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73.騎士団不在

 MoDの面々は仕事の為商売に戻ってしまったので、カーチやヒーロー達と連れ立って【王国】は首都に当る【王都】へとやってきた。


 カーチもMoDのメンバーだろうと思ったのだが、最近はモグラちゃんとモーちゃんに夢中らしいので、連れて行ってくれて構わないとの事。


 流石に一国の首都だけあって非常に賑わっていながらも、どこか落ち着きを感じる都会感。


 過ごしやすい気候と美しい景観、このゲームをやってるのが日本人だけだとしたら、非日常間も味わえる。


 そりゃ、一番人気にもなるよなと納得の都をおのぼりさんよろしくあちこち見渡しながら歩く。


 そんな都の中でも少し外れに位置しながらそう悪くない立地にいくつかの建物をまとめて所有しているのが、ゲーム内でも最強と噂されるクラン『Kingdom Knights』通称騎士団だ。


 何故最強と言われるのか、まず所属メンバー数が一番多い。


 次に創設者と言われ代表となっているのが、ゲーム内最強と噂に名高い鈍色の騎士。


 ベータ版からのプレイヤーで、最初に騎士と呼ばれる職を見つけた人物としても有名。


 寧ろこの人のせいで騎士職が最強職だという噂が広まり、正式版開始と共に一斉に騎士を目指す状況が生まれた。


 本人に自覚があるのかないのか全く分らないが、ゲーム開始当時PKに遭うプレイヤーを相当数、圧倒的戦力で助けまくっていたらしい。


 何しろ当初一番安定的なフィールドである【王国】は荒れていたらしい。ゲーム人口が多ければ、当然悪さするプレイヤーも多い。


 そんな状況下で、弱者を救うべくせっせと悪党を倒してたら、ゲーム内最初のクランの立ち上げとなり、噂が噂を呼びどんどん膨らんでいったというのが、一般的見解。


 問題はその後、人数だけは多くともいまいち大きな成果を上げてないと言われるのもこのクランだ。


 何しろ運営側から提供される大きなイベントで尽く負け通し、大物狩りでもアンデルセンの所属する『嵐の岬』に一歩先を行かれ、ゲーム内のクエストやなんかでも、他に目立つ人物がいる。


 そうやって徐々に噂の的から外れ、無難な大手クランと言われる事もしばしばとなった。


 まあ数は力だし、多人数をまとめてキチンと運営できてるんだから、個人的には十分凄いと思っている。


 そんなクランを訪ねてみると、中から冴えない研究職風の生産者が現れた。


 「その格好は入会希望者じゃないんだろうが、生憎とうちの連中は出払ってるから、碌な対応は出来ないぜ」


 「そうか、そりゃ忙しいとこに邪魔して悪かった。ちと頼みがあって来たんだ」


 「……まぁヒーローとは浅からぬ因縁もあるし、上がっていけよ。こっちの研究棟は散らかってるし……会議室でいいか?」


 「ああ、頼み事しに来ただけなのに場所まで借りて助かる」


 「いいっていいって、うちのクランマスターは人助けが趣味みたいな人だし、追い返したら怒られるだろ」


 愛想があるとは言えないが、話の分らない人物ではないようだ。


 生産職にしては隙が無いようにも見えるが気のせいだろうか?とりあえず男のあとついていくが、背中にも目がある気がする。


 少し広めの部屋にいくつかの椅子と机が並べられているだけの簡素な会議室。


 簡素ながら小奇麗と言うか、持ち主の趣味が知れる造りなのだが、ちょっと気になったのは建物の材料。


 「【王国】の建物は木造じゃないんだな」


 「ああ【森国】や【帝国】から輸入はあるが、国内で伐採できる量には限りがあるからな。レンガ積みが多いぞ」


 「そうか、ちょっと興味があっただけなんだ……早速だが、頼みってのは食料の買い付けについてだ」


 「何だ?飯屋なら幾らでも紹介するが?」


 「違うの!【帝国】は内乱中だからご飯が足りないの!」


 と、カーチが切り出す。


 「ああ~なるほどな!うちの連中が【帝国】に行ってるのはそれに参加してるのか」


 「そうなのか?俺もあまり内乱の詳しい状況は知らんのだが、今は物資の滞りも激しくて何にもないぞ?」


 「だからその内乱で稼ごうってんだろ?武闘派が多いからな~……でもそうなると下手したら利敵行為になるかもしれんのか」


 「クラーヴンは生産職だから戦わないよ?」


 「だとしてもさ。まぁうちの連中は気にしないだろうし、マスターなら絶対敵だろうとしても塩を送ると思うが、どうしたもんかね~」


 「クラーヴン技師長 先方ヲ 困ラセテ イルヨウデス 一旦 出直シテハ ?」


 「確かにそう……」


 「ちょっと待て!変なの連れてると思ったら、それロボなのか?しかも喋っていやがる!」


 「それじゃないよ!鉄人ちゃんだよ!」


 「あ、ああ鉄人ちゃんな。それで?そいつはロボなのか?どこで見つけた?」


 「ん?普通にクエストで古代の鉄屑を片付けに行ったら見つけたんで、直した」


 「直しただと!!お前ロボ直せるのか?マジかこうなると話が変わってくるぞ。協力しておいた方が俺個人としてはいい気がしてきた」


 「でもクランメンバーに迷惑かかっちゃうかもしれないんでしょ?」


 「いや、あいつらは戦って報酬を得ようってだけだろ?俺個人の伝手で食料を生産職に供給したって別に悪い事はない筈だ」


 「そうか?まあ近所のNPCには配るかもしれんが、軍に供出はしないように約束はする。このゲームのNPCなら強制徴収はしないだろ?多分」


 「よし分った!ちょっと待ってろ!」


 そう言って、研究職風の男は部屋を出て行く。鉄人を見て態度が豹変したと言う事は、彼はロボマニアか何かだろうか?

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