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かみ続けて味のしないガム  作者: 無為無策の雪ノ葉
かみ続けて味のしないガム

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743 リインカーネーション’13

「えー、今日は皆さんに残念なお知らせがあります。アマルガム04君が転校することになりました。えー、残念ですねー」

 ホームルームで先生が突然そんなことを言い出した。


 転校?


 何があったんだろう?


 やっとクラスメイトになって友達になれたと思っていたのに、とても残念だ。


「はぁ? 聞いてないしー、あいつ何も言ってなかったじゃん。転校するなら一言くらいあっても良かったのにさー、そう思うよね?」

「うん。だよね。やっと活性化出来るようになったのに、クラスに馴染んで友達になれたと思っていたのに」

 友人はせっかく仲良くなれたアマルガム04が何も言わずに転校したことに憤っている。私も同じ気持ちだ。




 そして、それからしばらくして、また転入生がやって来た。


「えー、この時期だが、いや、この時期だからこその転入生だが、えー、自己紹介をしてくれるかね?」

 転入生が頷き、スクリーンパネルに名前を書く。

「アマルガム101です。よろしくお願いします」

「えー、前のと比べるとずいぶんと大人しい感じだが、えー、新しいクラスメイトだ。皆、仲良くするように」

 先生がそう締めくくる。


 アマルガム101?


 ずいぶんとアマルガム04とよく似た名前だ。もしかするとアマルガム04の家族なのだろうか。兄や弟、そういった関係だろうか?


「なー、あんた、前のアマルガム04と名前が似てるけど、どういった関係だ?」

 友人がアマルガム101に確認する。友人も似た名前――そこが気になっていたようだ。


 アマルガム101がふわりと微笑む。

「04? 四世代ですか? うーん、こちらは101世代目だから、離れすぎてて良く分かりません」

「四世代? あいつは四番目って言ってたぞ」

 友人の一人がそう返す。


 うん、確かにアマルガム04は四番目って言っていた。


「四世代ではなく、四番目? それはずいぶんと古いね。初期の方は因子の制御が上手くいかなくておかしな性格になっていたと聞いたことがある。どうでしたか? そうでしたか?」

「うーん、えーっと、変わっていたよ」

 とりあえず私はそう答える。


「でしょうね」

 アマルガム101が肩を竦める。その仕草はアマルガム04とよく似ていた。やはりアマルガム04とアマルガム101は家族なのかもしれない。




 それはアマルガム101がクラスメイトになって初めての戦闘訓練の時だった。


「えー、それでは、アマルガム101君。君が何処まで出来るかを確認するためにも、まずは戦闘訓練を行ないたいと思う。普段、ここでは体育の授業を行なっているんだが、えー、その前に確認ということで、えー、良いかね?」

「分かりました」

 アマルガム101がふわりと微笑む。彼はいつも笑っているような気がする。


「えー、それでは誰か居るか? 彼の相手をしたい者は居るかー?」

 先生が私たちを見る。見ている。冷たい、感情が見えない目で私たちを見ている。


 ――先生は私たちに期待している。

「私がやります」

 私は手を上げる。期待に応えないといけない。


「えー、ああ、君か。えー、まぁいいだろう。やりなさい」

「はい」

 私は立ち上がる。

「頑張ってね」

 友人の声援を受けながら、前に出る。アマルガム101と向き合う。


「先生、何処までやっても良いのでしょうか?」

 私は先生に聞く。

「えー、何処まで、か。そうだなー、50パーセントほど……いや、リミットはどこかね?」

「えーっと、前回の身体測定で89パーセントを獲得しました」

 私は先生の質問にそう答える。

「えー、89パーセントか。安全範囲は79パーセントまで、少し足りないな。微妙だが……、えー、とりあえず70パーセントでいきなさい。それでも不味いと思ったら、一瞬なら80パーセントまでは許可しよう。えー、壊されるなよー? わかるな? 今回はあくまで性能の確認だからなー。えー、お前らを()すのも大変だからなー、わかってるよな?」

 私は先生の言葉に頷く。


「君が相手? お手柔らかに」

 そう言ってアマルガム101がふわりと微笑む。ずいぶんと余裕だ。


 私は先生の方を見る。先生は好きにしろという感じで頷いていた。


「行きます」

 私は全身を活性化させる。活性化率は先生が指定した70パーセント。まずはこれで様子を見る。


 私がそう思った時だった。


 え?


 次の瞬間には私の体が吹き飛んでいた。私が体を活性化するよりも早い。


 私は吹き飛ばされながら全身を活性化させる。私の体が地面を転がる。そして、私の体が体育実習室の壁に当たって――止まった。


「いやはや、遺伝子(ジーン)を混ぜ合わすと聞いた時は遅れたことをやるものだと思っていたが、えー、これは予想外だな。早く立ちなさい」

 私は先生の言葉に頷く。両のほっぺを叩いて気合いを入れ、ガクガクと震える足に無理矢理力を入れて立ち上がる。


 70パーセント? いいえ。


 80パーセントの力で飛び出す。

「最初の一撃くらい譲ってくれても良かったのに」

「油断したら負けそうだったから」

 私の言葉にアマルガム101はそう答え――ふわりと微笑んだ。

次回の更新は令和6年11月5日(火)になります。


今後ともかみ続けて味のしないガムをよろしくお願いします。

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