水結子@「娼館の乙女」好評発売中!
第十章.血濡れの愛妾

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/118

115.醜聞

 ジョゼは娼館の前で降ろしてもらい、いつもの業務に戻った。


 事務室の革のソファにもたれ、小さなシャンデリアのある天井を見上げる。


「はー、びっくりした……」


 ノールの手口が、かなり大胆になって来た。このままでは早晩目を付けられて捕まってしまう。


(またノールに会った方がいいわね。そろそろ捕まるって、釘を刺しておかないと)


 ジョゼはノールを失いたくない。


 なのに彼女はどうしてそれを分かってくれないのだろう。


 ふと、テーブルに投げ置かれたままの夕刊が目に入る。


 一面を見て、ジョゼはぎょっと目を見開いた。


〝アルバン二世の寝室で愛妾クレール殺害される〟


 ジョゼは慌てて体を起こし、新聞を読み込んだ。


 しまった。


 ジョゼの推理とアラドの逮捕劇は先程行われたばかりだ。なので新聞には、犯人特定がされていない午前の時点の事件内容が掲載されてしまったのだろう。


 それにしても──


(なぜ何もかも王宮内で収められたことが、あろうことか夕刊の一面を飾ってしまっているの?一体誰がリークを……?)


 そこまで考え、ジョゼは我に返った。


「……訂正記事を書いてもらわないと!」


 今ならまだ、テオール新聞社の営業時間に間に合う。


 ジョゼは夕暮れの中、馬を出して新聞社まで走って行った。




 テオール新聞社内にて。


 ジョゼに会うなり、ラウルは興奮気味に話し出した。


「見たか!?夕刊スクープを!!」


 ジョゼはラウルの言葉を塞ぐように声を大にして言った。


「その件については、私が解決したわ」

「えっ、そうだったの!?じゃあ早速ここで取材を……」

「こらっ」


 ジョゼはぴしゃりとラウルの言葉を跳ねのけた。


「私はのこのこ取材されに来たんじゃないのよ。なぜあなたがこの事件を知ってるのか?って聞きに来たのよ!」


 するとラウルは黙秘するように首を横に振った。


「それは守秘義務があるので言えないよ」

「あのね、こっちにだって守秘義務があるのよ。王宮内での事件は外に出しては駄目なの。だからこの記事は取り下げて貰わないと……事件を解決した私が疑われちゃうじゃない」

「そういうことだったのか。でもそうは言っても、もう刷って販売しちゃってるからな~。あ、そうそう。今日の夕刊、凄く売り上げがいいってよ」


 はぐらかしにかかっているラウルの裏をかこうと、ジョゼは単刀直入に言った。


「あなたに王宮での出来事を教えたのは、ノールなの?」


 すると意外にも、ラウルは首を横に振った。


「誰それ?違うよ」


 ──となると、あの人しかいない。ジョゼは言った。


「じゃあ、アラドね?家具職人ギルドのアラド」


 するとラウルは分かりやすく黙りこくってしまう。ジョゼはにやりと笑った。


「そうよね。だって彼は、陛下に罪を負わせたかったのだから──」

「……ジョゼには敵わないなあ。で?事件解決っていうのは、一体どういうことなんだい」

「とにかく、陛下は愛妾殺しの犯人ではないってことなのよ。恐らくこの記事を受けて、王室側が何か反論をしてくると思うわ。その時には、ちゃんと訂正記事を出してよね。そうじゃないと私が疑われるんだから」

「恩人のジョゼにそう言われちゃ、やるしかないな~めんどくさいけど」

「いいこと?私の名前は絶対に出さないでよね!」


 意外にも、アラドが新聞社にアルバン二世の醜聞を吹き込んだのだ。しかし、とジョゼは自分を律する。


(アラドなら、ノールに入知恵されていた可能性が高いわね……)


 恐らく彼は、遺体を投げ込んだその翌朝に新聞社へ行ったのだ。


(犯人自ら隠匿、犯人自ら醜聞をまき散らす。そうすれば、吹き込んだノールに罪は及ばない……。考えたわねあの


 ノールには何のお咎めもない。偶然とはいえ殺人事件の現場に居合わせ、一瞬で主従関係を作りアラドを操り人形にしてのけたノール。恐ろしいとしか言いようがない。


 ジョゼは新聞社を出た。




 今宵も娼館の扉が開く。


 ジョゼが娼館の営業に奔走しているのとほぼ同時刻に、ノールの屋敷の扉も開かれていた。


 その扉の向こうに待っていたのは──


「ベルナール・ド・シモンだ。君に話があって来た」


 ノールは刑事とその背後にいる捜査員とを眺め、妖艶に微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓Amazonページへ飛びます↓ i1044276
ブレイブ文庫様より
2025.11.25〜発売 !
― 新着の感想 ―
ノールには奥の手があるのか?( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ