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65.大河を渡る

 鉄人を伴ってカーチと【帝国】南国境を流れる大河を渡る。


 国境を流れると言うのは、少々語弊があるかもしれない。


 現状開かれているMAP全域の北辺に位置する国が【帝国】であり、一年中雪降る寒冷地だ。


 そして、大河と呼ばれる大陸を横断する河川を国境に南は【王国】や【馬国】と呼ばれる国と接している。


 ちなみに大河より北側にある国だと【帝国】の他に【鉱国】と呼ばれる鍛冶生産職の聖地とも呼ばれる国があり、親方の出身地でもある。


 大河を渡るには渡し船が出ているので、それを利用するのだが、間違っても泳いで渡ろうとしてはいけない。


 何しろ河幅が広く、一見ゆっくり流れるように思えるのだが、実は少々の<水泳>スキルで飛び込めば最悪死に戻る危険な河川なのだ。


 まぁ、少々を越えるような急流をモノともしない<水泳>スキルを持っていればまたそれは別の話だが、それでも急流の途中でスタミナが切れるだろう。


 海すら泳いで渡るほどの<水泳>スキルとログイン中ずっと走り続けても切れる事のない無尽蔵のスタミナがあれば、出来ない事も無いのかもしれないが、そんなのはタラレバの話で現実味と言うものを供わない妄想としか言えない。


 渡し船をうまい事見つけ、乗船させてもらうが、この船主は実は【帝国】所属でも向かいの【馬国】所属でもない。


 河族と呼ばれる大河を拠点とする世界のあぶれ者集団、いえば完全中立多民族非認定国家みたいな立ち位置の連中だが、普通にお金を払って渡してもらう分には細かい事を気にしない気のいいヒト達。


 「噂じゃ皇帝が【帝都】を追われたんだって?」


 「ああ、そうらしいが、俺は生憎国の中枢の事は詳しくない、しがない鍛冶屋なんだ」


 「はっはっは!そうじゃなきゃこのご時勢に他国に渡ったりしないだろ!分ってるさ。ただ俺達河族は国っていう枠組みに居場所を失っちまった者ばかりだからさ。国を追われそうになってる皇帝ってのに興味あるのさ」


 「そうだったか。悪いヒトじゃなさそうだが【古都】を拠点にしてくれたお陰で、こっちは別に悪い事もしてないのに、静かに暮らさにゃならん」


 「まぁ、内乱なんかになっちまうと巻き込まれた方も大変だよな」


 そんな他愛のない噂話なんかをしている内に対岸に着き、河族の渡し屋を分かれる。


 心づけにちょっと取っておいた酒を渡すと、大層喜んでくれたので、帰り道も会えたら多少便宜をはかってくれるかもしれない。


 別に渡し賃を安く上げようとか、そういう事じゃなく。待ち時間を少し短くしてくれるとかあったらいいな~みたいな。


 大河の対岸は随分と綺麗に道が整備され、馬車が走り回っている。


 「こんな、賑やかだったか?」


 「違うよ。邪神の化身を倒した後【王国】の道が整備されて、好景気になったんだよ。よく分んないけど、隊長が道の整備にお金をいっぱい出したら、街が出来て街道が整備されて、世界中景気がよくなったんだって」


 「そりゃ、よく分んないな。それでどこに向かうんだ?」


 「えっとね……天使街道沿いに私達がお店出してる街があるから、そこでクラーヴンの鉄武器見本市やるって宣伝しておいた」


 「最近整備された街道沿いに出店してるなんて、いつの間にカーチのクランはそんなに大きくなったんだ?」


 「え?うちは相変わらず少人数のれいさいクランだよ?ただ【鉱国】の【兵士】相手に商売する為に邪神の化身戦の時にテント張って即席商店やってたら、一等地貰えたの」


 「そんな裏クエストがあったのか。しかしテントの即席商店を好景気中心地の一等地交換とは剛毅な取引するもんだな」


 「あ~なんか最初はNPCの凄腕【商人】に全部取り上げられそうになった所をソタローが【王国】国家転覆させるとか言って、脅したらしいよ?金でも権力でも使ったらいいって、筋肉で全部ひっくり返すって」


 「それで今【帝国】で内乱起こしてるんだから、何やってるんだろうな?まぁいいか。しかし一等地で俺の武器の見本市ね~。なんか即興で作って見せたりした方がいいか?」


 「え!実演販売って事?鉄鍛冶一流ブランドのクラーヴンが鉄打ってるなんて、見学だけで入場料取れちゃうじゃん!」


 「だからそんなんじゃねぇって!田舎の鉄鍛冶だぞ?親方なんて仕事終わる度に店の裏の雪に埋まってるんだぞ?」


 「腕のいい変人は天才かそれに順ずる未来の伝説の鍛冶師の証拠らしいよ?」


 「なんだそりゃ?まぁ鉄打つのは火花も飛ぶし、集中したいから、砥ぎ位にしておくか?それでもまあ多少なり性能にバフを掛ける事も出来るしな」


 「そうなの?」


 「おう、気合入れて研ぐだろ?そうすると最初の内はバフがつくんだぜ!砥ぎ直してバフのない状態にしてから使う変人もいるにはいるが」


 「え?なんで?折角の一流職人のバフなのに」


 「あれだろ?いつもの使用感で使いたいんだろ?俺はその辺気にしないっつうか、本人のやりたいようにしたらいいと思ってるが、少しでも性能の上乗せが欲しい奴がいりゃ、折角だし無料で……」


 「駄目!そんなの行列が1週間あっても途切れないよ!せめて見本市で買ったヒトだけ!」


 「そうか~?まあ仕切りは任せるし、なんかできる事あれば手伝うからよ」


 自分がその場のテンションで作りまくった変な武器を捌いてくれると言うのだから、全面的に協力するのが筋と言うものだろう。

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