318.巨大ドリル観察
「くっ!余裕見せやがって……落ちて来たきりピクリとも動かねぇ」
「クラーヴン!焦らない!もしかしたら動けないのかもしれなじゃん?回転した途端倒れるとか、何か絡まってるとか?動くに動けないかも知れない」
「とにかくまずは、敵の状態を確認しようか。出来るだけ近づいていってロボ達もまだ攻撃は仕掛けずに観察に重点を置こう。敵の状態を把握してから、次の手を考える」
隊長がそう言うと、プレイヤー達が一斉に広がり、緩くドリルの邪生物分体を囲みつつ、観察を始めた。
自分もビルに登り、上から敵の姿を見定めてやろうと思ったが、残念ながらどうやら敵の方が巨大らしく、上から覗き込む事に失敗した。
しかし、よく見ると敵は底面と言うか、今は上になっている面積の広い方から、何やらウネウネと動く物が伸びている。
ドリル面のいかにも金属で出来た硬質かつ冷たそうな見た目と裏腹に、ウネウネと動く何かは生物的であり、気持ち悪さすら感じる。
つまり、あの底面の方から攻撃できれば、敵本体にいきなり攻撃を仕掛ける事が可能?
自分がそう思うと同時に、鉄人がフワフワと空中に浮いて、ドリル底面を見下ろすようなポジション取りを行う。
そして、両手にレールガンを構えて、両手一発づつ撃ち込む。
すると、痺れるように一瞬硬直し、震えた邪生物分体の触手のような生体部が急速に伸びてきて鉄人を絡めとろうとするので、すぐさま羽のブーストを駆使して、距離を取り直す。
想定より長い距離を追われた鉄人だが、ある程度の所で追跡が終わり、触手が戻っていった。
「どうやら攻撃は効くらしいが、上部生体部を攻撃するとかなり追われる」
「なる程……流石鉄人!素早い対応だね。見てたけど捕まらなかったみたいで良かったわ。引き続き、無理せず情報収集頼む」
そこで、ぎりぎり敵が攻撃を諦めたポイントから、ウネウネと動く触手を狙い撃つと、やっぱりダメージはきっちり入るのか、触手が暴れるものの、コチラには届かない」
だが、急に触手の内何本かが下に向かって伸びていく?
よくその先を見てみると、誰かが敵観察の為に水の中を進んでいる所らしい。
「おい!誰か分からんが、上から狙われてるぞ!」
自分の声が聞こえたのか、誰かが指示を出したのか、大急ぎで引き返し始める水中の影。
しかし触手のスピードも中々のもので、水面ギリギリまであっという間に伸び、その後は水面を舐めるかのように水中の影についていき、ある程度の所で引き上げていった。
どうやら、やっぱり水が苦手らしく、水には触れてこないという事が分かった。
ロボ達は呼吸をせずとも魔素さえあれば水中でも活動できるし、ここは一旦水中から近づいて敵の円錐の先端がどうなってるのか、確認すべきだ。
そして、そんな事は隊長もお見通しのようで、命知らずの選抜隊を敵ドリル先端近くまで派遣する。
少しの間、何も動きがなく自分は自分で敵の動きを注視していると、隊長から報告が入った。
「えっと、調査結果なんだけど、敵の先端はどうやら尖ってる訳じゃないみたい。先端から支柱のような物を出して地面に固定、何やら活動中みたいだけど詳細は不明。支柱部分が動いてるのは間違いないみたいだけど、水より上は変化がない。つまり、ドリル内部の何かギミックが展開してるのかな?これから支柱にファーストアタックを入れる。一体を残し、距離を取って!」
隊長からの報告と次の指示が出た所で、自分の次の動きを待って、敵の様子をつぶさに観察し続ける。
そう待たない内に、ドンッ!と鈍い音がして、ドリル先端辺りから、水しぶきが上がったのが確認できた。
しかしすぐさま、今度は敵ドリルが倒れ始めたので、ドキッと心臓が跳ね上がる。
一気に倒れこむのではなく、なんとか無理やりあがこうとしているかのように、ゆっくり振動しながら倒れていく敵が10度位傾いた所で、動きも止まった。
伸びる触手が、体勢を立て直そうとしているのか天井に突き刺さる。
一本二本と突き刺さっていく所に、鉄人の容赦ない攻撃が始まり、次から次へと触手が切断されていく。
再び攻撃された触手が、怒ったかのように鉄人に向かってくるが、結局有る程度しか伸びない所為か、適当な所で戻っていく。更にそこを追撃される。
まるで鉄人がいじめっ子のようだが、敵と比べれば象と鼠の様なサイズ差がありながら、よくまあコレだけ翻弄した物だというのが、自分の感想。
すると敵は天井を支えに体勢を直すのは諦めたのか、触手を一旦ドリルに収納した。
そして、遂にドリルが回転を始める……ここからが本番かと固唾をのんで見守ると、回転速度はゆっくりのまま中々スピードは変わっていかない。
それでも何となく視界に違和感があり、目を凝らしていると、さっきよりドリルについた螺旋が細かい?
どういう事だと、更に目を凝らし、よーく見てみると、細長かったドリルがさっきより太く短くなっていた。
そう、回転していると思ったのはギューっと身を縮めて、代わりに円錐のドリルが独楽のような形になっていく。
まだ敵の意図は読めない。




