48.内乱
とりあえず、ライダーマスクとカーチを帰した所で、親方から詳しい話を聞く。
焦ってはいないと言っていたが、流石に素面で話すには重過ぎる内容なのか、【帝国】ではよく愛飲されてる透明な尋常じゃない度数の蒸留酒をストレートで飲み始める。
ヒト心地ついたと見られたので、こちらから話を切り出す。
「それで?内乱なんてのは初めて聞くと思うが、実は結構しょっちゅうあちこちでやってたりするのか?」
「【森国】なんかは割りと小競り合いもあるし、【海国】は海賊に身分があったりするから身内争いもよく聞くか。だがここまではっきり国を割るってのは、俺も昔の歴史で効く程度。現実感が無いってのが正直な所さ」
「なるほどな。それで?でかい事を聞く前に、俺達にどんな影響があるかってのは?」
「分らんな~。材料が手に入りにくくなるとか、仕事があまりなくなるとかか?」
「まぁ、貯えはあるんだろ?そんなにすぐ枯渇するもんじゃないだろうし、俺もそれなりに持ってるから、よっぽどのインフレでもしなけりゃ何とかなるだろ」
「そうだな~食い詰めれば徴兵なんかされるかもしれないが、当分は大丈夫だろうし、当面は大人しく過ごしながら、様子を伺うしかないな」
「じゃあ、もう少し大きな話だ。この店はどっちにつけとかそういう要請は来てるのか?」
「いや、その手の話は軍属か、これから軍属になろうって奴らだけだ。流石に一般市民強制徴兵まではしないらしい」
「らしいって事は可能性事態はあるわけか」
「ああ、クラーヴンもどっちにつくか決めれば、内乱後勝った方に付いてるという条件の下で、ある程度稼げるかも知れんぞ?」
「それなら中立でいられる方がいいな。別に普通に稼ぐ分には今も困ってないし……知り合いに頼まれれば、少し考えはするかもしれないが」
「まあそうだろうな。お前みたいなニューターは死んでも生き返るだろ?魂だけでこちらに来て、神に造られた仮初の肉体なんだから」
「まぁそうだな。今まで詳しく話さなかったけど、親方もちゃんと知ってるんだな」
「共通認識ってやつさ。死んでも大丈夫だからって危険作業やらせるわけにもいかんし、あまり話題にしないのはそういう事だろ?それで、今回の内乱中死んだ場合国外で復活するらしいから気をつけろよ」
「そうなのか?まあ確かに何度でも復活するからって、死んで元々で突撃されたら内乱どころじゃないか」
「まあ、それはどちらの立場から見るかの問題だろうがな。さて次はもう少し広い範囲で政治的な話とか目的に付いてだが……」
「そうだな。幾ら今参加する気がないとは言え、いつ何で巻き込まれるか分らんし、知れることは知っておいたほうがいいか」
「ああ、特にお前は巻き込まれるかも分らんぞ?今回の内乱に踏み切った理由は白竜様の復活がきっかけらしい」
「何か、アレだ?ソタローがやってた仕事」
「おう、お前さんがしょっちゅうお国から頼まれてた装備仕事って、ソタロー将軍の装備だろ?今や宰相派の旗印として使われてるぞ」
「アイツ一体何やってんだ?」
「まぁ落ち着け。俺は【鉱国】出身だからアレだが【帝国】出身者からしたら幼い頃から夢物語に聞かされる伝説らしい。それの復活と来たもんだから、ソタローの人気はうなぎ上りもいい所だとか」
「そうなのか?何か俺の知り合いはいつの間にか偉くなりやがるから、あんまり実感が無いんだよな」
「まぁいい事じゃないか、知り合いが出世するなんてさ」
「そんなもんかね~?」
「それで、皇帝と宰相の理由は国の今後を決める為のものらしい。今の所宰相の言い分では、白竜様が復活したのに、帝位を明け渡さないと言うものなんだが。実際は政治的方針の違いだといわれてる」
「じゃあ、皇帝派の言い分は?って事になるな」
「特にないらしい。いきなり追い出されて、白竜様に帝位を明け渡さないとか言いがかりをつけられた。明らかに宰相の横暴だと言ってはいるが、じゃあどうするのかは表明していない」
「表明していないって……戦うのか逃げるのかも?」
「ああ、とりあえず追い出されて逃げてはいるらしいが、どこまで逃げる気かは全然分らん」
「なんとも、よく分らんな~。俺は今まで通りロボの仕事をしててもいいのか?」
親方が小首をかしげながら酒を注ぎ足すと、そこにクラームが帰ってきて、いきなり話し始める。
「大変だ!親方!クラーヴン!」
「何だ騒々しい、内乱か?」
するとうんうんと頷くので、
「丁度今その話をしてたところさ。まずは席に付いて落ち着けよ」
そう言うと、親方の酒を引ったくり一気に飲み干して、むせ返るクラーム。
「おい!他人の酒をあおって咽て何やってんだ!」
「いや、透明だから水かと思ったんだよ!」
「親方が飲んでるんだから、透明でも酒だろうが、今水持ってきてやるから」
そう言って、台所から水を持ってきてやると、それを一気に飲み下し、言い放つ。
「皇帝陛下が!【古都】を拠点に反攻作戦を行うってさ!」
「「おい!それを先に言え!!」」
ほんのちょっと前までは、巻き込まれるまで静観してればいいやと思ったのに、よりによってこの都を拠点にされたら、間違いなく被害を被るじゃないか!




