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96.魔素反応炉

 脚を逆関節にする事で射撃時の安定性を高めつつ、足は歩く時は爪を立てるようにして大きな鳥足状、滑る時は爪を開く事で広めのスキー板状にする事で足場に合わせた移動方法を可能にした。


 胴体はデコイの形状を生かしつつ、胸部が三角気味に尖り、前面からの攻撃に強い形状を引き継ぐ。


 コアはその胴体の中に埋め込む形にするので、首の埋まった重鎧の様にも見えなくもない。


 武器は両腕両肩からお馴染みの電束放射器に水圧銃、電撃砲ここまでは安定なのだが、右手の武器がいつも迷いどころだ。


 空圧銃は空気圧で弾を飛ばす機構で、安定こそしているが、ちょっと火力が物足りない。


 テーザー銃は接近された時に足止め武器としては有用だが、連射が効かない。


 パイルバンカーは威力があるし、扉をぶっ壊したりするには悪くないが、モグラちゃんのドリル特化と比べると、見劣りするのは言わずもがなだ。


 「へぇいいじゃん。ちょと無骨な二足歩行砲台みたいな雰囲気だけど、鎧を思わせる直線的な装甲の一番内側に球形のコアがしまわれてる辺りがそれとなくヒトっぽさって言うのか、重装備を連想させて、いかにもロボって感じするよ」


 いつの間にやら隊長が訪ねて来ていた。


 「なんだ?暇なのか?」


 「いや、忙しいけど陣中見舞い。お酒と適当に食べられるおつまみ置いてくから。それで?これが霊子分解装置で作ったボディ?」


 「まあな。まだ鉄しか素材がないからこれだけだが、どうやら色々作るには素材が必要になるらしい」


 「ああ、そりゃね。あれ?でもなんか霊子分解装置用の金属って何か特別なんだっけ?」

 

 「そうらしい。今の所区別をつけられるのは鉄人だけなんだが、何が違うのかそこも調べん事にはな」


 「ふーん……この右手さ?銃つければいいじゃん?」


 今の今まで霊子分解装置の話をしていた筈なのにいつの間にか鉄人に興味が移り、鉄人の右手に何もついてない事が気になったようだ。


 「それもいいが、近距離用の打撃武器とかも悪くないから迷ってるんだ」


 「あ~近距離武器ね~でもドリル持ってるモグラちゃん?がいるんだから、チェーンソーでも持たせたら?」


 「それ凄い迷うんだが、丸鋸ついたドローンがあって、そいつをスキャンした結果、材料が足りない」


 「なるほどね。じゃあ自分が天上の国に行って何か買ってこようか?」


 「あ?もしかしてまた出掛けるのか?」


 「うん、クラーヴンと【鉱国】に行く約束だったけど、そろそろ向こうも色々入用だろうし、顔出そうかなと思って」


 「そうか……スクリューに関しては防錆に使える素材さえ見つかれば、すぐにでも作れるぞ」


 「まぁ、そこはレディと相談しながら上手くやってよ。今回は届け物とこれから少しづつヒトが来るかも知れないからっていう挨拶程度のものだしさ。場合によっては向こうのヒトの中でこっちに興味があるヒトも連れてくるかも」


 「探索はしないのか?北回りと南回りだったか?」


 「したいのは山々だけど、まだ装備が出来てないからやめておく。大人数で行くならこの格好でもいいけど、一人だとちょっと不意の戦闘が怖いよね」


 「あーーー!鉄人ちゃん格好いい!!!」


 隊長と話していた所にカーチまでやってきて、一人静かな引きこもりはあっという間に終わってしまった。


 「カーチ、修繕できたからモグラちゃんとモーちゃんのスキャンをさせてくれ」


 「ホントに!魔素反応炉出来る?」


 「まだ分からん。どうやら材料が鉄だけだと出来るものの幅がかなり狭い。だが足りない物が分かれば、次何しなきゃいけないかも方針を決めやすいだろ?」


 「あ~じゃあ、モグラちゃんからあそこ入って!あ!これマリーからお土産です」


 「おっ?魚の開きか?【海国】にでも行ってきたのか?」


 「うん、何か『嵐の岬』が一段落ついたからって海底から帰って来たから良さ気な物を買取してたの。アンデルセンが、隊長戻ってきたなら用があるって言ってた」


 「そうなんだ?自分もアンデルセンがいるならちょっと手伝ってもらいたいし、ちょうどいいな」


 「次!モーちゃんあそこ入って!」


 隊長が長考に入った所で、モグラちゃんのスキャンが終わったのでモーちゃんのスキャンをしつつ、モグラちゃんのスキャン結果を確認してみる。


 大半は自分が作った鉄の塊とドローン部品を組み合わせたでっち上げ品だが、鉄人とはまた違った形のコア部分が非常に興味深い。


 まぁ、モグラちゃんがモグラちゃんである為の中核をなすのがコア部分だし、これは本当に大昔に作られたそのままを使っているわけだ。


 殆ど碌に動いてないこのコアだが、メモリ部分と見られる場所は鉄人とかなり近いし、拡張は可能かもしれない。


 問題はメモリ部分とは違う何かがほぼ動いていない事。


 「もしかしてこれが、魔素反応炉か?」


 「ソノ通リ デス」


 自分が見ている画面の情報は端末を操作している鉄人も共有しているので、自分の意図が分かったのだろう。


 もう、その察する能力は下手な人間以上かもしれない。


 魔素反応炉のデータとにらめっこしつつ、何となく理解できた。


 「これなら、直せるかもな。0からじゃ素材が足りないが、修理だけなら……」


 「ホントに?!」


 「ああ、当分は中古魔素反応炉って事になるが、それで良けりゃ行ける」

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