316.光剣大ブーム
「出来た!コレが新型パイルバンカーだ!」
「凄い!凄すぎる!!コイツからはロマンが溢れ出て、夏の日の朝露のように輝いてる!」
「何やってんだ?」
思考錯誤を重ねた結果、初心に戻り鉄人に最初に装備したパイルバンカーを最新技術で作り直し、更に術攻撃能力まで搭載してみた。
そして、サイーダと一緒にテンション上がる中、何故かブラックフェニックスが水を差すような声で尋ねてくる。
「いや、見れば分かるだろ?ロボの新装備に決ってる。いいか?光剣の燃費の悪さを少しでも改善する為に、術を圧縮して、杭が打ち出された瞬間のみ放出するように改造したんだ!コレにより術と物理の高ダメージを同時に与える事が出来る。邪生物分体ではひとたまりもないだろうよ!」
「うんうん!杭を突き刺すと同時に敵内部に雷精の力を流し込み、内側から焼ききるとか言う圧倒的ロマン威力兵器!ロボと言えばやっぱりコレじゃないと!」
「そういう事じゃなくてな?この前もっとロボ達の特性に合わせた装備作るみたいな話になってなかったか?」
「無理だったんだわ。やっぱりずっと装備品に術を纏わせて戦うと燃費がそれはもう悪くなる。だからもっと瞬間的な術攻撃武器を作ろうって話になってだな……」
「そうそう、単発で威力の高い武器を色々と案出した結果、パイルバンカーって訳さ!」
「それならそもそもミサイルとか榴弾とかあるんだからそれ改造したら、良かったんじゃないか?」
「ば、爆発系は近接武器には合わなかったんだよ……な?」
「そ、そうそう!やっぱり反動もあるしさ!まぁでも機械人形にミサイル装備するのもありだよね?カーチちゃんのモーちゃんも装備してたしさ」
完全に言い訳である。もうひたすら近接武器と術の融合しか考えていなかった。
<精霊術>の使えないロボに如何に精霊の力を持たせて殴らせるか、そればっかり考えていた。
しかしまぁ、パイルバンカーとか格好良いの一言に尽きるし、前線に持っていけば誰かしら注文あるだろうと、話を逸らしたまま第二拠点へと向かった。
そして、着くなり戦闘プレイヤー達に囲まれる。
「クラーヴン!あれだ!光剣売ってくれ!」「俺もだ!」「こっちは武器じゃなくて手を改造して仕込めるようにして欲しい!」
謎の光剣ブーム?
「ちょっと待て俺達が今日来たのはコレだ!『新型パイルバンカー』!!!こいつを見せに来たんだ」
「どうだ格好良かろう!ロマン溢れるだろう?こいつで敵の装甲に穴を開け、そこから雷精を流し込んで、内から焼き尽くしてやりたいだろう?残るのはイオンと邪生物の焼けた臭いってね!」
「ロマンは分かるんだが、すぐにでも実用の光剣が欲しいんだ。こっちは!」
代表して騎士団の赤騎士が言ってくるのだが、どういう事なのだろうか?
「不思議な顔してるな。まぁそりゃそうだ。今のこの街の状況を知らんだろ?今こちらは完全に押されてる状態なんだ。理由は簡単で、ドローンと融合した邪生物分体共が大挙して押し寄せてきた上、鈍器みたいな原始的な武器なら扱えるようになってきた事にある」
「なる程、ピンチなのは分かった。それで、何で光剣が欲しい?はっきり言ってロボに搭載するには燃費が悪いぞ?」
「それなんだが、カーチが新たなスキルを見つけた。<接続>って言ってな機械人形の所有者の精神力を消費して機械人形が術武器を使えるようになるんだ。これでロボに銃でも剣でも持たせてやれる」
嵐の岬のバルトが応えてくれた。いや、もう本当にもう少し早く知っていれば……。
「分かった!じゃあ、研究開発中だった光剣試作品とパイルバンカーは置いていくから、なんとか耐えてくれ。とりあえず量産できる光剣を見繕って作ってくる。そしたら次は術武器の開発だな。分かった!」
それだけ言って、鞄の中身をゴそっと置いて第一拠点にトンボ帰りした。
多分カーチが見つけたスキルはレオちゃんの仕業だろう。量産型が術攻撃出来ない事を知って、新たなスキルを広めた?方法は分からないがそんな所だろう。
とりあえず開発していた物の中で、比較的燃費がよく尚且つ素材の消費も少なく、量産向きの光剣ショートソードを大量生産していく。
基本はやっぱり雷精がいいか?武器にした時一番安定する気がする。
コレが鈍器なら石精で重さと硬さを増すのとか悪くない。盾なら爆発系か?攻撃してきた相手をふっ飛ばしつつダメージも与えるとか、悪くない気がする。
拳はどうするか~やっぱり最強に倣って炎の燃える拳か?何かロボにもダメージ入りそうだよな?
風とかいってみるか……たぶん基本的には攻撃範囲が広がるし、うまくすれば移動速度に補正も掛かるかもしれない。
うん、制限がなくなった瞬間溢れ出るアイデア!
サイーダと組んでひたすらに、光剣を製作し開発していく。実質最早剣ではないのだが、ロボ用近接術武器は光剣って呼び名で固定されてしまった。
そして、何度目か納品に第二拠点に訪れた時、またデカイ奴が現れちまった。




