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78.波乱の予感

 業者のように大量に手に入れた食料の大半は【帝国】東部で昔から商売していると言うNPC【商人】のラズノースに譲った。


 譲ったと言うのは文字通り、上手く使ってくれと寄付したという事になる。


 先方は大層感謝してくれたが、【古都】に日に日に集まってくる難民達に配るには全然足りないだろうし、身銭を切って炊き出ししている【商人】からしたら焼け石に水でしかないだろう。


 こちらとしては、貰ったものだし自分達で消費するには過ぎた量だったので、まとめて引き取ってくれて助かったという程度の事だが、それでも噂は広まり、ゴドレンの店周りはこれでもかと安全が保たれている。


 寧ろ噂を聞きつけたヒトが食料ほしさに襲撃してくるんじゃないかとちょっと、警戒していたのだが、全くそんな事はない無風状態。


 そんな中やる事と言えば、注文を受けた鉄製品や武器防具の作成に<機構><機工>スキル上げの為にドローンを分解したりするくらいの事だ。


 まぁ、言ってみれば鉄人に会う前と全く変わらない日々に戻ったと言う事か。


 元々引きこもって鍛冶ばっかりやってきたのだから、ある意味これが自分の本筋のプレイだと気合を入れて仕事を進めた。


 鉄人が店番を出来るようになった事で、作業に没頭できるし精も出る。


 外の様子は飯を食いに来たついでに阿空が色々と仕入れてきてくれるので、わざわざ外に出て確認する必要もない。


 心残りがあるとすれば、霊子分解装置を早く直して使ってみたいと言う事位か?


 ある日の事、フラッと外に出てみた。


 もし何かあれば逃げるしかないが、今の所争いごとの足音も聞こえない。


 やはり軍内部に情報を知るヒトがいると様子がよく分って助かる。


 どうやら皇帝が【帝都】を追われ【古都】に来た事で内乱と騒いでいるが、実際の戦闘は殆ど行われていない模様。


 更に言うと、殆ど戦いらしい戦いもしていないのに大半の地域が宰相派についてしまったらしい。


 理由は大きく分けて二つ。


 一つ目ソタローが大人気らしい。


 自分から見ると素直なんだか筋肉に傾倒してるのかよく分らない若者特有の不安定さを感じる男だったが、NPCからすると【帝国】土着の信仰対象である白竜を復活させた事が英雄的偉業とうつるとか。


 二つ目向こうの方が飯が食えるから。


 当たり前と言えば当たり前だが、飯が食えて何ぼだ。


 食糧難は宰相の仕掛けであると言う認識がすっかり広まっているようだが、それでも宰相派につくのはやはり強かな方につく方が良いと言う打算的な理由と、経済感覚があるのは宰相だと言う認識が広まり、今後【帝国】が経済的に豊かになるには宰相が国を主導した方がいいと理屈を述べる者もいるらしい。


 ソタローの掲げる理想は軍縮ともっと豊かな国づくりと、誰もが自分の好きな夢を追える事。


 それを現実化する後ろ盾が宰相と言う事になり、飯を奪った悪辣なヒトと言う印象より、将軍ソタローを支える深慮遠謀の人物だと思われてる。


 立場的にはソタローの方がしただろうし支える側だと思うが、これが俗に言う印象操作と言うやつか?


 そして戦力差だが、戦いもしないのにそんなモノを知った所でとも思うが、阿空の興味は内乱で戦い武者修行する事なので、自然と話を聞く事になる。


 何でも軍幹部の数では皇帝派が多いらしい。


 理由は単純で皇帝が軍拡張派であり、色んな公共サービスを軍を通して行う事を指示してきた張本人だからだ。


 対して宰相派は軍縮派なので、当然ながら付き従う幕僚は少ない。


 逆に現場の兵の数だが、こっちは宰相派が圧倒的。


 指揮官がいっぱいいても指揮する兵がいなくちゃ戦いようがないし、兵がいても指揮官がいなけりゃ運営ができない。


 そりゃろくすっぽ戦えずに内乱が続く訳だ。


 そんな事を考えながら【古都】をうろついていると、様子がおかしい事に気がつく。


 いや寧ろ正常なのだが、炊き出しの列が無い?


 引きこもってたうちに内乱が終わった?


 いや、それなら毎日阿空から内乱の情報が入る訳ないし、何がどうなってるんだ?


 ちょっと混乱しつつも、ちょっとした買出しを終えて、すぐに店に戻る。


 何しろなんだかちょっと不気味だ。


 元々ヒトの少ない【古都】だが、今日はいつもに増してヒトがいなく静かだった。


 もしかして、自分に情報収集漏れがあって、もう【古都】が攻められる間近なのかとか、不穏なイメージが頭を巡る。


 店に戻り親方に外の状況を話そうとすると、丁度阿空も帰ってきた。


 「よう!悪いけど今日も飯食いに来た。やっぱり軍の食事は物足りなくてな」


 「それはいいけどよ!外見たか?炊き出しの列!」


 「ああ!あれ?クラーヴンは聞いてないのか?食糧問題は解決したぞ?」


 「いつの間に?何で急に解決したんだ?」


 「いや~それがよ~俺の因縁の相手が、まさかの上司になるみたいで、丁度その事を今日は話そうと思ったんだよな~」


 「上司?食糧問題と阿空の上司に何の関係が?」


 「いやだから【森国】で俺を破った奴が帰ってきて、あっさり食糧問題を解決した挙句、皇帝派の全体指揮を取る事になるらしいぜ?」


 「え?隊長帰ってきたのか?いつの間にかどこかに行ったと思ったら、いつの間にか帰ってきて、ソタローの邪魔してんのか?何やってんだアイツ」


 「いや、何の事か分らんけど、食糧問題が解決すれば状況は五分五分だろ?劣勢で戦を楽しもうと思ったのに、楽しみ半減だなこりゃ」


 いや、そんな事より、トラブルメーカーがこの面倒な時に帰ってきて、問題起こさない筈が無いぞ?

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