25.友達になるか、自分の物にするか
「鉄人は俺の物じゃないぞ」
そう言うと、カーチが目を丸くしてこちらを見てくる。
「え?でも、クラーヴンが見つけたんじゃないの?」
「確かに拾って来たのは俺だし、直してるのも俺だが、仮にアイツが行く当てがあるから一人で出かけるって言うなら俺はそれを止めない」
「え?鉄人ちゃんはクラーヴンのロボじゃなかったの?」
「そうだぜ。初めて会った時に直してくれって頼まれた気がしたから、直してやっただけだし、修復と情報収集を手伝ってくれって言うから、代わりに店番させてるんだ。言うなら雇い主だな」
「そうだったんだ。じゃあ、新しく鉄人ちゃんを見つけても、戦えるようにはならないんだ」
「察しがいいな、そういう事だ。戦って貰えるように頼む事は出来るだろうし、それだけなら鉄人も別に断らないだろうが、カーチが言ってるのは自分の戦力としてロボが欲しいって事じゃないのか?」
「うん、そう。でもそっか、鉄人ちゃんは友達であって、私の物にはならないんだ」
「ああ、だから戦う方法が欲しいなら他の方法を考えないとな」
「うん……」
「ところで、何で急に新しい鉄人を見つけたら、戦えるって思ったんだ?最初はただ珍しがって、ロボが好きなだけだと思ったんだが?」
「そうだよ!私も鉄人ちゃんとは友達だもん。でもこの前の基地に行って、勝手に動くドローン?と戦ってたから、私も動かせるロボがあれば、戦えると思ったの」
「そういう事か。確かにドローンってのは命令をして動かす機械だから、友達になるってのとはまたちょっと違うか。ちゃんとカーチはその辺の区別つくんだな。つまりカーチの命令を聞いてカーチの手足となって戦ってくれるロボが欲しいのか。それなら方法がなくもないかもしれなくもない」
「なくもないかもしれなくもない?」
「ああ、つまりドローンをカーチが操作できればいい訳だ」
「そんな事出来るの?」
「今の所無理だな。あのドローンってのは今調べてる限り、プラグを挿して基地から情報と命令を受けてるんだが、それはかなり複雑な物だし、ある意味じゃ基地の一部として機能している。例えばカーチから命令を受け取って、状況に合わせて動くなんてのは、まず無理だ」
「???」
「ああ、何て言えばいいか……ドローン操作スキルみたいなのが手に入るか、鉄人並みの情報処理装置を持ったドローンを手に入れるかだ」
「それって、結局新しい鉄人ちゃんを見つけるのと、何が違うの?」
「まあ似てるって言うか、ほとんど同じだが、ニュアンスが違う。鉄人は目的があって作られて、今はそちらが優先。カーチの手足となって戦うかどうかは、その目的に合うかどうか次第だ」
「うん、それは分る。鉄人ちゃんは生命科学研究所を壊したくて、その為に情報と体が欲しい。私がそれに協力できるなら、鉄人ちゃんも私の命令で戦ってはくれる。でも多分今は鉄人ちゃんが自分で考えて戦った方が良さそう」
「そうだな。カーチ自身命令して戦わせる能力があるわけじゃないからな。だから命令する能力を身につけて、ロボを上手くコントロール出来るようになるか。もしくは情報処理能力は持ちつつも特に目的のない、例えば命令待ちの捨てられたロボを見つけるか、何ならカーチの手伝いをする目的で一からロボを作るかだ」
「!!!一からロボ作れるの?」
「いや、だから今の所無理なんだ。方法としてはあるが、技術も道具も揃ってない。ドローンもボディを鉄人用に改造する事は出来ても、鉄人みたいな情報処理システムを作ることは出来ん」
「そっか~……でも今の所はって事はいつか出来るかもしれないの?」
「……まあ作れるかはもっと色んな部品見つけて色々いじっていく内に分るかもな。ただ、さっきも言った通り、捨てられて、目的も命令してくれる相手のいないロボがもし見つかれば……」
「私がロボに命令するスキルがあれば、動かせるかもしれない!」
「かもしれない、かもしれないだが、可能性はあると思うんだよな。ここまでロボが出てきてるのに、プレイヤーには使えませんてのは、ちょっと考えにくい。ヒトの操作を受け付けるドローン位は出てきてもおかしくないだろ?例えばラジコン式とか」
「ラジコン?」
「ラジオコントローラーって知らんのか?」
「普通のカメラとか乗せてるドローンの事?」
「現実とかだとそうだな。剣もって魔物殴って倒すのは無理でも、コントローラーで動かして、銃とか撃たせるだけなら、多分カーチでも出来るだろう」
「う~ん?どうだろう?」
「まあ、まだ目処も立たないものの事で、頭ひねってても仕方ない。まずは鉄人と一緒に色々廻って他のロボの事を知ればいい」
「私は、新しいスキルないか探してみる!」
「カーチ……あなた戦いたかったのね。すぐに飽きて投げ出したから、戦うのあまり好きじゃないのかと思ったのに」
「え?マリー!何でこんな所にいるの?」
「何も言わないで、一人でこんな所に来てたから、探したんでしょ!でも、まあカーチが実は戦いたいって知れたからいいわ」
「え?何で?」
「私もそろそろ戦ってみたかったから!武器売ってばかりじゃなくて、使ってみたかったんだよね!」
「そうだったのか?じゃあ使いたい武器があったらいつでも言えば作ってやるから、遠慮せずに言いに来いよ」
「うん、分りました!」
「私も!鉄人ちゃんと次のロボ探す!」




