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68.見本市

 「東に助けを求める少女の声が聞こえれば太陽と共に現れ!」

 「西に闇に紛れ悪事を為す者いれば月と共に照らしだす!」

 「南に涙を流すものがいるならば、いつか晴れ渡る時まで共に流そう!」

 「北に道に迷った鍛冶屋がいれば星と共に道標になろう!」

 

 「我ら!天空戦隊!」


 「南は青い奴が担当してるから、空モチーフって事でいいのか?」


 「ほう……伝説の鍛冶屋はスカイブルーが気になるのか?お目が高い!」


 「そう言う訳じゃないが、一人だけはっきり属性言わないから、一応な?」


 見本市当日早朝現れたのは、赤、黄、青、銀の4色のコスチュームのヒーローだった。


 ヒーローってのはライダーマスクの時もそうだが、微妙ににテンションが高くてうるさいのが難点だ。


 「カーチの言ってた助けってこいつらの事か?」


 「うん!ヒーローだから困った時はいつでも助けを呼んでいいって言われた!」


 ううん……微妙に解釈がアレなんだけど、ヒーローって戦うもんだろ?戦いで困った時に呼ぶんじゃないのか?


 「安心しろ!伝説の鍛冶屋鉄魂のクラーヴン!噂はかねがね聞いている!なんでも今回は見本市をやるとか?」


 「ああ、つい作り過ぎちまって、MoDの好意で今回見本市で売り捌く運びになった」


 「ふむ、そ、それで変わった武器も多いと聞いたが?」


 「ああ、色々作ったからな。何か欲しいものでもあるのか?」


 「やーアレだなー俺達の武器は相当変わってるから、本当にオーダーメイドでしか手に入れられなくってだなー。いざという時にプレーンな鉄製も欲しいのだが中々手に入らなくてだなー……」


 「いいから得物を言えよ。元手は鉄鉱石代だけだし【帝国】なら安く大量に手に入るんだから、別に法外な値段はつけんぞ?」


 「斬馬刀風の大型西洋剣」

 「九節鞭風のナイフ付き金属鞭」

 「ハルバート風の複合西洋槍」

 「攻防可能なガントレット」


 「ああなんだ全部あるぞ」


 100種類の売り物の選考からは漏れてしまったが、何かあった時のためと思って一本づつ持ってきたのが役に立った。


 とりあえず、出してそれぞれに渡すと食い入るように確認し、両手で握って離さない……。


 「まだ、渡すって言ってないんだけど!」


 カーチが大きな声で注意すると、フルフェイスの冑でも中の表情が読取れるかのごとく、震えだして拒絶感を露にする。


 「まぁ、気に入ってくれたのなら渡すのに吝かではないんだが、見本市を手伝ってくれるって事でいいんだよな」


 一斉にコクコク頷くと言う事は、了承と取っていいのだろう。にしてもさっきまでうるさかったのに、急に静かになったな。


 「じゃあ!段取り言うから皆ついてきてね!」


 カーチの一声でヒーロー達も店番をする事になり、準備は万端。


 とりあえず仕切られた木陰のブースでのんびり座って砥石の準備をしていると、わいわいと大勢の声が外から聞こえてきて、盛況なのだと分る。


 そこに早速一人の男が入ってきたので、さらっと観察すると、どうやらNPCっぽい。


 「砥ぎはどうする?買った武器にするか、今使ってる得物にするか?」


 「じゃじゃあ、今使ってる刀を頼む」


 そう言って渡されたのは、湾刀だった。


 近い所で言うとタルワールだろうか?細身で護拳の付いた物だが、持っただけで中々のものと分る。


 強いて言うならちょっと古びている気もするが、大切に使う程手に馴染むのがこのゲームの武器なので、印象としては非常に良い。


 あんまり削ると折角の湾刀の寿命まで削ってしまいそうなので、細心の注意を払って刃を出していく。


 斬ってそのまま滑る事で、自然と肉の繊維一本一本を断つそんなイメージだ。


 出来たものを渡すと大変ご満悦な様子で帰っていった。


 お次は明らかに全身毛むくじゃらの獣人。


 角が丸まって羊かなんかの獣人に見えるが、いったいなんて言う種族なんだろうか?


 聞いてみたい気もするが、今は砥ぎに専念せねばと好奇心を押し殺し尋ねる。


 「それで、砥ぐのは買ったばかりの武器か、今使ってる得物にするか?」


 すると、無言で差し出してきたのはシンプルな短槍。


 刃先も完全な直刃で突き刺したら柄まで突き抜けてしまいそうな程シャープでいながら、持った時の感触は堅牢そのもの。


 獣人は【馬国】に所属するものが多いと聞くが、同時に噂でよく耳にするのが、無口で無愛想と言う話。


 確かに何も言わず、武器を差し出してくる辺り愛想がいいとは言えぬが、武器を扱う様子は自分の体の一部のように大事にしているのが分るし、印象はかなりいい。


 刃先を綺麗に砥ぎ、柄の部分の汚れも綺麗に落とすと、満足げに槍をしまい、一礼して去っていく様は武人を思わせる。


 次から次へと雰囲気のいい武器やNPCに当たって、中々に楽しい時間を過ごす。


 外も楽しげな様子こそ聞こえてくるが、今の所喧嘩もなさそうだ。


 ちょっと休憩して外の様子を見に行こうと、仕切られたブースから顔を出した時、


 「おいおい!いいじゃないか!別に金は払うって言ってるんだから、まとめて買わせてくれよ!」


 「駄目!今回はお一人様一点限りなの!クラーヴンの剣がこんなに安く売られるなんて、早々ないんだからね!」


 「安いったって、ただの鉄剣に金貨10枚なんぞ吹っかけすぎだろ?」


 「じゃあ買わないで、出てって!」


 やたらタッパも幅も大きな男と、カーチがにらみ合っている。

 

 流石にこのままでは危ない。


 カーチがモグラちゃんを仕掛けたら地面から巨大なドリルが飛び出し、男は一瞬でミンチになってしまう!

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