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94.馴れ初め

 「その日も思索を巡らせる為に一人大空洞へと入り込み、結局その時の自分への在り方に対する疑問が浮かんでは消えていく、そんな日だった……」


 「はい!速攻つっこむ!大空洞ってゾンビ魔物がいっぱい居るよね?一人で思索って何やってんの?」


 「死して尚魔素によって変質し、魔物としていき続ける者達を苦しみから解放する事で、ここに居ていいんだって実感するんじゃないか!」


 よく分らないが、どうやら研究員風の王子にしか見えない第12機関長は、魔物が出て隊長すら危険を感じる場所を一人で散歩する変態だと言う事らしい。


 「まぁまだ、話の導入部だ一旦話を聞こうぜ」


 「ブラックフェニックス君は話しが分かるね!そう言えば例の装備じゃない姿初めて見たね。中々に研究者の姿が板に付いているようだけど、専門は?」


 「<錬金>だよ。いいから続きを話せって」


 「そうだね!いつになく悩みが深く、どんどん沈んでいく思考に、我ながら良くないなと思って、いった事ないエリアに入りこんで気分転換しようと思ったんだ」


 「はい!メンタルの調子が悪い時に、未開拓地区に入り込むのはどうかと思うよ。自分の立場を少しは考えてそういう危険な事は控えないと」


 「隊長にだけは言われたくない。じゃあ続けるね」


 自分が同じ立場でも同じ突込みを隊長に入れるだろう。もう少し日頃の己の行動を振り返ってからつっ込むべきだったな」


 「いや、普段はいれないエリアってどうやって入ったんだ?隊長も何故かあそこの施設や設備を動かしていたが、俺達に秘匿していた技術でも有るのか?」


 「そんな物無いよ?正攻法で力づくで壊れてそうな扉を強引に開けただけ!僕謹製のパワードスーツがあれば容易い事さ!」


 「そのパワードスーツってのは何で戦闘関連の機関に配布されていないんだ?」


 「フルパワーで使うと、数秒で壊れる上に1個の製造コストが高いからだね」


 蠍が癖のように自然な動きで頭を抱えているが、本当にあちこちで誰かに困らされてるんだろうな。可哀想に。


 「じゃあ、続けるよ!僕もどこをどう歩いたかは覚えていないんだけど、気がついたら狭い通路に迷い込んでいてね。これは大変だと思って帰ろうとしたら、声が聞こえたような気がしたんだ」


 「はい!どうやってさ!そんな迷ってどうやって帰ろうと思ったのさ!だから危ないって言ってるんだよ!」


 「僕だって思索に集中するとどこにいるのか分からなくなる癖は自覚してるからちゃんと対策もしている!自分の歩いた順路を自動で記録する装置さ!」


 「それで?それは何でこちらに回ってこない?」


 「よっぽどな方向音痴か、本当に道が分からなくなっちゃヒトじゃ無きゃ使えないよ?しかも順路を戻ると自然とそれまでの道のりが消えて行くから、地図作るのにも向いてないし」


 「何で、そんな中途半端なの物を……」


 「そりゃ記録しっぱなしじゃ容量が勿体無いからさ!帰り道が分かれば十分だろ?僕には帰る場所が有る……なんて幸せな事なんだ。でも目の前に鉄屑のように崩れ落ちていたキジン君は何の記憶もないまま治してもらえる事を望んでいたんだ。僕も金属で出来たヒトは初めて見たんだけども、どうやら大空洞内部の独特な文化と共通した技術のようだから、大昔にはそんなヒトも居たのかと、治す事にした」


 「うん、まぁ俺も鉄人を拾った時はそんな感じだったな」


 「君も金属で出来たヒトを拾ったのかい?それは是非ともキジン君と会って欲しい!彼は戦闘技術と自分の体の構造の事は知っていたけど、他には何も記憶が無くて、ただ強大な敵が居るから強くならねばならないとそればかりだったからね。それすら僕が利用してしまったんだが……」


 「じゃあ肝心の直し方だな。クラーヴンが鉄人を直した技術と合わせればより完全な物になるだろうし、それはキジン本人にとっても願ったりだろう」


 「僕なりに色々と研究した結果、全然良く分からなかった!キジン君に言われるまま大空洞内の施設からパーツを剥がして組み上げただけ。ただ一部の部品や装甲は、キジン君の記憶を参考に霊子を魔素で変質させる事で、作ったけど正直な所キジン君のパーツにするには強度が足りなかったんだよね」


 「はい!でも邪天使ってその技術で作ってたよね?もしかしてあの程度の強度の敵は序の口って事?」


 「ん~難しい質問だね。強度の足りない分を質量で補った部分もあるし、大量の素材で次から次へと自動で穴埋めされる修復機構も備えていた。しかも邪神の核を取り込む事で、僕が作った物から更に強度の段階が上がったとも言える。しかし、そこのブラックフェニックス君が僕の邪魔をして、隊長が徹底的に邪天使の補給を断つ作戦で攻めたから、回復力を抑えられた訳だし、結果的に勝つ事が出来たんじゃないかな?」


 「……やっぱり霊子分解装置があればより完全な形のロボが作れるって事か……」


 「それ、キジン君から聞いたことあるな。なんでも特殊な金属を好きな形に形成できるとか?それこそ僕達の目では判断できないほど細かい単位で形成する事で尋常じゃない強度の装甲や装備が作れるって聞いたけど、まさか?」


 「まだ修復中だ。仮に直ったとしても大昔のフルスペックで使える保証はない」


 「特殊な金属って言うのは?」


 「【帝国】の隠された坑道に一見ただの鉄にしか見えない、特殊な鉄が眠ってたんでそれを使う予定だ」


 「世界最高峰の鉄鍛冶師が作る特殊鉄のキジン君か!彼の事は君に任せるよ!出来る事なら何でも協力するから!」


 ガシッと眼鏡白衣に全身タイツの変態王子に肩をつかまれ任されてしまったが、こうなるとやはり霊子分解装置修復が最優先か?

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