54.地下道清掃
ふと、カンテラの角度が悪かったかな?と反射的に目を細めて手元を確認するが、異常がない。
そして頭を上げると目の前には暗い黄色の回転灯をつけた何かがこちらに近づいてくる。
カンテラを向けると、それは宙に浮く逆三角形の機械?
ビー!ビー!ビー!
あからさまな警告音を鳴らしてこちらに近づいてくるが、どういう用件だ?
自分達の目の前に静止した所で、鉄人がプラグを挿し込み、情報収集開始。
しばし、待機しているとプラグを引き抜く鉄人とどこかに飛び去ってしまう機械。
「ありゃ何だったんだ?」
「警備用無人機デス 音ト光デ 魔物ヲ 追イヤリマスガ 攻撃性ノ 高イ 魔物ガ イル場合 戦闘用無人機ヲ ヨビマス」
「そうか、攻撃しなくて良かったな」
「……そうですかね?あれ浮遊してませんでしたか?」
「そうだったな」
「じゃあ、浮遊用ユニットが手に入る可能性もありますよね?」
「……確かに。だがそれで大量の戦闘ドローンに詰められたら、それこそ敵わないだろ?」
「大半のドローンが古くなって動かない設定なの。仲間を呼ばれてもタカが知れてると思うの」
「え~攻撃してこないのに、こっちから攻撃しちゃ駄目だよ!この通路を保ってくれてるんだよ?」
この場合、カーチの言が一番理に適っていると思う。
戦いたいのも分るし、部品が欲しいのも確かだ。それはもう喉から手が出るほど欲しい!
だが攻撃してこないモノを勝手に攻撃して、まずい状況に陥るより、あのドローンの発着所を見つければ、充電しながら磨耗して動けなくなった個体にも会える可能性がある。
そうすれば、労せずして丸ごと一個手に入れて、あとはじっくりばらしながら構造を調べればいい。
そこに、キュルキュルキュルと甲高い音を立てながら地下道を抜ける一機の背が低くて低重心のロボが一体通り抜けた。
そのあとはラインが出来ているので良く見ると、綺麗になって周りの道の汚さの中浮き立って見えるのか。
「なんか、全部全自動過ぎて古代のヒトが堕落したんじゃないかって思えてきたの」
「今の所ヒトの痕跡を見つけても、どんなヒトだったのかはちょっと良く分からないからな。ただやたらと地下に施設を作りたがるなとは思ってる」
「確かに基地から坑道から、通路から全部地下なの。もしかして大昔地上はヒトの住めない環境だったの?」
「さあな~でも技術力だけは相当高いよな……でもアレか、何か手作業感がない気がする。それだけ重工業やオート化が進んでいたとも取れるが、歪っちゃ歪か」
「ロボを作るロボがあったとして、最初のロボは誰かが作らなきゃなりませんからね」
「全くヒトの手が入っていないまま、状況が保たれてるのもおかしな話か。永久的な動力源とそれをメンテナンスするロボ?そしてそのロボをメンテナンスするロボってか?」
「何がなんだか分らないの。でもヒトが居ようが居まいが、ドローンの作業は止まらないの」
大昔この地下道をを造り、利用していたヒトはどういう種族なのだろうか?
表面的には朽ちて尚動くドローンがずっと働き続ける異様な光景が、現実の人類の未来の一つとダブって見えた時、背筋に冷や汗が流れ落ちる。
暗い地下道を歩いている所為か、どうしても思考が暗い方向へ引っ張られてしまう。
フォン!フォン!フォン!フォン!
突然サイレンが鳴り響き、赤と青の回転灯を鳴らして近づいてくるドローン。
思わず身構えると案の定と言うか、何の警告も無しに発砲してきた。
たまたま的の広いモグラちゃんのドリルに当って弾かれたが、こいつは完全な暴走ドローンだ。
暗い気持ちを吹き飛ばすように、皆一斉に戦闘準備。
まずビエーラが一射放つと、どうやらそいつは前面に透明なシールドを立てていて、矢がシールドに突き刺さった。
そして、シールドの裏にはあからさまな砲が一個。
明らかに宙に浮いているコマ型のドローンだが、コイツは丁度欲しかった素体だ!
何しろ空中で射撃可能なドローン!どうやって浮遊状態で射撃しながら姿勢制御しているのか、また動かないようにカウンターを当てているのか!
そもそも砲から何を発射している?ドリルに弾かれるという事は、そこまでの重量物ではない筈。
思い切って近づいてみたいが、戦闘の邪魔になるわけにも行かず、どうしようか迷っている内に
ドローンのシールドが持ち上がる。
その瞬間、見澄ましたかのようなビエーラの一撃が砲のど真ん中を貫き、破壊してしまった。
もう一回射撃するシーンを近くで見たかったのだが、仕方ない。
<解体>する前に外観だけでも確認しようと、近づきよく見てみると、砲とは別にぐるっと一周小さな穴が等間隔で開いている?
弾が何だったのかは分らないが、もしかしてこれは弾を発射した時のガス圧を周囲に噴出す事で、機体の安定をはかっているのか?
だとしたら、盾で攻撃を受けた時撥ね飛ばされない様にする機構は何だ?
良く見ると背部には二つほどファンが付いている。つまり風圧制御に違いない。
つまり、現状の技術からは余り進歩していない。
プログラムだけ鉄人に吸収させて、とりあえず更に進んでいく。




