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29.坑道がいっぱい

 【古都】に住む【帝国】人達からはシンプルに渓谷と呼ばれる地域は、山の多い東部地域の中で一本の深い溝のような谷があることからそう呼ばれている。


 そこには【帝国】北側の水源となるチーリィ川が流れ、少ないながらも人が住み、街が形成されてたりする。


 その渓谷の街も通り過ぎ、チーリィ川を東へ東へと遡上していくと、緩やかなのぼり道の先に目的地があった。


 どこもかしこも雪に埋れていながら、あちらこちらに大穴が開いた景観が独特な空気感を醸し出す。


 【帝国】の一大産業である鉄の産地の割りにヒトが全くいないのだが、それもその筈、現在メインとなる鉄鉱山は、もう少し南側の渓谷に入る手前の山奥にある。


 つまりこの辺の坑道は放棄されたものなので、現在進入自由だ。


 国に管理されたものだと許可が必要だが、この辺は魔物も出るので危険地域として、ヒトが入り込まないように言われているものの、腕に自信があるなら自己責任と言う訳だ。


 実際渓谷にも魔物は多数いるのだが、ガイヤがあっさり焼き殺してしまうので、現状苦戦は全くない。


 寧ろ雪に住む魔物は火精が特攻なのか、あっさりと片付き過ぎてガイヤも呆気にとられるほどだ。


 そんな中、近辺にある大穴を全員で確認したものの、ちょっと見える場所だけでも両手で数える位はある……。


 「それで?どれが目的の素材取得地とやらなんだい?」


 「不明デス」


 「どうやら、鉄人が作られた時代とは地形が変わってるみたいで、大昔の記録のままに進むとこういう事があるんだよ」


 「なるほどね~。それで?正解を見つける為の方法は考えてるんだろ?」


 「いや、行けば何とかなるだろうと思って、特に何も考えてないんだが?カーチは何かいい方法思いつくか?」


 「え?えーっとね~……」


 「いやいや、子供に何言ってんだい!無計画にも程があるだろ!」


 「そんな事言われた所で、どの坑道が正解の素材取得地かなんて分かる訳ないだろ?」


 「じゃあ、虱潰しに坑道を一本一本探索するしかないのかね~?分らないように隠されてたりしたら、お手上げだよ?」


 「鉄人!何かそういう信号みたいなのとか出てないのか?」


 「感知シテマセン 記録ニ 有ルノハ 位置情報ノミデス」


 そこら中に開いてる穴を見つめ、何となくドヨンとした空気の中、


 「多分鉄人ちゃんの時代は、何か機械使った跡があるから、それ探せばいいんじゃない?」


 真面目に考えてた子供のカーチがちゃんと答えを出してくれたのだが、まあそれは分ってる。


 問題はこの一面白銀世界に機械を探せと言われても、それこそガイヤに一面焼き払ってもらう位しか思いつかない。


 チラッと顔を見ると、察したのか目を逸らされた。


 そりゃまあ、幾ら一流火精使いとは言え、雪国のフィールドの雪を溶かしつくしてね?とか言われても困るだろう。


 「だったらあそこ」


 ガイヤの連れてきたNPCマ・ソーニガ指差す方には、雪の壁しかない?


 とは言え、現状八方塞だしと素直に雪の降り積もる小山に近づくと、確かにちょっとその壁面だけ様子がおかしい?


 鉄人が壁面に腕をズボッと突っ込んでプラグを差し込むと、


 ギリギリギリ……ガラガラガラ……キーーーーーーーーー!!!


 ちょっと異様な音がして、壁の一部が上がり大穴が開く。


 機械文明だった割りに素材取得地と言うのは、ちょっとローテクだったのか、はたまた丈夫さ重視だったのか、分厚い鉄扉によって塞がれていたらしい。


 大穴の奥は真っ暗。


 正に深淵が飲み込むとはこういう状態を示すのだろうと言うよな、ただの白から黒への境目に息を飲む。


 何しろあまりに暗すぎて奥行きすら分らない、いっそ黒い壁がありますと言われても信じそうな程のコントラスト。


 仕方ないので、アイテムバッグから人数分のカンテラを出す。


 こんな事もあろうかと、暗い道にも対応できるように準備しておくのが、生産職と言うものだろう。


 何しろこの後、戦闘では全く役に立たない予定なので、何なら光を照らす係として活躍の場があるかもしれない。


 そして、道の奥をカンテラで照らした瞬間に、天啓が降りてくる!


 「鉄人の目にライト仕込んだら、探索便利なんじゃないか!」


 「え?何言い出すんだい?急に」


 「クラーヴンは急に何か思いつくと、口に出しちゃうから、放っといたらいいよ」


 「いや、よく考えろ!俺達はカンテラを手に持って探索しなくちゃならないが、鉄人は手なんてあってない様なもんだし、カンテラを手に持たずとも頭部にライトを仕込んでおけば、振り向いた方を勝手に照らすだろ?」


 「それだったら、私達もヘルムなりにライトを仕込めばいいんじゃないか?」


 「やってできない事もないんかもしれないが、果たして戦闘の邪魔にならない程の小型軽量ライトを作れるか、それが問題だ」


 「まあ出来るなら、誰かがとっくにやっててもおかしくないし、なんなら周囲を照らす術の意味がなくなるから、道具のカンテラはちょっと不便くらいでいいんじゃないかい?」


 「ううむ、確かに……しかしアイデアが溢れて止まらん!一旦ここは探索を中止して……」


 「はいはい!鉄人ちゃんの為にも中に行くよ!もし不便だったらまた考えよう!」


 そう言いながら、カーチが背中を押すので、壁の中に入っていく。

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