747 リインカーネーション’17
アマルガム101を逃がしてしまった。
彼の行動の真意を問いただすことが出来なかった。
……。
あれ?
何か落ちている。
アマルガム101が逃げた先に何か落ちている。
それは破り取られた紙の切れ端だった。その切れ端には慌てていたのか、数字の走り書きがあった。
数字?
このメモはアマルガム101が落としたものだろう。
……。
逃げる時にわざと落とした可能性もある。
私に何かを伝えようとした?
それとも偶然?
どちらにしても、このメモの数字が何の数字か分かればアマルガム101がおかしくなった理由が分かるかもしれない。
35.500000 134.155144
数字。
何の数字だろう?
私は数字が書かれたメモの切れ端をポケットに入れて隠す。
……。
私は一人生き残り、反抗勢力の拠点から帰還する。友人はみんな死んでいた。ナノマシーンの活性化が出来る友人が反抗勢力に殺されるとは思えない。やったのはアマルガム101だろう。友人を皆殺しに出来るなんて……アマルガム101の実力がそれだけ上がっていた? 彼の計画が良かったから? 私が生き残れたのは単独行動の時ではなく、友人と合流していたからだろう。彼が最初に狙っていたのが友人ではなく、私だったら危なかったかもしれない。今の私なら銃弾で撃たれても、その程度で死ぬことはない。だけどナノマシーンによる治療が終わるまで動けなくなる。動けないところを狙われてそのまま殺されていたかもしれない。
荷運びに回収された私は先生に今回のことを報告する。
「アマルガム101の攻撃で友人が皆、死んでしまいました」
「はぁ? そういうことか。はぁ、えー、そうか。分かった。えー、君は自宅に帰って休みなさい。えー、ショックが大きいだろうが、えー、とりあえず、次の友人が補充されるまで、えー、自宅で、えー、そうだな、自宅で自習だ。分かったな?」
「はい」
私は先生の言葉に頷きを返す。
自宅に戻り、数字の書かれたメモを広げる。何の数字なのか分からないが、これは先生に見せてはいけない気がする。
……。
どうしよう?
自習、か。
とりあえずこの数字が何の数字なのか調べよう。
それからの私は自宅で数字を調べ続けた。意味の無い数字ではないはずだ。何かの意味が必ずあるはずだ。
暗号?
考えられるのは暗号だろうか。
文字や言葉を数字に変換した?
『.』がある。
小数点?
計算式だろうか。
文字に変換するならエー、ビー、シー、とかだろうか。
時間はあった。
友人が転入してくるまで私は自由だった。
メモ用紙に書かれた数字の謎を探る。
そして、ついに見つける。
「あ!」
多分そうだ。
きっと、そうだ。
この数字が示しているもの。
間違い無い。
少しずれている気もするけど、間違い無い。
これが答え?
私は数字の暗号を解き明かし、答えを知る。
準備が必要だ。
確認する必要がある。
どうして、アマルガム101がこのメモを残していたかを確認する必要がある。
ここまで来るとアマルガム101がこのメモを偶然落としたとは思えなかった。アマルガム101は私に伝えるために落としたのだ。
私一人を生かしたのも偶然ではないのだろう。
では、何故、私に?
私がクラスで一番優秀だったからかもしれない。
私なら辿り着けると思ったのではないだろうか。
……。
いや、これは私でなければ出来ないだろう。
私がもっとも適している。
短い間だったけどアマルガム101とはトモダチだった。
友人だった。
アマルガム101は私の実力を知っている。
アマルガム101にもアマルガム04と同じように、先生には内緒でナノマシーンの活性化方法を教えている。
だから、だろうか。
答え。
準備をしないといけない。
このままでは分からないだろう。
この数字。
このまま何も準備をしなければ、何も出来ない。
分からないはずだ。
準備をしよう。
先生に知られないように、私がやろうとしていることをバレないように、行動しよう。
この自宅の監視システムも誤魔化さないといけない。
私が監視システムに気付いていることを先生は知らない。
先生は私が何も知らないと思っている。
何も考えて無いと思っている。
命令に忠実な生徒だと思っている。
だから、上手く出来るはずだ。
先生は気付いていない。
それを利用しよう。
この自由な時間を利用しよう。
今なら動けるはずだ。
さあ、アマルガム101が何を残したのか、何を伝えたかったのか、確認しよう。
答えを知ろう!




