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62.物言わぬ機械人形と

 工房に引き篭もって数日、ちょっと【組合】まで行って依頼なんかを確認したが、流石に内乱中じゃ閑古鳥が鳴いていた。


 新たに手に入れたドローンやパーツを整理しつつ、今自分に使える最大限の技術とは何か考える。


 カーチは何だかんだドリルを気に入ってくれたが、アレはあの時点での結論に過ぎない。


 今目の前にあるのは新たに土の下から引っ張り出してきた残骸。


 残骸に過ぎないが、こいつは生きていると確信している。


 スキル的な意味でも、何かを訴えかけてくるような声無き囁きからも、こいつを直してやれるのは自分だとそれだけははっきりとしているのだ。


 問題はこいつのあるべき形、その役割と役割を十全に担えるだけの姿、そして性能ずっとそれを問いかけている。


 そして中々、その姿が見えてこないのは、自分のスキルか材料が足りない所為なのか?というのがガチャガチャと手持ちのパーツを引っ掻き回す原因。


 今日も作業が進まぬまま時間が過ぎ、気がついたら手元に透明なやたらと強い酒を置いていかれていたが、


 酒でも飲んでちょっとリラックスしろと言う親方からのメッセージかもしれない。


 軽く一杯引っ掛けながら残骸に問いかける。


 「なぁ、お前さんは何でまたあんな所で土砂に埋まってたんだ?」


 勿論何も答えはないが、それでいい。


 「明らかに構造上、ドローンじゃないだろ?誰かヒトと一緒だった筈だ。その割りに精神力を溜めたりする構造が無いんだが、何でだ?」


 そう、モグラちゃんの時もそうだが、動力がよく分らないのだ。


 よく分らないので、精神力を供給してみたら、動いた。なんとも雑な理由だが、そもそも精霊の力を使っているなら、精神力で動くのが道理とも言える。


 しかし、それを言ったら鉄人やドローン達はどこから精神力を供給してるんだって話になってしまう。


 とりあえずそれについてはまだ自分の中で何も答えが出ていないので、一旦置いておこう。


 いつもなら、使い手さえちゃんとイメージできてれば、勝手に得物も作れてしまうのだが、今回は苦戦している。


 伝わってくるものはあるのだが、どうにもピントが合わないのがモヤモヤするといった所か。


 カーチの隣にモグラちゃんがいて、逆隣にはこいつがいる。


 きっとカーチはどちらも同じように大事にするだろう。いつの間にやら<手入れ>なんてスキルも手に入れてきて、毎日せっせとモグラちゃんをメンテしているらしいし、メンテナンスをまめにすればする程武器は長持ちする。


 武器は長く使い込めば使い込むほど、使い手の手によく馴染んでくるモノだ。


 「なぁ、何が不安なんだ?」


 時折残骸から感じるちょっとした揺れる感情。


 自分の問いかけが間違っているのだろうか?近距離でも遠距離でもない、点でも線でも面でもない。


 強いて言うなら面のような、近距離のような……。


 近距離よりもっと近く、面よりももっと分厚い何か?


 間違いなくカーチとの繋がりを感じるし、あと一歩の筈なのだが?


 カーチの右にドリル、カーチの左にこいつ。


 右手に剣、左手に盾?


 「お前さんはカーチの盾になりたいのか?」


 ……しっくり来た。


 これまで悩んでたのが何だったのだろうという、かっちりとピースの嵌った感触に、思わず早速作業を始めそうになるが、今は酒を飲んでいた。


 ここは慌てずプランを練りこもう。


 盾と分れば次から次へとアイデアが湧いては消えていく。


 カーチに似合うロボの盾、全プレイヤーが想像もしていなかったであろう盾が、ここに顕現するのだ。


 半端なものは作れない、何しろきっと目立つ。


 今後ロボクエストが進み、あらゆるプレイヤーの元にロボが行き渡った時、最初の盾ロボとして記録に刻まれるだろう。


 盾と言えばドローンが装備していた透明シールドだが、アレはビエーラの攻撃で矢が刺さっていたし、やめておこう。


 ドリル同様、自分が腕によりを掛けた鉄シールドがいいだろう。


 しかし、これはまた重量級になりそうだ。


 「重量はかなり重くなりそうだが、どうだ?」


 悪くない感触が残骸から返ってくる。こいつもモグラちゃん同様キャタピラ装備が良いのかもしれない。


 しかし、自分が最も使える金属が鉄と言うのが少々問題かもしれないな。


 何しろ魔石による変質を受けにくく性質を変えづらいし、サイズに比例してひたすら重くなってしまう。


 出来うる事なら鉄に付与して、軽くしたり強くしたりする技術があればいいんだが、兎にも角にも鉄の良さはその安定感だし、無い物ねだりしても仕方ないか。


 「俺は鉄鍛冶だから、何の変哲もない鉄装備ですまんが、出来うる限りいいモノ付けてやるからな」


 残骸からの感触は変わらずいいモノだし、大丈夫だろう。


 酒を片付けに台所に行って、つい独り言を発する。


 「鉄に何か付与する方法ってないもんか……?」


 「あるぞ?」


 全く意識していなかった暗がりから声が聞こえて、飛び上がるが、そこにいたのは親方だった。


 「なんだよ暗くしたまま飲んで!それともうたた寝か?風邪には気をつけろよ?」


 「何言ってんだ!遅くまで明るくしてたら変な目で見られるだろうが!それにこの国じゃ病毒が広まらんから風邪はひかん!」


 「そうなのか?じゃあ腹を壊さないように気をつけろよ」


 「違うだろ!折角鉄に付与する方法を教えてやるってのに!」


 「はぁ?親方がいつも鉄はこの世で最も安定してるから、変化を受け付けないんだって言ってるくせに」


 「変化じゃねぇ!術の付与だ!<象印術>ってのが【鉱国】にはある。それなら別に鉄の性質に干渉するもんじゃないぞ!じゃあ、寝るからな!」


 そう言うと、自室に引き上げて行く親方。


 生産用の術があるってのは攻略や何かで知っていたが、自分には関係ないと勝手に無視してたわ。

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