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93.なんか溢れちゃってる第12機関長

 次に向ったのは一旦建物から離れ、風光明媚なブドウ畑を抜けた先の塔だった。


 まるで世界の理想が詰め込まれたかのように温かい自然と優しさと光に溢れた光景。


 鄙びた塔に髪の長いお姫様が居なかったとしたら、何故小鳥が窓に吸い込まれるように入っていき、さえずりながら歌っているのだろうか?


 「やぁ!久しぶりだね二人共!その節は本当に世話になった……」


 眼鏡に白衣の王子様が出迎えてくれたんだが、このヒトが第12機関長か?


 聖石と呼ばれる邪神の化身の核に洗脳されて、大事件を起こした人物には到底見えないんだが?


 「なんか憑き物が落ちたみたいにキラキラしてるけど、大丈夫?今度は何か別のものに洗脳されてるなら相談に乗るけど?」


 「安心しろ。元々本来はこういう奴なんだ。【教国】の使命と存在意義は知ってるだろ?」


 「邪神勢力と戦う為の組織なんだろ?今は国って形態が一番具合がいいからそうしてるだけで、戦える状態を保てるなら何でもいいんだったか?」


 「何でもとは言わないが、概ねその通りだ。コイツは機関長になった重責で兵器開発にのめりこんだが……」


 「僕は本来多くのヒトがもっと幸せになる為の研究をしたかったんだ!それがどうだい?今僕は兵器の一切に触れることを許されないし、余人と会う事も許されない。そうなって初めて本来の自分に戻れたって訳さ!」


 さらさらっと髪から光っては空気に消えていく謎のキラキラ成分を垂れ流しながら話す第12機関長はイケメンを越えて、ゲームのキャラとしてこれでいいのかってデザインなんだが、蠍は置いておくとして、プレイヤーである二人も特に不思議には思っていない事が、自分のの口をつぐませる。


 「クラーヴン、そんな不安そうな顔しなくてもこう見えてかなり分かってるヒトだから大丈夫。普通に何でも聞きなよ」


 「分かってるって何がだよ?」


 「服よく見てみな?」


 言われて第12機関長をよく見てみると、白衣に眼鏡に……目立たなかったが白衣の下は全身タイツ?ウエットスーツに近いもののようだが、まさかコイツも……?


 「分かった?自分やブラックフェニックスと同じ全身タイツ愛好家だよ」


 「いや、俺は愛好家じゃないぞ?ただ装備の関係上着てるだけだ。全身タイツじゃないと能力を発揮できないんだ」


 「そうか、そうだな。皆そう言うんだ。第12機関長初めまして【帝国】は【古都】のしがない鉄鍛冶屋だ」


 「ほう!まさかあのゴドレンの鉄鍛冶技術を継ぐ、職人かな?僕はやらかして今はただの研究者さ!何の研究かって?そりゃあ愛!としか言えないサムシングさ!勿論この全身タイツもその一環!これさえ着ていればどんな極寒の地だろうと、どんなに酷暑の地だろうと駆けつける事が出来る!どうだい?まさに求道者にふさわしい装備だろ!」


 「ま、まぁ全身タイツ着てる奴に悪い奴はいないよな。変な奴はこれでもかってほど多いが……」


 何故か地味に蠍が理解を示してくるが、きっとコイツは苦労人なんだろうな。


 「変だと言いながら受け入れる器!やはり一流職人を継ぐ者か……、それで?わざわざ僕を訪ねてきたには何か理由があるんじゃないかい?」


 「ああ、それなんだがキジンを直してやりたいんだが、どこでどうやって見つけて、尚且つ直したのか聞きたい」


 「なる程ね!僕とキジン君の馴れ初めはそう……兵器開発に追われ荒んでいた僕が一人になりたい時何をしていたか、そこから話す必要がある」


 「どこから話してもいいけど、長くなりそうだよね?お酒でも飲む?第12機関長も軟禁生活じゃ色々不自由でしょ?自分に用意できる物ならすぐ出すけど、リクエストは?」


 「そうだね~……なんでも隊長は天上の国に行っていたって聞いたんだけど、どんなお酒があるんだい?」


 「軟禁されてた割りに情報耳が早いな。主に果実酒だね。林檎のカルヴァドスでもだそうか?いやアップルブランデーになるのか?まぁ甘みの割りに度数が高くて大人じゃなきゃ危ないお酒だね」


 「へぇ、いいじゃないか。だがつまみは何が合うんだ?」


 「普通にチーズ、ドライフルーツ、ナッツとかかな?お酒を楽しめるつまみでやった方がいいと思う」


 「じゃあ昼日中だし、水割りにしよう」


 あっという間に話が決まり、気取らない円卓に小奇麗なテーブルクロスを敷いて、酒の準備が出来る。


 「うん、今日と言う素晴らしき日に乾杯!これは明日への活力になるよ!僕の所為で今も封印されている邪神教団の皆を一刻も早く開放しなきゃいけないからね」


 「いや、あいつらはあいつらで覚悟がやってたんだろうから、少し頭冷やす時間があってもいいと思うがな。そもそも平和主義っぽいあんたがあんな怪しい連中と付き合ってたんだか」


 「そりゃ、邪神教団は【教国】が敵対するヒトを集める為に作った組織だって言うのは知っているよね?でも実際集まるのは援助の必要な明日食べるのも苦しいヒトばかり……だから僕だって助けになりたかった!はじめはそれだけだったんだけど、気がついたら彼らの力が欲しいって気持ちに答えて、改人に改造してたんだ」


 「気がついたらやらかしてるって、あるあるだし仕方ないんじゃない?まぁお酒の準備も出来たし話は幾らでも聞くけどさ」


 すっかりくつろぎお話タイムに突入した隊長は全てを許すが如く聖人モードに入ったらしい。

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