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かみ続けて味のしないガム  作者: 無為無策の雪ノ葉
かみ続けて味のしないガム

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746 リインカーネーション’16

「こっちは制圧完了ーっと。そっちは?」

 友人が大型のガトリングガンを玩具のようにくるくると振り回しながらやって来る。こちらも終わらせよう。


 私は残った一人に銃口を向ける。


 ……少しは情報収集をした方が良いのだろうか?


機械(エーアイ)に支配された人類の敵め! 裏切り者め! 呪われろ! いつか、同士がお前たちを倒してくれる。この間違った世を正してくれる。人類の世を取り戻してくれる! 呪われろ!」

 まただ。ここも人類教の狂信者の巣だった。連中に話は通じない。会話が出来ない以上、情報収集なんて無理だ。殺すしかない。


 私は引き金を引く。


 ……。


 終わり。


 ここも終わった。


 反抗勢力。また、最後は誰かがやってくれると他人任せなことを言って終わった。自分でなんとかしようと思わないのだろうか。思わないのだろう。そのことを考えず、流されるままだから人類至上主義みたいなものを信じ、狂うのだろう。


 ふぅ。


 せめて会話が出来れば、話し合うことも出来るのだけど……。


 自分が正しいと信じて会話が出来ない、意見を押しつけるだけの人たちなんて獣と変わらない。処分するしかない。


「えーっと、今、終わったよー」

 私は友人の方に振り返る。


 そこにはアマルガム101の姿もあった。アマルガム101も担当していた場所が終わったのだろう。


 ……あれ?


 アマルガム101が持っていた狙撃銃をこちらに向けている。


 え?


 まさか。


 私は慌てて振り返る。


 ……。


 私が先ほど撃った反抗勢力はそのままだ。しっかりと大穴が開き、動かなくなっている。てっきり、私がトドメに失敗したのかと思ったが、そうではないようだ。


 では、何故?


 何故、アマルガム101は狙撃銃をこちらに向けて構えているのだろうか。


 敵は居ない。


 居ないはずなのに……。


 ……。


 ……!


 はっ!


 気付く。


「危ない!」

 私が叫び、手を伸ばす。

「んー? どうし……」

 それと同時だった。


 友人の顔が……その半分が吹き飛んでいた。


 私はアマルガム101を見る。その狙撃銃からは煙がたなびいている。


 撃った。

 撃たれた。


 そして、友人が死んだ。


 アマルガム101は青くなった顔を苦しそうに引き攣らせながら、銃口をこちらに向けている。


「アマルガム101ッ!」

 私は相手の動揺を誘うように叫び、手に持った拳銃(ハンドガン)を動かし、狙い、撃つ。アマルガム101と距離が離れすぎている。アマルガム101が持っている狙撃銃と違い、こんな拳銃程度では、ここから撃っても彼を倒すことは出来ない。だけど、その代わり、こちらの方が早い。


 拳銃から放たれた銃弾が狙撃銃を構えていたアマルガム101の腕に当たる。その衝撃でアマルガム101の射線がずれる。


 銃弾が私の頬を掠める。


 外れた。

 狙いをずらすことが出来た。


 私はその隙を突き、一気に駆け寄る。アマルガム101に殴りかかる。アマルガム101が砲身の長い狙撃銃を盾のようにして、こちらの攻撃を防ごうとする。私はその動きを確認し、手に持った拳銃を撃つ。アマルガム101のボディアーマーに防がれる。だが、その衝撃は受けたはずだ。アマルガム101の動きが一瞬だけ止まる。アマルガム101の顔を狙い蹴り飛ばす。アマルガム101が地面を転がる。


 私は拳銃を構え、倒れたアマルガム101の元へ歩いていく。


「なんで、なんで、こんなことをしたの!」

 私はアマルガム101に問いかける。


 アマルガム101はトモダチだ。狂信者じゃあない。


 会話が出来る。


 話をするべきだ。


「この俺を足蹴に! いや、僕は……俺を、僕は……」

 アマルガム101はぶるぶると震えながら、怯えながら、顔を歪め、こちらを見ている。

「なんで!」

 私は無防備にさらけ出しているアマルガム101の顔に銃口を向け、狙い定め、もう一度、問いかける。


「いやだ、死にたくない。何も知らない癖に。僕が僕じゃなくなっていく。僕は僕だ。違う、俺は……」

 アマルガム101が手に持った砲身の長い狙撃銃をこちらに投げてくる。私はそれを片腕で防ぎ、拳銃を持ったもう片方の手で撃つ。


 銃弾が放たれる。


 だが、その銃弾は地面に当たった。


 その場を逃れたアマルガム101が、身を翻し走り出す。


 逃げる。


 私はその後ろ姿に狙いを定める。


 拳銃を構える。


 ……。


 射程外だ。


 逃げられた。


 ……。


 私は振り返る。


 そこにはもう動かなくなった友人が居た。


 ……友人は死んだ。


 友人の操作レベルではここからの回復は無理だ。ナノマシーンによる修復は出来ないだろう。


 友人の一人が死んだ。


 トモダチだと思っていたアマルガム101に殺された。


 私は自分の頬を触る。


 アマルガム101の銃弾が掠った時に出来た傷がある。血は……もう止まっている。


 ナノマシーンを活性化させる。


 ……傷は消えた。


「なんで……」

 私は呟く。


 撃たれたのが私だったら助かっただろう。


 先生にはまだ言っていないが、私は活性化率を100パーセントにすることが可能になっている。撃たれたくらいでは死なない。


「なんで……」

 私はもう一度呟く。


 なんでアマルガム101は私たちを攻撃してきたのだろう。


 彼も狂信者になったのだろうか?

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