ガーデンティーパーティーNEXT!~フラグをへし折るとかより先に、このカオスな状況を何とかして下さい!(エイプリルフール版)
「うー!完全に遅刻だよぉ!!」
4月1日、始業式の日。今日からわたしは2年生になる。
今まで住んでた場所から遠く、転校という形でわたしはこの街にやって来た。
ってゆーか、まだわたしが小さかった頃、この町に住んでたらしいけど……。
って、だからそれどころじゃないんだってば!
転校初日の始業式当日という大事な日に、よりによってうっかり寝坊したわたしは、案の定時間ギリギリに家を出る羽目になってしまって、こうして少しでも時間を稼ぐべく猛ダッシュで学校……これから通うのは、この近隣でも結構な名門“学園”らしいけど……そこに向かっていたのだ。
スピードを落とさないまま……落とす余裕なんて無かったけど、住宅街の角を曲がろうとする。
大きな通りに出るまであと少し。そこから学園までは一本道の筈だ!
わたしはさらに加速をつけてその角を曲がり……そして誰かに勢い良くぶつかった。
「きゃあっ!?」
「ぅわっ!?」
どんっ、っという鈍い音を立てて。
「……ぃたた……。あー、大丈夫?もー、ちゃんと前見なきゃダメだぞー?」
心配そうに覗き込み、手を差し出してくる男の子。
彼の着ている制服は……間違い無い、これからあたしも通う学園の制服だった。
背が高そうな彼の年齢は良く分からないけど、もしかして先輩かな?
少なくても年下、って事は無さそう。
「す、すみません、ごめんなさいっ!」
一人で立ち上がるには痛すぎて、その手を取った瞬間、“ナニカ”がわたしの脳内を駆け巡った!
それはモノクロの風景。
“誰か”の“何か”の記憶。
顔はぼんやりしてて、それが誰かは分からない。
分からない、んだけど―――
――――――“誰か”が“誰か”の手を取って―――
『ワタシっ、“南嶺綾”!ヨロシクねっ、~~クンっ!』
ぼーっとしていたわたしに心配になったのか、その男子生徒クンはもう一度「大丈夫か?」って聞いてきた。
危ない危ない。でも、一体なんだったんだろう……?
「変なとこ打ってると困るから、オレも一緒に行く。オレは『央川進之助』あんたは?」
「あ、わたし……?わたしは『南嶺綾』……って、あ、れ?」
彼の言葉に戸惑いながら、でも「1人で行けるから大丈夫」って言おうとしてたのに、別の違和感に襲われて混乱する。
さっきのモノクロのイメージ、あれ、“わたし”、“わたしの名前”名乗ってなかった……?
え?ん?“わたし”……“ワタシ”……???
「んもー、本当に大丈夫?大丈夫なら少しはしゃっきりしなさい!……あーあ、これは完全に遅刻ですなあ」
あっはっは、と笑う彼に、遅刻の罪悪感はミジンも感じられない。
……それは本当に大丈夫なの?
そうしてわたしは、彼に手を引かれたまま歩き出した。
まだ少しぼんやりしたままのわたしに気を使ってくれているのか、焦る様子の見えない彼はゆっくりした足取りで学園に向かって行く。
朗らかで饒舌な彼―――――央川進之助クンとの話は楽しくて、思わず笑ってしまう。
聞けば、彼も2年らしい。そっか、同い年か。
「転校かあ、大変だなー。何かあったらすぐに言うんだぞー?オレが絶対何とかしてやるからな!」
その言葉に心が軽くなった。
まるで、全ての不安が無くなったみたいに。
―――その時、頭に浮かんだ“顔の無いワタシ”が笑った。
『これからの学園生活、一体どんな事が起こるのかな?とっても楽しみ!』
―――って、え?
ちょっと待って。
“今日”“ここで”“ぶつかる相手”って“金髪碧眼の王子様”じゃなかった?
確かにぶつかりはしたけど……相手は普通の日本人高校生だったよ?
でも、それはそれとして、“央川進之助”クン?どっかで見た事あるような……。
“央川”“おうかわ”“央川……”
あーーーっっ!!??“落とせないバグ”!?
転校初日、近づいてきた情報提供キャラの女友達(予定)が“前世仲間”だと分かり、お互いの目的の為に共闘する事にしたわたしたち。
さっそく起こった今日の出来事をおさらいしていた時、重要な事に気が付いた。
本来はメインヒーローの友人役として、ちょっとだけしか出ない筈の“前作ライバルキャラの弟”央川進之助。
その彼が、プロローグ的な最初のイベントでメインヒーロー役してたって、どういう事!?
まさか、無自覚にもヒーローポジション乗っ取った!?
そうこうしている間に、シナリオ通りにティーパーティーが発足してしまい……。
しまった出遅れた!
―――前作(無印本編)のEDから5年が経った世界。
転校初日にぶつかった少年の顔を見て、唐突にこの世界がゲームの世界だという事に気付いた主人公。
このシチュエーションはまさか、ヒロインはわたし!?全力で拒否します!
しかし周囲の人々による謎の思惑が絡み合い、そうそう上手くは行かないようで…?
作られなかった筈の続編、本来あり得ない筈の恋愛劇が、今、開幕する!
★攻略対象
央川進之助
明るく陽気な前作ライバルキャラの弟、現メインヒーローの親友役という謎ポジションの男の子。
やけに主人公に絡む。
「納豆にはやっぱネギ入れるでしょー。アレ無いとどうも味気無くてさー」
風祭透
鬼の風紀委員→生徒会会長という奇跡の進化を遂げた超真面目な先輩。
進之助にいつも振り回されている。
「それでは今回のペナルティとして、放課後教務課に……あっ待ちたまえ君……ってまたお前かあああああ、進之助ええええええぃぃ!!」(形相が変わってからの猛ダッシュ)
犬坊崎健司
進之助の幼馴染。
いつもぼーっとしている。
「ぼー……」
「ぼーちゃん何か言ったらー?」
「ぼー……?」
「うん、ぼーちゃんはやっぱ、ぼーちゃんだな」
祢々切言葉
演劇部所属の進之助の友人。男の娘。口で勝負するタイプで、怒ると怖い元ヤン(むしろレディース?)疑惑の人。
「これも立派な演技の練習よ!ままごとだからっていいかげんなこと言わないで、もっとリアルにやってちょうだい!!」
西条真央
進之助の舎弟……げふん、後輩。気弱でいじめられていたところを進之助に助けられた経緯がある。土壇場では強い。実は空条四家の出。
「よくないよ!真面目な先輩なんて先輩じゃないよ!」
エルメル=ヴァイナマイネン(通称エメ)
海外からの留学生。その正体は『残念な王子さま』
進之助の幼馴染にして同居人。同人公式問わずアニゲ関連イベントにマメに参加し、毎年コミケは欠かさず行く感じの、かなりディープなオタク。
「相当人がいるみたいデスね。流石年2回のお祭リ、恐るべしって感じデス。皆サン、頑張りマショウ!」
小松田智慧
情報提供系女友達。前世仲間。「こまった」が口癖だが、全然困っているように見えないのが難点。
「ああどうしようー、みんながあたしの事好きになっちゃって、こまったこまったー」(楽)
(おまけ)担任、顧問の大寺林国良
しんのすけ「今日は退屈させないぜ」(ドヤァ)
てんてー「お前が入学してから退屈はしてねーよ」
親睦を深めるべく、新生ティーパーティーチームが行った夏休みの合宿にて、突然現れた謎の人物達。
彼らの登場で、全てが狂って行く――――――
合宿場所に突如現れた謎の配送屋―――デコラティブなお菓子は時に凶器と化す。装飾人、東雲愉快
「ちわー!人材派遣ならびに配送代行サービスの『オレンジプランター』でーっす!!」
そして家政婦は見た、のだ。自分と同一の存在を―――予言する謎の女、神山“真理”亜
「―――結局彼女は、運命の手から逃がれられませんでした。……されど、憐れむ必要はありません。ワタシもアナタも、誰ひとり逃がれられないのですから……。“書”の真理はご理解頂けましたか? そう。“黒の歴史”は改竄を“でっかい”絶対に赦さないのです……」
突然襲った世界の危機。
襲いかかる“敵”に対抗する様に、次々に目覚めて行く能力者達。
そしてそれは、彼等とて例外ではなかったのである。
進之助の“英雄達の召喚”を皮切りに、風祭の“風雲要塞”、犬坊崎の“乖離”。
そして祢々切は“言斬り”、西条真央が“四面楚歌”、エメは“次元接続”に目覚めた。
日常を取り戻すべく立ち上がった彼らのもとに、力強い援軍までもが登場!?
物語の枠組みを超えて集結した彼らは、その身に宿した“力”を武器に戦い始める!!
常に前線に立ち、皆を勇気づけ、癒しを与える為に歌い続ける“天使”―――こう見えて人妻、空条友美(旧姓篠原)
「お願い、みんな!わたしの歌を、聴いて下さぁ~い!!」
愛する者と離れながらも、彼女の意思を汲み、後方支援として全力を尽くす事を誓った彼の本気が今、炸裂する―――世界でも数人しか確認されていないという“覇道気”に目覚めた帝国の王、空条明日葉
「援軍到着まで後5分、何としても持たせろ!……この学園が落ちたら、意味が無いんだぞ!」
謎の失踪を遂げた恋人を追う、白い服の青年―――“堕ちし夜叉”白樹去夜の服が赤く染まる時、何かが起こる
「何故…何故だ…何故なんだ、櫻アアァァァーーー!!」
常に戦い続ける男―――宝刀“黒明”の使い手、椿三十朗はいつだって渋い
「俺の名は……“桑畑”三十朗。もっとも、まだ若輩者の“二十朗”だがな」
胡散臭い……じゃなかった、不思議な微笑みを湛えた謎の紳士―――“菓子職人”観月輝夜の心は誰にも暴けない
「今晩和マドモワゼル――― そんな浮かない顔をして、何かお悩みかな?良ければ君の話し相手になりたい……なんてね」
世界を駆ける新進気鋭の人形師―――彼とドール達の運命が交錯する時、それが世界を救う鍵となる!?“人形遣い”木森浩太
「巻きますか、巻きませんか……?何だろう、コレ?」
おはようからおやすみまで、妹たちを優しく見守り続ける―――世界で一番お姉さま、“黄薔薇の女王”羽瀬川煉
「もう少し、君達に振り回されてみる事にしたよ」
忽然と姿を消した姉に、無口系美少女は何を思うのか―――“絶対妹”は語らない。央川美々
「お茶会はまだしたいけど、私はやっぱりお姉ちゃんが大事だから!!!!だから行けません!!!私は……私はここに残るけど……!!!いつかまた会えたら!!!もう一度親友と呼んでくれますか!!!?」
追いつめられた時にこそ、チャンスをものにするッッ!!―――“過去からの教訓”東条貴臣
「東条貴臣、大学3年。性格に裏があるってよく言われます」
世界に絶望した“彼女”は“彼ら”と出会い、裏の世界を垣間見る事となる―――謎の組織に属する“仕事人”天上岬
「魔法の時間切れだ……。鐘の音が……鳴り終わってしまったよ……シンデレラ」
最後に現れたのは仮面の女―――
転生少女達を引き連れ、女は嗤う。
全てを知る女が全てを手に入れる為、ついに動き出した―――これが央川櫻の全力全壊!!
「央川進之助よ……私は悲しい……。君ならば“書”の真理が理解出来ると思っていたのだがねェ……。まぁ良い……。歴史を変えられると思い上がっているのなら、いつでも掛かっておいでなさい」
「アーッハッハッハッハッハ!!」
今度のガーデンティーパーティーは、超能力者な学園バトル物!?
熱い闘いから目が離せないぜ!
世界の真実を知った主人公達は、平和な日常を取り戻すことが出来るのか!?
ヴィダル・サ・SOON……!!
作者:はい、という訳でですね!ハッピーエイプリルフール!!
去年の4月馬鹿直後にネタを頂いてからの、まさに1年越しでした!
櫻:悪役、超!楽しかったー(笑)
白:楽しそうなのは何よりだけど、俺の扱い……。これが死亡フラグっていうやつか……(落ち込み)
進之助:次はオレが主役かー、“オラ”ワクワクしてきたぞ!
エメ:シンノスケ、今日の日付今日の日付。それと“オラ”の使い方間違ってるカラ。←ダメ出し
綾:あたし達本編未登場なのに、こんな突然出て来ちゃっていいのかな……びくびく
こまったちゃん:ああーこれが本当だったらどうしようー、こまったこまったー!(ちっとも困っている風に見えない)
なおこの物語におけるネタ成分は、キャラに関係がある(と作者が勝手に思っている)場所から頂戴しています。
おそまつ。




