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67.会場

 街の中央にあるというイベントスペースは、大きな木の下に丸く仕切られた広い露天の空間。


 大きな木が柔らかく日差しを遮り、それでいて暗い印象を抱かせない地域住民の憩いの場だった。


 そんな場所で武器を広げていいモノかとちょっと不安に思ったが、既に許可は出ているらしく準備が始まっていた。


 ショーケースや武器を置く為の棚が幾つも運び込まれているが、一体どこの業者だ?


 「あの人達はね~アルバイト!」


 「アルバイト雇ってんのか?」


 「ローンで武器を買った人達の利子を一部融通する代わりに体で返してもらってるんです」


 「……なんつう世知辛い話だ……」


 「このゲームは意外とそう言う所厳格だからな。ローン組んで返せないと強制労働施設に送られるらしい」


 「そんな所に送り込まれたら、このゲーム続けたくなくなるんじゃないのか?」


 「イタズラ心で試した人が地獄を見たって」

 「3食付で決まった事をやるだけだから天国だったって」


 自分は絶対に借金はしないと心に誓った。幾ら今金が余ってるからと贅沢をしたら明日はわが身だ気をつけよう。


 早速並べられた棚に片っ端から鉄武器を並べていく。


 「何やってるの!」


 「え?だって見本市なんだから武器並べるだろ?」


 「だからって、今から並べたんじゃ誰もいなくなったら盗まれちゃいますよ!」


 「まあ盗まれた所で、原価は鉄鉱石代くらいなんだから大丈夫だろ?」


 「何言ってんだ!さっきあんたの武器はきっちり価値に見合った値段で売るって約束したばかりだろうが!」


 「それはそうだが、準備は早い方が……」


 「世の中善良な人ばかりだから、多分大丈夫だよ」

 「ニコニコと笑うヒト程何を考えてるか分らないんだから、多分大変な事になるよ」


 何か一斉に怒られたので、一旦武器はアイテムバッグにしまう。


 とりあえず会場設営の邪魔にならない様に少し離れた場所で段取りの説明を受けることにする。


 「まずクラーヴンの無料砥ぎは、あっちの木の下に専用の場所を作るね!一応お買い上げしてくれたヒトだけ、一人一回のみ、先着順、これらの条件は絶対だから」


 「お、おう……分った。ちなみに武器の事で俺に質問したい奴がいた場合は?」


 「基本は私達が対応するけど、それじゃ足りない場合は呼ぶことにします。勝手にオーダーをごり押ししてくるような人がいないとも限らないし」


 「そんな厄介な奴がいたら、確かに困るな……」


 「一応今回の見本市の件は知り合いに声を掛けてあるんだが、何人か手練も見に来るらしいし、そう大事にはならないと思うぜ。それにいざとなったら頼もしい護衛がいるだろうが」


 「鉄人か?でも鉄人はヒトを攻撃しないからな……」


 「ロボットはヒトよりずっと理性的だから、戦う以外の解決手段を見つけてくれると思う」

 「話を聞く限り戦闘用ロボみたいだし、危険な相手がいたら兵器を使って守ってくれると思う」


 うん、鉄人はあくまで接客担当として頑張ってもらおう。物珍しがってくれる客もいるだろうし。


 「それで、肝心の武器はいつ展示するんだ?」


 「そうだよね。いっぱいあるもんね。どうしよっか?」


 「どうしよっかって……一体幾つくらい作ったんですか?」


 「アイテムバッグの容量にも限度があるから厳選して100ほど持ってきたぞ。カーチのアイテムバッグが拡張されてて助かったぜ」


 「【商人】のクエストを真面目にこなしてると、アイテムバッグ容量アップクエストに行き遭う事があるから基本だな」


 「それにしたって、100種類入るアイテムバッグなんて途方もないだろ?基本は5×5スタックから始まって、10×10スタックだろ?中々そこまで拡張してる奴なんかいないんじゃないか?」


 「【商人】の楽しみはいっぱいあるけど、アイテムバッグ拡張はあくまでおまけ」

 「誰もやりたがらない【商人】なんて言う地味な仕事の唯一の利点」


 マリー以外は平然としているが、何故かマリーだけは頭を抱えてる。


 「大丈夫か?」


 「いえ、100種類か……と思って。それなら普通のロングソード100本の方が良かったなって」


 「ああ、それなら安心しろ。そっちである程度段取り決まるまで待機だったろ?その間にその100種類の武器を作れるだけ作ってきたから、全部で500~800位はあるんじゃないか?」


 「ああ、駄目だ一流のアホの所が出ちまってる」


 「一流の人の集中力は時として僕達凡人の想像を越えて来るよね」

 「一流の人の行動力は時としてただの変人にしか見えないよね」


 「なんだ?別に全部売れなくたっていいんだぞ?元々不良在庫抱える所だったのに、こうして見本市開いてくれるんだから十分ありがたい話だ」


 「そうじゃなくてですね!そんなに沢山在庫があるって知れたら、どれだけのお客様が来ると思ってるんですか!私達だけで捌くんですよ?もっとこじんまりとやる気だったのに……」


 「こんな立派な場所でか?」


 「展示が中心の予定だったからな。変わった武器があるって聞いたから売れなくても見るだけで楽しければいいなってさ」


 「そうだったのか、じゃあ在庫の事は内緒にするか。それに変わった武器はそう沢山売れないだろ多分」


 「「何言ってるんだろ?」」


 何か全然違う事を言うチロとジロのコンビの声が重なった。


 「大丈夫!こんな事もあろうかと思って、助けを呼んであるよ!」


 カーチが高らかに宣言した。

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