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44.ヒーロー?

 ここ数日、霊子分解装置の修復に勤しんでいるが、やはりというか、ただひたすらに手間がかかるし、まだまだ完全修復の道のりは遠い。


 しかし、鉄人を護衛に一人黙々と北辺基地で壁一面の機械相手に過ごしているのだが、自分の性には合っているのか、とても充実した日々を送っている気がする。


 ちなみに、坑道への通路探索に関しては、後日また4人の時間が合う時に行く事として、それぞれに帰っていった。


 カーチだけは心配だったのだが、ビエーラとタイミングが合うとの事で、送ってもらう事にした。


 そうして不安の無くなった自分は今大いに初めて見る機械の修復に時間を目一杯費やし、霊子分解装置と言う名の3Dプリンターで何を作ってやろうかと、思いを巡らせるだけで笑いがこみ上げてくる!


 「クラーヴン何笑ってるの?」


 「あれ?カーチ何でいるんだ?」


 「何でって、アレから何日篭ってると思うの?いい加減親方が帰って来いって言ってたよ?」


 「そんなにいたっけか?」


 「うん、ゲームの中で21日くらい?現実だと丸一週間」


 「ああ、まあ俺は仕事もあるし、一日平均5時間位しかログインしてないが、それでも35時間もこの修復作業やってたのか!」


 「あのさ~このゲームは3倍の時間楽しめるんだから、105時間だよ?一回戻ったら?」


 そう、このゲーム3時間遊んでても、現実では1時間しか経って無い不思議仕様。


 だからプレイヤーは現実時間が分るように左手の甲に時間が浮き出て見えるのだが、ちなみに自分の生命力や精神力もここで見る事が可能だ。


 確かにゲームの住人であるNPCからしたら、一月の2/3も帰ってこなかったら、何かあったのかと思うだろう。


 「分った、確かに一息入れたほうがいいかも知れん。ところでカーチは一人で来たのか?」


 「うん、モグラちゃんが道覚えてたから、途中で何か面白い物売ってないか村とかに寄って色々見ながら、のんびり来てみた」


 モグラちゃんはちゃんと道を覚えているらしい。喋る機能こそないが意外な性能の高さだ。


 このロボ達の能力を完全に把握するにはまだ時間がかかるだろう。


 そして、カーチは子供でも【商人】だけあって<取引>のスキルなんかはかなりの熟練度だし、村や町に寄れば、多分自分のような普通のプレイヤーではお目にかかれない掘り出し物なんかを買い付けたり出来るはずなので、あとで面白いものがあったら買わせて貰うとしよう。


 そうして、カーチと一緒に【古都】に帰った。


 「悪い!親方~!面白い物見つけちまって修復に集中しちまって」


 「ああ、話は聞いてるから別にいいけど、お前の仕事はちゃんとこなして貰わんとな。一つは例の国務尚書からの依頼で鎧を二つの内一つは直接渡したみたいだが、もう一つの方」


 「あっ!アレの受け取りに来てたのか?そりゃ悪い事しちまった!」


 「いや、国務尚書の使いの者が来たんで代わりに渡しておいたぞ。お前さんにしては最近じゃ珍しい如何にもな重装甲全身鎧だったじゃないか」


 「ああ、それでも鉄人を作った時の重精を使った重量操作を盛り込んだんだ。見た目は将らしくしたつもりだが、中身は俺なりの最新技術が詰まってる」


 「なる程な~。まあそっちはただ出来てた物を渡しただけだし、別にいい。問題はもう一人客が来てるって事だ」


 「俺の所に来る客なんて、何人もいないんだが、誰だ?」


 「さあ?珍しい意匠の装備だな~とは思ったが、知り合いじゃないのか?」


 「名前は?」


 「ライダーマスク」


 「知らん」


 「まぁ、いつもそろそろ来る頃合だ。来たら確認してみたらいいじゃないか」


 全く心当たりのない相手だが、名前は何となくプレイヤーっぽい。って言うか絶対アレだろう。


 そうなると、ヒーローとか好きそうな知り合いといえば、やっぱり隊長か?あいつは忍者で戦闘員Aで将軍で【教国】第13機関長とか言う肩書きてんこ盛りプレイヤーだからな。


 遂にヒーローにもなっちまったのか?


 そう思っていると、


 雪風にスカーフを靡かせながら現れたのは、競技用ライダースーツをモデルにした様なしっかりとしたプロテクター付きの全身スーツに、虫モチーフと見られるフルフェイスヘルメットで、皮膚の見える場所の1mmもない人物。


 しかし、背にショートソードを背負っていない事から、隊長じゃないことだけは分る。


 そして妙に思いつめたような重い雰囲気を醸し出しながら、自分の目の前に立ち、いきなり深々と頭を下げてきた。


 「やっと会えた!頼む!俺にロボットを作ってくれ!頼む!この通りだ!」


 いきなり、本題を切り出してきたがどういう事だ?


 目を白黒させていると、カーチが横から割って入り、自分の代わりに問いただす。


 「あのね!クラーヴンは一見さんの仕事を受ける場合は【帝国】からの依頼か、【組合】からの依頼、あとは私達のクラン『MoD』を通す事になってるんだよ!」


 「あ、ああ知ってる。そりゃかつての鍛冶大会優勝者、鉄魂クラーヴンへの依頼は相当なコネが無いと無理だとは聞いてる。だがそれでも、普通の武器なら他にも作れるプレイヤーはいるが、ロボだけは!クラーヴンしか作れないって聞いてる!だから頼みに来たんだ」


 「何か事情があるの?」


 訥々と語り始めるライダーマスクだが、それより自分に鉄魂なんて言う二つ名がついてた事に驚きを隠せない。


 自分はただの田舎の鉄鍛冶だぞ?

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