50.ドリル
ライフリング、旋回運動、ジャイロ効果、直進性……。
エアガンのような初速の遅い弾では意味ないのか……。
ふぅむ、二足歩行ドローンの両手の銃の機構が分ればいいんだが、未だどうやって飛ばしていたのか分らない。
なんなら、何か鉄人に当っていたか銃だと思っていたのだが、肝心の弾の正体すら分からない。
もしかしたら、自分が思うような実弾兵器ですらなかったのかもしれない。
北辺基地の探索日程は決まったのだが、鉄人の強化プランがまとまらない。
まず格闘武器をパイルと鈍器とウインチを換装できる様にしているのをドリルに変えようとしたが、カーチにモグラちゃんと役割が被るからと駄目が出てしまった。
ただ、鉄人の格闘プログラムとやらはどう見ても、刃物向けじゃない。
何しろ力づくで叩きつけるか突き出すの二つだ。
そうなると、叩きつけるハンマーか突き出すパイルとなるのだが、何か芸が足りない。
そもそもそこまで機動力が高い訳でもないのに、防御力が低い気がする。
胴体の前面だけは構造上強くなっているものの、結局ある程度戦闘して帰ってくるとあちこちガタガタだ。
こうなるとやっぱり盾が欲しいか、ギミックを仕込むのも悪くない。
だが盾に爆発物を仕込むのは無しだ。反応して爆発したら困るし、火を使う敵がいつでないとも限らない。
戦車なんかには車体表面に火薬を仕込んで、撃たれた時の威力を軽減させる機構なんかもあるらしいが、ちょっとそそられない。
そもそも、自分の体に近い場所で、敵の攻撃を受ける装備に爆発物を仕込む変わり者なんかいないか。
寧ろ思いついてしまった自分が恥ずかしい。
うーん、蟹鋏何かどうだろうか?
鋏で拘束して、鋏の間から細いドリルが出てきて、相手の胴体を貫くのだ。
……現状の鉄人のパワーと重量で拘束した所で、強引に引き剥がされそうだな。
こうやって考えていくと、やはりある程度距離を取って射撃武器で牽制するのが良いという結果に落ち着く。
ところが、今度は射撃武器の威力上昇で頭を悩ませる事になる。
水圧銃のノックバック効果と術ダメージは意外と悪くない。
問題は左手の空圧銃だが、連射力こそあれ、ちょっと威力不足が否めない。
いっそ炸薬式にしたい所だが、程よい火薬を持ってない。
火薬自体はあるゲームだが、樽に詰めて爆発させる所謂黒色火薬しかないのだ。
もっと強烈な爆発を起こしたい時は術に頼るしかない。
現状大量生産できる道具の中で最大攻撃力を誇るフェニックスフレアボムも<錬金>技術で火精と風精を利用した術威力武器だという事が知られている。
はっ!爆発するパンチなんてどうだろうか!
鉄人が吹っ飛ぶ未来しか想像出来ん。ロボといえども中途半端なデコイボディだもんな~。
「こんちは!ドリルできたって?」
「ああ?持ってけ!」
「いや、素っ気なさ過ぎるだろ!俺はこのドリルランスに全てを賭けてるんだから!もっとこうなんか!色々ないのかよ!」
「あ?ああ……今ちょっと鉄人の装備に付いて考え事をしてたんでな。ドリルやっぱりいいよな~どう考えても強すぎる」
「そ、そうなのか?それじゃ俺もこれで、闘技場最強に……」
「それは知らんが、一応重量は前使ってたのとあまり変わらないように気をつけたし、ハンドガードを大きめに作って、防御範囲も広がったし、あとはお前さん次第」
「確かに持ってみても全然違和感ないし、見た目の圧力も大したもんだ。回転させる動力は?」
「一応お前さんの精神力だが、術士の石を仕込んであるんで、短時間なら槍の術士の石に溜めた精神力で稼動する事も可能だ」
「至れり尽くせりだな!何だかんだやっぱりいい仕事してる。そうだ!俺も取得できたぜ<人形使>のスキル。何がきっかけなのか分らんが、いつの間にか取得できるリストに入ってたんで、早速な!」
「そうか、じゃあ後は相棒となるロボを見つけるだけだな」
「それについては一応知り合いには声をかけてるんだが、今の所さっぱり情報が集まらん。何かヒントはないのか?」
「そうだな~俺は鉄人に頼まれるまま探索してるだけだし、カーチもそれを手伝ってくれてるだけだからな~」
「じゃあさ!俺も行こう!生産職のクラーヴンを守りながらなら、護衛は多い方がいいだろう?」
「ふむ、一応ビエーラとカヴァリーとか、ガイヤとか結構な有名プレイヤーが手伝ってくれてるんだよな」
「な!そりゃ、俺の割って入る隙はなさそうだな……まぁ、もし手が足りない時は気兼ねなく呼んでくれよ。それにもし俺の方でも、ヒントになるような情報見つけたら共有するからさ!」
「ああ、その時はバイク型ロボ製作と行こう。まぁロボが本当にタイヤ移動に適してるかは拾ってみなきゃ分らんがな」
「そういうもんか?まあいいや!早速このドリルの試運転をしたいんだけど、この辺だとどこで【訓練】とかやってるんだ?」
「何か軍の訓練場の一部を借りて、鉄人の武装なんかは試してるぞ」
「分った!使ってみて気になった事があったら戻ってくるし、クラーヴンがいなかったら親方だったか?あのドワーフに伝えておく」
「あいよ!毎度あり!精々使い込んでくれ」




