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64.普通?

 「う~わ~何コレ~」


 「クラーヴン技師長ハ 我ヲ 見失ッテマス」


 「お?おう?カーチか、何だもうモーちゃん壊れたか?まあ慣れない内は無茶な使い方もするだろうし、すぐ直してやろう」


 「何言ってるの?食料の買い付けに行ってまた売りに来たから様子見に立ち寄っただけだよ?」


 「アレ?この前売って回ってなかったか?モーちゃん渡した時に……」


 「それから何日経ってると思ってるの?」


 「何か日々に追われてて、日にちの感覚が曖昧だな……」


 「ところで、この鉄の山は何なの?」


 「ああ、カーチに頼まれた数打ちを色々試作してたんだが、いつの間にこんな山になったんだ?」


 「知らないけど。私普通の武器って言ったよ?」


 「おう!普通って事は色んな使い手に売り込むんだろうと思ってな。出来るだけバリエーションを増やしてだな……」


 「普通だよ!誰でも使えるような普通の武器!何?この剣なのに持つ所が変なの!」


 「ジャマダハルだな。カタールとも言うが、ナックルみたいな持ち方で扱えるんだが、特に突くのに便利なんだ!」


 「なんだ!ってさ……じゃあこっちのナミナミの剣は?」


 「フランベルジュだな。傷口が広がってズタズタになる事で、出血を強いる事が出来るんだ!」


 「るんだ!って……こっちの盾はなんで変なボックスが付いてるの?」


 「ランタンシールドをモチーフに夜間戦闘に便利で、尚且つ目潰しも出来るランタン付き盾を作ってみたんだ!」


 「たんだ!か~じゃあもうこの何がなんだか分んない武器は?」


 「トゥルスをモデルに、投げつけても使える大型ナイフだぜ!ナイフ投げつけるプレイヤーはいるだろ?」


 「確かに<投擲>とか持ってれば、ナイフ投げる人も要るけど、こんな変なの投げないよ?」


 「ああ、確かにナイフにしては扱いづらいだろうと思って、色んな形状を試作したから見てみてくれ」


 「う、うん。どこにあるの?」


 「えっと机の上に並べておいたんだが……」


 投げナイフの試作品は机ごと鉄の山に埋れていた。


 「何だクラーヴン、やっと我に返ったのか」


 その時親方が店の奥から出てきて話しかけてきた。


 「親方、何でこんなに散らかってんだ?」


 「お前が何かに取り憑かれたように鉄武器を作りまくったんだろうが!」


 「俺が?」


 「この状況で、お前以外に誰が犯人だって言うんだよ。このご時勢に金の有るに任せて馬鹿みたいに大量の鉄鉱石を買ってきたと思ったら、使えない武器ばかり作りやがって」


 「いや、使えないって事はないだろ?」


 「いつも言ってるな?使い手がいてこそ武器に存在する意味が生まれるんだよ!そりゃ俺だって色々試作はするさ。いつ何時変わった物を必要とする奴が現れないとも限らないんだからな。にしてもこれはやりすぎだぞ」


 「クラーヴン……普通の剣は?槍は?斧は?鈍器は?」


 「最初の方に作ったから……多分下の方?」


 「はぁぁ……依頼があって作ったのにその依頼品がゴミの山の下なんて、鍛冶屋の看板おろさにゃならんだろうが?こっちは商売で鍛冶やってんだぞ?」


 そう言いながら、最初の方に作った剣やら槍やらをカウンターの下から引っ張り出す親方。


 「あれ?何でそんな所に?」


 「そんな事だろうと思って、避けて置いたんだろうが!嬢ちゃん依頼の品はこの辺だが、大丈夫か?」


 親方から鉄武器を受け取ってカーチが<鑑定>するが、品質には問題なかったようで、素直に受け取ってくれた。


 「品質はいいんだけど、こっちの山はどうしよう……」


 「気にすんなコイツが自分の金で買った鉄鉱石で作った試作品だ。コイツに処分させればいい」


 「まぁ、必要のないものを売る気ないし、何かに使えないか考るから、本当に気にしなくていいぞ」


 「うう~~ん……預かってもいい?」


 「こんなガラクタ預かってどうする気だ?嬢ちゃん」


 「クラーヴンの武器見本市やって、欲しいヒトがいたら試作品として安く譲って、本格的におーだーめいど品が欲しいヒトがいたら、受注生産受け付けようかなって」


 「ああ、売れた物の分だけお代が貰えるみたいな感じか?」


 「そう!だから預かるだけ!見本市はMoD(うち)で仕切るからさ!」


 「そんな面倒な事任せちまっていいのか?」


 「多分、大丈夫!クラーヴンの武器は売れ筋品だもん!元々その為の普通の武器だし、規模がちょっと大きくなるだけだから、皆手伝ってくれると思う」


 「そうか、正直この不良在庫が一本でも二本でも売れてくれれば助かるし、それを仕切ってくれるなら尚の事だが……」


 「クラーヴン!モノは試しだ嬢ちゃんに任せてみろ。売れたら売れた。売れなかったら修行不足。割り切って現実を見て来い」


 「見て来い?」


 「お前が手伝わなくてどうすんだ!内乱だってただの鍛冶屋だからって旗色を明らかにしてないんだから、ちょっと抜けて他国で武器売ったくらいどうって事無いだろ?ついでだから食えるものでも買って来い」


 「備蓄は十分あるって言ってなかったか?」


 「近所付き合いってのがあるだろ?職人仲間の中にも、ぼちぼち食い詰めそうなのがいるんだよ。こういう困った時に助け合うから、信頼関係ってのが築けるんだろうが!」


 「なるほどな。分った!カーチ!一緒に武器見本市をやろう!」


 「うん!じゃあ皆に連絡してくるから、日程決まったらすぐに飛んでくるよ!」

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