46.ちぐはぐ
「まずこれだけははっきり言っておくが、俺もまだ一からロボを作る技術はない。クエストの中で、拾ってきたコアをデコイやらドローンを繋ぎ合わせて積み込んでるだけなんだ」
「私のモグラちゃんも穴を掘る用のロボットを直して貰って、クラーヴンの鉄のドリルつけて貰っただけだから、動くのは凄いゆっくりだよ」
「そうなのか。じゃあ俺は何を持ってくればロボを作ってもらえるんだ?」
うん、ライダーマスクはかなりロボットにご執心の様だ。しかし特徴やキャラ作りのためだけなら、ロボにこだわる必要はない筈だ。
「いいか?全財産をはたいてでもロボが欲しいという心意気は買う。だが、目的の最適解がロボだとは俺は思わない」
「どういう事だ?」
「何しろ今お前さんは<騎乗>とテイムとキックと軽量近接戦闘が出来る。そうだな?」
「ああ、一応その辺は得意とするところだが、それがどうしたんだ?」
「そうなると得意武器は何だ?俺は鍛冶屋だし、武器防具製作が元々の仕事だぞ?いっそ特徴のある武器を作った方が、よりお前さんの力になれるだろう」
「そ、そうか?でもそれで特徴が出るか?」
「それならクラーヴンに任せたらいいよ。大体いつも変な武器の事しか考えてないもん」
「へ、変な武器?」
「まぁ、落ち着け。まだ焦る時間じゃない。<騎乗>状態で軽量戦闘となるとやっぱり、サーベルか?【帝国】だとカヴァリーがそれの専門だし、俺もそれなりに知識はあるが?」
「く、首狩りライダー!やはり一流生産職はかの有名な夫妻の片割れとも面が通っている……」
「ビエーラとカヴァリーは【古都】のプレイヤーだからそりゃクラーヴンとも知り合いだよ?それより何の武器を使ってるの?」
「あ、そうだな。俺の武器はコレだ!」
そう言って取り出すのは柄と刀身がほぼ同じくらいの長さで、全体を合わせても身長に届かない何か。
先端が尖っているので、辛うじて刺突武器だとは分る。
しかし刀身とは言ったものの、刃は付いていないので槍ではないだろう。
よ~く見ると刀身に当る部分は丸み帯びていて、防御する際は攻撃の威力を殺すには良さそう?
刀身の手元には大振りのハンドガードが付いており、やはり防御的に使う物の様に見えるが、形状的には一つだけ思い当たらなくもない。
「まさかだが、騎槍か突撃槍みたいな……」
「そうの通り!さすがお目が高いな。俺の相棒のランスだ」
「何でまたそんなに小さいんだ?」
「ぐっ!」
そりゃ言葉にも詰まろう。何しろ現実でさえ2mくらいはあるランス。下手をすればもっと長いものすらあった筈だし、ゲーム内はファンタジーなのだからそこから更に大振りの物が使われる。
有名プレイヤーで言うと鈍色の騎士と呼ばれる現行最強プレイヤーがその使い手だが、それを放り投げる威力だけで、レギオンボスに風穴が開くといわれる威力重視武器だ。
「あれじゃない?軽量だから筋力も低いんじゃないの?」
カーチがずばりその通りの事を言い、ライダーマスクも言い訳出来なくなったようだ。
「ああ、その通り。でも、このゲームの正式版から始めた初期勢は皆、最強の騎士を目指したろうよ?」
「まぁ、ランスを見て丁度思い出したが、だからって重装備で一撃の威力を求めるランスと軽量装備はどう考えても合わないだろ」
「それはそうなんだが……素手じゃ闘技場最強のガイヤに届かないし、武器じゃ最強の騎士に届かない。そうやってアレもこれも途中と半端にしてきた結果が今の全く特徴のない俺なのさ」
特徴が無いというより、器用貧乏状態なのだろう。
それでも防具には思い入れがあるのか、軽量のプロテクターの様だし、そこがぶれないなら何とかなるか?
「ちなみに、その短いランスはどの程度使いこなせるんだ?」
「一応これでも何とか扱えるように、武器防御系のスキルや棍棒系のスキルで取り回しをしやすくしたりして、攻撃力が低い分、防御回避に振ってはいるんだ」
「じゃあ、逆に言うと一撃の威力がなくて、怖さがない分、踏み込まれて押し込まれるわけだ」
「よく分るな。それゆえのキック、武器を取り落とした時の用の素手格闘が基本の戦い方だな」
「ねぇねぇ、さっきテイムしてるって言ってたじゃん!何に乗ってるの?」
「おっ!気になるか?」
そう言って、魔物を小型化して持ち歩ける特殊なテイム用ケージから出したのは一匹の大型の真っ黒い蝙蝠。
「<騎乗>っつったよな?何で蝙蝠なんだ?乗れないだろ?」
「その通り!だが、俺を掴んで空を飛ぶ事が出来るんだ!軽量ゆえの特権だな」
「すごーい!空飛べるんだ!いいな~飛んでみたい!」
「蝙蝠の飛び方だぞ?絶対酔うに決まってるし、武器がそもそも小さいランスじゃ、緊急脱出専用だろ?」
「くっ!全部ばれてる……」
「目だとうばかりで、実が伴ってないのが一番の問題だな」
そういうと、項垂れるライダーマスクだが、別に見捨てた訳じゃない。
武器に関してだけなら腹案はある。




