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40.再びの北辺基地

 ビエーラ、カヴァリーを伴い久しぶりの北辺基地。


 久しぶりと言っていいのかどうか微妙な所だが、部屋一つ空けるにも鉄人が必要なロボ用特殊ダンジョンは、ビエーラ、カヴァリー夫妻だけじゃ攻略不可能。


 それ故、二人共一日千秋の思いで、楽しみにしていたらしい。


 出てくる敵は自分から見ても弱いし、二人にとっては初心者用もいいと頃だと思うのだが……。


 ビエーラのようなスナイパータイプからすると、屋外の狩りの方が得意だが、ドックのような広い空間でドローンを撃ち落すのも中々ない経験で、面白いとか。


 カヴァリーは機械関連が結構好きらしく、機械文明モチーフがこのゲームにあった事に、それだけで気持ちが高鳴るとか。


 まぁ、いずれにせよ頼りになる戦闘職が一緒なのだから、今回の探索も余裕……そう思っていたときもありました。


 「こら!カーチ落ち着け!モグラちゃんは足が遅いんだからもっと慎重にタイミングをうかがえ!カヴァリーが今引っ張ってきてくれるから!」


 「え?うん!よし、今だ!!!ドリルアタッッッック!」


 音声操作のモグラちゃんは喋る事こそできないが、ちゃんとカーチの声を聞いている。


 そして、キーワードに合わせて、高鳴るドリルの回転音!


 敵もちゃんと識別できるし、追いかけているのだが、なにぶん遅い。


 モグラちゃんよりはずっと軽量なドローンに振り回されている。


 触れさえすれば、一瞬でバラバラにできるのに!ドリル最強なのに!


 まぁこのゲーム戦闘中ドリルで胴体の真ん中抉られたからって、血や肉が飛び散るような無茶な表現はないがな。


 なんとかカーチにモグラちゃんを使った戦闘を経験させようと、二人も協力してくれるのだがまだまだ前途多難。


 「まず落ち着くの、モグラちゃんが悪いんじゃないの、武器は使い手次第」


 「うん……」


 「もしモグラちゃんこそが相棒だと感じたのなら、無理に命令しようとしなくて大丈夫。モグラちゃんに任せるつもりで、気持ちをモグラちゃんに集中するんだ」


 何か高度な事を子供に要求する戦闘エリート達。


 しかし子供ながらカーチも投げ出す事をせずに、10回に1回はドローンの横っ腹にドリルを突っ込ませて、一発で破壊している。


 やっぱり攻撃力だけは大したものだ。


 いずれドリル搭載型突撃槍なんかを作ってもいいかも知れん。


 何しろ、こちとら回転の<機構>だけはここ最近でかなり作りなれているのだから、ドリルの槍身とくっつければ言いだけの事。


 そうなるとドリルはスタンダード三角錐タイプも渋いが、敢えて木工用ドリル風の円柱型に切り抜くような形状もシャープでオシャレか?


 は!メモしないとアイデアが逃げる!


 「クラーヴン?聞いてる?」


 「何をだ?」


 「また何か武器の事でも考えてたんですか?」


 「どうせ、新型ドリルの事でも考えてたの。カーチが少し慣れてきたから、一旦鉄人の案内で霊子分解装置って言うの見に行くの」


 「そうだったか、じゃあ行こうぜ。俺はまぁ戦闘に関してはさっぱりだし、寧ろ新しい武器や便利な道具の事考えるのが本職だからな。思いついたらメモしておかんと勿体無い」


 そういいつつ、アイテムバッグからメモ帳を取り出して、ドリル突撃槍の構想を書き付けていく。


 こういう所はやたらとアナログなゲームなんだが、アップデート前まではゴリゴリの中世ファンタジー風に神話やら古代の軍編成やら装備デザインがごちゃ混ぜ世界観だったからな。


 やたらと機械ばっかり弄っている最近の方が世界観ぶち壊しなので、紙に質の悪い鉛筆で書き付けてる状態が、どちらかと言うと正常なプレイヤーの姿だ。


 歩きながら思いついた事を書き付けていると、以前も入った朽ちた機械アームが並んだ部屋に入る。


 「ココデス」


 「前に入ったときは全然気がつかなかったがな」


 「あの時は艦艇の部品を製造しているラインかなんかだろうと思いましたけど、もしかして霊子分解装置って、アレですかね?」


 カヴァリーの言いたい事は分る。


 自分も最初に説明を聞いた時にそれしか思いつかなかった。


 部屋の一番奥には確かに壁に埋め込まれるような形で大きな機械が存在している。


 しかし、大きすぎて部屋の一部だと思っていた。


 機械文明風の部屋だな~じゃなくて、壁に埋め込まれた一面が霊子分解装置。


 残念ながらあちこち磨耗していてすぐには使えなさそうだが、あちこちのドローンから剥ぎ取った部品が、嵌る場所が無数にある。


 つまり、修理して使えというゲーム側からの意図が見え透いている。


 反発しても仕方ないので、ここは腰をすえて修理するしかないだろう。


 その前にどういう機械なのか分かる範囲で、興味津々なカヴァリーに説明しておく。


 「予想通りだ。多分3Dプリンターになっていて、好きな形状の物を作成できる」


 「うわー……これまでの生産職の立場……」


 「まぁなんだ?俺達は鍛冶職だが確かにネジやらボルトを完璧に同じ規格に作るなんて事は難しかったし、手間の割りに使いどころがなかった訳だ。そういう所の補完技術なんだろ多分。もしこれで好きにどんな武器や防具でも作れるようになった日には……」


 「クラーヴン元気出して」


 カーチに慰められてしまったが、まあ大丈夫と信じよう。ゲーム製作者達のバランス感覚……不安しかない。

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