72.結果発表とこれから
「はい!じゃあ結果発表ーーーー!」
「「「「「わー」」」」」
「なんつうやる気を感じない打ち上げだよ。普通に飯食って解散でいいんじゃないか?」
「そうはいかないよ!MoD恒例企画なんだからね!まず初日はロングソードが売り切れ!ショートソードは一本偶々売れ残ったのをバイト料にしました!」
「売れ残った物をバイト料で支払うなよ!もし何か要望があればある程度相談に乗るからな?」
「いや、何度見てもこれはいい物だ。残り物には福があると言うし、品質は超一級品なのに何も手を加えていないから、ここから幾らでも拡張性が見込める。十分すぎるだろ?」
「と!本人もこう言ってますので、問題なし!」
「いや、拡張性も何も鉄は変質しずらいから精霊の力も魔素の影響も受けにくいんだぞ?」
「他にも色々あるだろう。元々小太刀使いで、丈夫で手頃なサイズの武器が欲しかったし、いい修行になる」
「はいはい!武器談義はそこまで!二日目!初日からボチボチ出てたけど湾刀や馬上刀が売り切れました!ちなみにサーベルが一本余ったのでそれもバイト料に充てました」
「ああ、まさか二本ももらえると思わなかったが、こっちもいいモノだ。雑に当ててもよく斬れるし、何より折れると言う事を知らないような堅牢さがいい」
「まぁサーベルも使い手に知り合いがいるからな。騎乗動物に乗ったまま斬り付けるってのがどれだけ衝撃のかかるモノかはよく聞いてるし、使い手に不安を抱かせない堅牢さってのも悪かないだろ」
「更に三日目には槍とか薙刀とか長物系もほぼ売れて、鈍器類も同様にほぼスッカラカンでした!ちなみに手頃な手槍が一本あったので、よく働く阿空君のお土産にしました」
「いや、全くお土産までもらえると思ってなかったし、この商会の事は国許に戻ったらちゃんと口添えをしておく」
「本人がそれでいいならいいんだが、毎日武器一本づつバイト料に貰ってるだけだからな?旅の修行中なら路銀の事もあるだろうし、俺から出すぞ?」
「いや、いい。食うのも泊まるのも世話になって、いい武器を三つも手に入れた。あとは魔物退治でも引き受けながら生活すれば修行にもなるし、一石二鳥だからな」
「まぁいいけどよ。それにしてもよく売れたもんだな?確かに癖の少ない武器中心に取り揃えたとは言え、100種あれば変わった武器もあった筈なのに」
「それがね、ここの街って地図で言うとどの辺か分る?」
「いや?大河を渡って少し【王国】寄り?位の感覚だ」
「うん、間違ってないけど、丁度【王国】【馬国】【鉱国】【帝国】から道が繋がる北の重要地点なの」
「何で、そんな所の一等地に店構えてるんだよ」
「貰ったから!それでね、さっき言った四カ国からヒトが集まったお陰でそれぞれの国に合った武器が売れたみたい」
「ふーん、なる程な。しかし【帝国】規格のモノなら、いつでも注文さえ貰えれば幾らでも作るんだがな」
「中々そうもいかないんじゃないの?だってクラーヴンだし、手の加えてないプレーンな鉄武器自体あまり作らないじゃん」
「そりゃ普段は、オーダーメイドだから客に合わせていじるし当たり前だろ?」
「だ~か~ら~今回のチャンスを逃すまいと皆買い付けにきたんじゃない!」
「でも【帝国】の連中は内乱中だぞ?」
「そんなの関係ないほど、欲しかったんじゃない?という訳で!今回は武器全部売れた事で、凄い収入になりました!ヒーロー達も阿空君もちゃんと給料出るので安心してください!」
「なんだよ!結局払うんかい!」
「武器払いは売れなかったときの保険だから!私は売れると思ってたけど、もしもの事があるし!」
「なるほどな。もしもの時の事を考えるのは悪くない。それじゃそれぞれの取り分を配布といくか」
そう言って、それぞれに十分な金貨が渡されていく。多分数千枚位だろう。魔物を狩って一稼ぎするつもりだった阿空の顔が引きつってる事から、相当な大盤振る舞いだったのだろう。
そして自分の番が来てどうやら一際大量の金貨を渡されそうになるが、今回の目的は武器の在庫を捌く事ともう一つある。
「俺はこの金で食料を買い付けたいんだが、伝手はないか?」
「ああ、そっか~内乱で食糧不足だからクラーヴンは買って帰らないとね」
「でも、クラーヴンさんは【帝国】【古都】所属だとは知れてるし、足元見られてしまうかもしれませんね」
「あ?そうなのか?俺は武辺物で商売の事は詳しくないが、寧ろ安く売って恩も一緒に売ろうってのが商売人じゃないのか?」
「いえ、それが今はその判断を狂わせる程【帝国】向けの食料の値段は急騰しているんです」
「そこまでなのか?うちはこれまで店の備蓄でやってきたから知らなかったが、いつの間に……」
「何でも噂によると、武に偏った【帝国】の中でも少々毛色の違う商売に明るい宰相の差し金とか」
「そうなると大した量の買い込みは無理そうか」
「う~ん、うちはこの前伝手を使っていっぱい買っちゃったばかりだしな~」
「集団戦でもやってる奴がいれば、食料に関しては大量購入もできるんだろうけどな」
「なんで?」
「さぁ?ただ2人ほどアイテムバッグにはちきれんばかりの食料詰め込んでる連中を知ってるからな」
「もし、その気があるなら『騎士団』に話を聞いてみようか?」
そう言って、ヒーローから提案があった。正直買い物の話で全く当てにしてなかったので、一瞬呆気に取られてしまう。




