84.緊急発注
街中に片っ端から重機関銃を設置した件に関しては、何でか知らないが重機関銃を気に入ったのかと思われただけで、別に怒られる事もなかった。
これで公然と隊長の所為にしてそこら中に重機関銃を設置出来る。
しかし、隊長は会う度に平気な顔をして宿題を渡してくるので、無制限重機関銃設置はまた今度としよう。
今回の隊長の依頼と言うのは暗視装置の製作なのだが、問題は数が多い事。
と言うのも隊長本人はそれこそ仮面装備に暗視効果があるので今更新しい物は必要ない。
今回必要なのは一般兵士用の量産型暗視装備だ。
一体どうやって使うのかは聞いていないが、まあこのご時勢そして内乱の進捗状況から見て、ソタローとの決戦に使うと見て間違いないだろう。
内乱の進捗状況に付いてはあくまで阿空の話をそのまま信じているだけなので、実際の所はよく分からないが、かなり押し返してもう間もなく決戦と言う所だとか。
【帝国】の主要都市は物資運搬の便も踏まえているのだろうが、大河沿いに東西に並ぶように大きく三箇所、西の海近くにある【帝都】は最も外国からの物資が多く入って来易く商業が盛んで比較的豊かな土地だ。
次に【帝国】大河沿い中央に位置するのが【旧都】であり、実は元々今の【帝国】の始まりの地はここだとか?何か大昔に戦争があったとかそういうバックグラウンドがあるらしいのだが、生憎自分の師匠はドワーフで出身は隣国の【鉱国】なので、その辺はよく知らない。
最後に自分が世話になってる店のある【古都】だが、まあド田舎中のド田舎、木と鉄が採れるので一次生産からそれを使った二次生産で食ってるヒトの多い地域で、農家の次男坊や三男坊が食わせられないからと軍に就職するなんて言う、ゲームとは思えない世知辛い地域だ。
その内の【旧都】まで既に皇帝派は攻め込んだらしいのだが、いざ内部に攻め込もうと思ったらもぬけの殻で、罠が張られていると察した隊長が一旦引き上げて、膠着状態になったというのが現在の戦況となっている。
ちなみに隊長はソタローが砦潰しの都版をやって一大都市を丸ごと爆破して、皇帝派に大ダメージを与えるつもりだろうと言っていたが、
ソタローの事だから住民に被害を出す前に兎にも角にも避難させたとかそんな所じゃなかろうかと思っているのは自分だけだろうか?
まあ戦争は門外漢の自分としては、やるべきは隊長から頼まれた大量の暗視装置を作ることなのだが、眼鏡と言えば自分が頼りに出来るのは一人なので、早速呼び出した。
「やぁ!クラーヴン!なにやら大急ぎの仕事だって?」
そう言いながら現れたのは相変わらず派手な服を着た【陶芸家】ポッターだ。
陶芸と言いながらガラス関係も扱えるのはゲームの仕様なので、気にするモノではない。
気になるのはいつもコイツのちょっとイカレた派手な服、今日は上から下まで真っ赤で、ちょこんと乗せた名前も知らん変な形の帽子に赤いデカイ羽根が刺さっている。
まぁ、いつまでもじろじろ見てても仕方ないので、早速本題に移る。
「ああ大急ぎで申し訳ないんだが、その上あまり儲からん仕事かもしれん」
「そう?まあ話を先に聞こうか、別に僕は払いだけで仕事を決める訳じゃないからね」
「そう言う所が頼りになるぜ。実は隊長から1000人分ほど暗視装備を頼まれたんだが、あてはあるか?」
「あ~期日は?」
「早い方がいいだろうな。多分内乱の決戦で使うんじゃないかって思ってるんだが……」
「ふーむ……形がバラバラで値段もマチマチで良ければ、すぐにでも用意できるよ?」
「本当か?流石だな」
「まぁ、スキル熟練度上げの為に結構沢山作ったからね。ただ本当に品質もデザインもバラバラだけど」
「まぁ【兵士】達に装備させるものらしいし、別に適当でいいだろ。そんな奇抜な物じゃないんだろ?」
「モノによるね~、まぁ一般【兵士】さんが装備してもそこまで変じゃないの見繕ってくるよ。それで予算は?それ次第じゃ奇抜な物多めになるかもしれない。別に嫌がらせでもなんでもなくね」
「そこら辺は俺はお前さんを信じてるから、一々断らなくてもいいぜ。予算どうするか……隊長も持ち出しで内乱やってるみたいだから、そこまで出せるか分からんと言ったが、お前さん程の職人の品だし、あまりに安く売るのも失礼だ」
「ん~僕としては売れ残りまくってるから、在庫処分価格でもいいけど」
「おいおい、お前さん程の腕の生産職が己の腕を安く売ってどうするんだ。スキル熟練度上げ中の物としても、そうだな一個金貨一枚で買い取るか。隊長からは立派な重機関銃貰っちまったし、足が出た分は俺が補填しよう」
「ああ、あの物騒な大きな銃みたいなの隊長なんだ……、アレの威力って見た目通りなの?」
「ん~ちょっと難しいが、物理と言うより術攻撃の超連射って感じだ」
「ふーん、戦闘やらない僕にはよく分からなかった。聞くだけ無駄だったね!ははは!ちなみに眼鏡はそんな高くなくていいよ。暗視装置なんて基本中の基本だし、大量にスキル熟練度のために作ったものなんか、性能も品質も知れてるんだから、銀貨1枚でいいんじゃない?」
「いや、仮にも特殊効果持ちの装備品がそんな安く市場に出回ったら、よそにも迷惑がかかるだろうが!特急料金も込みで金貨1000枚渡しておく」
「いやいや!あの程度の物にそんな値段つけられちゃ僕の矜持が許さないよ!銀貨2枚で手を打とう!」
「いやいやいや……」
「いやいやいやいや……」
値段交渉で日が暮れてしまった。




