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85.内乱終わった?

 隊長に暗視装置を納めて数日経った。


 ちなみに支払いに関しては、金貨1000枚隊長余裕の一括払いだったのだが、


 支払った時の一言は『おっ!早いじゃん!助かった!急がしちゃったし特急料金はいくら乗せる?倍付け?』とか、まったく平気の様子に呆れる他なかった。


 現在阿空も最後の大詰めと【帝都】方面に出払っていて、最新情報もない。


 何となく後ちょっとだと声を出さずともNPCからプレイヤーまで内乱の決着を肌で感じて、皆口が重くなっているように見える。


 結局内乱とはなんだったのか?巻き込まれた方は余りよく分からないまま、行動を制限されるばっかりだったが、本当に必要なものだったのか?


 ……不要だったらこんな何日もかかるような大型クエストは発生しないか。


 多分この内乱で何かが変わるとかじゃなくて、何かの準備と考えるべきだろう。


 何しろ何かといえば国からの認可を得るための実験的イベントやクエストが発生するゲームだ。


 つまりきっと今頃、戦争を起こした場合のプレイヤーの動きやなんかを得体の知れないAIで分析しているのではなかろうか?


 そう言えば、邪神の化身討伐後の大型アップデート以降新たな運営イベントを見かけないが、もしかしたら相当忙しいのか?


 アップデートと新たな世界やシステムの管理に追われてる運営を想像すると、何となく修羅場のイメージが湧いてきて気が滅入るので一旦別のことを考えよう。


 例えば、内乱が終わったら何をやるのか。


 まずは霊子分解装置の修復だ。何しろ現状ロボを扱っているプレイヤーと言うのは限られている。


 まぁ、ひっそり誰にも言わずにロボを直したり操ったりしてるプレイヤーが全くいないとは言わないが、仮にいたからと言って、自分がここでロボの案件を手放していい理由にはならないだろう。


 鉄人、モグラちゃん、モーちゃんと自分の腕を頼りにしてくれる存在がいるのに、放っておくのは性に合わないし、ここはしっかり次の段階に進むべく腰を据えてやっていく予定と言う名の決定事項。


 次に大事なのは、隊長の装備関連だ。


 何だかんだいつもマメにメンテして大事にしながらも思いっきり使い潰してくれる常連の次の装備の考案。


 その一つの案として【鉱国】に行って<象印術>を学ぶというのがある。これは師匠からの勧めもあるし、是非自分の腕の幅を広げる為にも絶対に取得したと思っている。


 <象印術>の概要は簡単に言ってしまうと、装備に術として刻んでおく事で精神力を使用して、戦闘中一定の効果を得られるといったところか。


 一番基本的なモノは、武器に刻む事で攻撃力が上がるなんて言う分かりやすく、リスクの低い術が挙げられる。


 隊長の場合、タダでさえ攻撃力に難のあるショートソードだし、攻撃力が上がるだけでも助かるだろうし、武器にも関わらず防能力を上げても上手く使いこなすに違いない。


 問題は武器以外の防具関連だが、これは今の装備を預かって、そこから如何に進化させるか有識者会議開催だな。


 あとは何かあったか……?


 そうだ!ブラックフェニックスとも内乱が終わったら会う約束してたな。なんか用があるらしいのに、こっちが忙しいだろうからと遠慮してくれたんだった。


 何か鉄人を見た時に急に態度が変わったのだが、ロボ関連でどんな用があるのだろうか?


 ロボを修理できるって話で、潮目が変わった気がしたんだよな~……。


 ロボの構造はスキルで幾らでも分かるが、相手の事情を少ない情報で斟酌するとかは苦手だな。


 まぁ、ロボを作ってくれとは言われてないし、作るとしたら先にライダーマスクが先だし、その辺は理解してもらおう。


 その他にも雑多な事は幾らかあるが、忘れちゃいかんのはこれくらいだな。


 ちょっと外の空気でも吸うかと、店の外に出ると何となく明るく視界がいい?


 雪が降ってない所為かと気がつき空を見上げると、雲が薄く快晴には程遠いが【帝国】では晴れと言って差し支えない明るい天気だ。


 珍しい事もあるもんだと、何となく【古都】の道を行く当てもなくうろついていると、ポータルから誰か現れた。


 濃いグレーの【帝国】【士官】制服に特徴的なでっかいモジャモジャのソウルを感じるアフロ。


 全く見覚えない人物だと思ったのに、何故かその雪をモノともしない滑るような歩き方に親近感が湧き、さり気なく近づいてみると、よく知る人物だった。


 「あれ?クラーヴンじゃん!店の外歩いてるなんて珍しいね。散歩?」


 「まぁ、そんな所だが、どうしたんだその格好?」


 髪型もさることながら、近づいて装備を確認すると尋常じゃないダメージを負っていて、今すぐにでもフルメンテが必要な程消耗していた。


 「ああ、白竜にやられたわ。前に邪神の化身の破滅の光をぶっ放したから、仕返しされた。まあ御互い様だし別にいいんだけどね。でも丁度良かったとりあえず装備丸ごと任せちゃってもいい?」


 「そりゃ、それが仕事だから任せろよ。それにしてもこっぴどくやられたな~髪まで爆発しちまって……負けたのか?」


 「いや~ソタローは倒して、宰相は皇帝が紙一重で殴り勝った。白竜とは和解して、とりあえず政治形態は今まで通り。ただ元々の決裂の理由が【帝国】が経済的に先細りになるのが見えていたからみたいなんで、稼げるようにする為に、滅茶苦茶忙しくなりそう。あとこれはカツラだから」


 そう言いながら、片っ端から装備を渡された。外だってのにお構い無しだ。最後にカツラをポフっと乗せられた。


 「全くこんな所で……まあ丁度お前さんの新装備について考えようと思ってたし、時間かかるぞ?」


 「うん、大仕事は終わったから、当面自分は初心者服で過ごすわ。じゃぁ、飯食って寝るわ~」


 言いながらくるっと【兵舎】の方へと向く隊長に、気になった事をもう一つだけ聞いてみる。


 「一個だけ聞くが、【帝国】が稼げるようにするって、【商人】にでも転職するのか?」


 「いや~ジョブは適宜状況に合わせてケースバイケースで前向きに検討するとして、個人的には実業家やろうと思ってる。じゃぁ何かあったらまた呼んで~、自分からも店の方訪ねるからさ~」


 いつも通り飄々とした様子で立ち去る隊長を見送りつつ、


 『相変わらず何言ってるのかよく分からない奴だな~』と虚空に放った独り言が、晴れてても積もった雪に吸われていく。

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