41.横穴
霊子分解装置の修理は見たところ手間さえかければ何とかなりそうだ。
手間さえかければだ。当分ここを拠点に過ごして、修理の日々だろう。
自分に関してだけ言えば<機構>や<機工>のスキル熟練度が溜まるので、別に何の損もないが、戦闘職達はそうも行かない。
とりあえず霊子分解装置修復は一旦置いておいて、探索に進む。
この前は鉄人の情報を元に行き当たりばったりだったが、もう少し入念に調査しつつ、ついでに霊子分解装置に必要な部品類もドローンからドロップさせようと言う事で話は決まった。
何より、カーチのモグラちゃんの移動手段はキャタピラだが、現状替えはない。
何とかしてキャタピラを作れるようになる為にもスキル熟練度と新たな部品や情報が必要だ。
さて前回探索したのは入り口に近い艦艇のドックと見られるかなり広い工房区画、中央指揮所と見られるコンソールがいっぱい並んだ部屋、ドローン倉庫って感じだ。
勿論それらに付随する形の小部屋や、居住区らしき物もあったが、クエスト進行に必要なのは工房に類する部屋だろう。
何しろゲーム側からとにかく直せ!と言わんばかりの圧を感じるのだから。
「まだ探索してない所って、どこだろうな?」
「ドックに居住区にドローン倉庫と回りましたからね……素材の搬入口とか?」
「それは普通、ドックみたいな広いところから入れてそうだが?」
「坑道カラノ 搬入ハ 地下道ヲ 利用シテイタト 記録サレテイマス」
自分とカヴァリーの会話を聞いていた鉄人が、またしれっと情報を垂れ流す。
「またか、本当に情報抱え込んでるな。じゃあその地下道の方へ行けば何か分るかもしれないな」
と、いう事で鉄人の後ろをついていき、ドックにあったまだ開いてない扉を開き奥に進む。
そこにはヒトが通る用と思われる通路があり、突き当りにはまた扉。
その中は溶鉱炉?
やはり長い事使われていないのであろう巨大な錆びた釜がいくつか並んでいる。
「精錬所デス 鉄鉱石ノ ママデハ 不純物ガ オオスギマス」
まぁそりゃそうだ。鍛冶プレイヤーからしたら当たり前なのだが、その設備の巨大さに驚いていたのだ。
何しろ多少の器具は使うものの基本は手作業の鍛冶世界に、絶対ヒトじゃ持ち上がらないサイズの釜一杯に融けた鉄が入ってたら、と想像するだけで、恐ろしい光景だろう。
そりゃ映画や何かで海外の何に使うんだか分らんようなデカイ溶鉱炉は見た事がある。
何なら無敵の未来から来たロボを溶鉱炉に沈めるとか、そんな戦いには発展しないよな?
そんな不安を他所に、現れるドローン敵達。
いきなり、あちらこちら部屋影から現れ、モンスターハウストラップの様相だが、まずは戦力分析。
この部屋は色々と障害物が多いせいか、車輪タイプのドローンはいないようだ。
出てくるのは2種類、二足歩行と空中移動タイプの射撃ドローンチームが上下から襲い掛かってくる。
しかしコチラにはまず、射撃プロフェッショナルのビエーラがいる為、空中ドローンを次々撃ち落していく。
そして二足歩行ドローンだが、両腕が射撃装置になっており、弾丸を次から次と撃ち込んでくる。
とは言え、火薬が爆ぜるような音はしないので、炸薬式の弾丸を打ち出す機構じゃないということだ。
何がしか、精霊の力を利用した武器として、問題はビエーラが上に手を取られているという事。
鉄人が応戦して、左手の空圧銃で打ち返しつつ、両肩の水圧銃で動きを止めるように動いているが、二足歩行ドローンは体制維持のため尻尾状の固定器を地面に突き刺しているので、思ったように吹っ飛ばない。
そこに、カーチとモグラちゃんが近づき、二足歩行ドローンに突っ込み一体づつ倒していく。
幸いな事に二足歩行ドローンは足が遅く、当りさえすればドリルであっという間に削りきる。
鉄人の足止めとモグラちゃんの連携で地上ドローンを片付け、空中はビエーラが片付け、カヴァリーがフォローと言う形が出来てからは、戦況が安定してきた。
いつの間にか空中が片付き、ビエーラも地上に手を貸し出してからは、あっという間に戦闘終了。
結構な数のドローンがそこいらに転がっているので、全員で手分けして<採集>したり<解体>したり、情報収集したり一旦はドロップ品集めに集中する。
目新しい物はなかったが、霊子分解装置修復の事を考えれば、素材は幾らあってもいい。
二足歩行型ドローンは倉庫から何体か持って帰ってるので、部品は持っているものばかりだが、動いている方が若干品質が良さそうだ。
動かないドローンから剥ぎ取った素材の品質が悪いのは、磨耗しきっていて動けないよ。って言う演出だったのかもしれない。
「クラーヴン!やっちゃった~」
「何やっちゃったんだ?」
「壁に穴あいちゃった」
カーチに声をかけられたと思ったら、どうやら戦闘中勢い余ってモグラちゃんが壁に突っ込んで、大穴開けちゃったらしい。
まあ、古代の鉄屑で鉄人も容赦なく壁ぶっ壊してたし、構わんだろう。
大穴の奥を覗くと、また通路だが、様子の違う土壁土道の坑道そっくりな様子。
「非常用避難口 デス」




