26.射撃プログラム☆☆/格闘プログラム☆
鉄人試運転の日、相変わらず気前のいい【古都】の軍から訓練場の端を借りて、調整を行う。
まずは移動だが、雪の上は以前どおりホバーで、背中のファンを使って移動する。
正直な所、基地で水面をホバーした時も思ったのだが、ちょっと間違えれば行き過ぎてしまうし、綺麗にブレーキをかけられない仕様なので、あまりこの方式は好みじゃない。
だが、鉄人はあっさりと完璧な方向転換を当たり前のようにこなすし、今の所細い道を踏み外したり、行き過ぎて何かにぶつかる事もないので、ヒト通りの多い道以外は、使っていいとしている。
そもそも【古都】はヒト通り自体が少ないのだが、都内はホバー禁止だ。
お次に二足歩行だが、あまり高い段差などは無理でも、砂利道や土道を行くには悪くないだろう。
あえて雪や氷で障害物を作って、色々な地形を再現してみたが、これも問題なさそうだ。
射撃用ドローンから二足歩行用のプログラムは取得したらしいが、やはり人間みたいな慣らしなどなくとも一発でこなせるのが、プログラムのなせるわざか。
スキルを取得しても、熟練度を溜めつつ使い慣れないと使いこなせないプレイヤーよりよっぽど性能がいい。
その代わり成長限界などで制限があるのかもしれないが、まあそこはまだまだ未知数なのであまり気にしない。
ちなみに脚部の形は人間とは大きく違い、腿部は胴体との連結と前後移動、膝関節には空圧段派によるショック吸収と屈伸機能、脛や脹脛に当る部分はかなり大きめに取られホバー用の機能が詰め込まれている。
足首に関しては動くようにしてあるが、あくまで地形による故障を防ぐ程度だ。
行く行くは球体関節なんかも取り入れたいが、現状はドローンの部品を組み合わせるだけでいっぱいいっぱいなので、そんなものだ。
そして武器だが、左腕に大型の空気圧銃、連射可能だが一発ごとに空気圧を溜めるので、一発の間隔は大体一拍一秒ごとか?あまり音楽は詳しくないので、はっきりとは言えないがイメージそれ位。
威力もまぁまぁと言ったところ、命中率も以前より格段に上がってるし、的に当てるまでの試射回数もかなり減った。
動いてる的にも結構当る。
標的を<投擲>持ちのNPC【兵士】に投げてもらい、それに当てるのだが、かなりの命中率だ。
やはり、基地でプログラムを手に入れたのが効いたのだろう。今後もドローンが出てくるような場所には積極的に向かった方が良さそうだ。
そして、格闘武器なのだが、これは近づくのに難有りだった。
ホバーで近づくと、殴ってもその鉄人自身が戻されて、威力が半減してしまう。
車輪で殴りに行けば、足先のピックを地面に突き刺して殴る事で、結構なダメージが出る。
最後に二足歩行状態で殴る場合だが、とにかくスピードが出ない。
威力は十分、ただ近づくのに、ガッシャンガッシャン歩くので、非常に鈍い。
それでも、停止状態から振り下ろせば右腕先の鉄球が、ごっつんと当るのでそこそこダメージは出るし、当面これで頑張ってもらおう。
あとはいざという時に押し返す用の両肩高水圧水鉄砲、一応通称は水圧銃とさせて貰う。
ちなみに鉄人の評価だが、
「武装 最低限 装甲 最低限 機動力 状況次第最低限 戦闘力 及ビ 制圧力 最低限 完璧 デス クラーヴン技師長」
との事だ。
どれもこれも最低限だが、以前は無だった項目もあるし、何より本人が完璧と言っているので、何の問題もなかろう。
取り合えず、用意して貰った標的を殴ったり撃ったりしながら、調整をしていくが、鉄人のプログラムと言うやつは、どんな武器でも勝手に合わせていくので、どこが一番バランスいいのか探す方が苦労する。
少しは我侭を言ってくれればいいのだが、ロボも頭一つ抜けたプレイヤーも筆を選ばないらしい。
何使っても強いのでは、生産職のいる意味がないので、是非とももっと要望を言って欲しいものだ。
まあそれでも、今用意できる最高の物を作り上げ、準備は万端。
「素材取得地ってのは、原料取得地でいいんだよな?また基地みたいなドローンが出てくる所じゃなくて」
「肯定シマス 主ニ 鉱石ヲ 採掘 シテイタ ト データ ニ アリマス」
「だが、そのボディは霊子から直接作ったんだよな?だったら、何で素材が必要なんだ?」
「ソノ 情報ハ 不明 可能性 トシテ 複雑ナ 構造ヲ 持ツ場合 霊子カラ 直接作リ出ス 代ワリ……」
「その分物質的な強度が下がる可能性があるって事か。霊子から作れる素材にはある程度制限があったなら、その可能性が高いか。そうなると、やっぱり<採掘>持ちを連れていく必要があるな」
「クラーヴン技師長ハ 採掘スキルヲ 保持シテイナイ ?」
「いや、一応鍛冶屋の端くれとして持ってはいるが、使う機会がなくて熟練度がな」
「素材取得ハ 先ノ事 ニ ナリマスカ ?」
「いや、知り合いに声をかけたんで、紹介して貰える手筈だ。誰が来るのかは分らんが、まあ大丈夫だろう。出来うるならその囮用じゃない、もっといいボディを作ってやりたいがな」




